問題はやはり攻撃陣だと語るセルジオ越後氏。

本田、香川、岡崎、メディアが"ビッグスリー"と呼んで注目する3人の明暗が分かれた。いずれも昨年11月の欧州遠征(vsブラジル、vsベルギー)では代表から落選した3人だけど、今回の欧州遠征では本田だけが復帰を果たした。

本田は昨年夏にパチューカに移籍してからコンスタントに試合に出て、結果を出している。メキシコのレベルをどう見るかは意見が分かれるかもしれないけど、コンディションはよさそうだし、ハリルホジッチ監督の判断は妥当だと思う。

一方、香川と岡崎は今回も落選となった。故障中の香川は仕方ないにしても、岡崎は苦しい立場に立たされていることがハッキリした。故障も癒え、レスターで試合に出ていないわけではないのに選ばれなかったのだから。

ハリルホジッチ監督のこれまでの采配を見ると、ワントップには高さのある選手を起用することが多かった。単純に大迫や杉本のほうが好みなのだろう。また、岡崎は"汗かき役"として前線での守備は計算できるものの、点を取るということに関していえば、今年に入ってから1点も決めていない。それがメンバー発表会見で「得点を取る選手を探している」と語ったハリルホジッチ監督の目には物足りなく映ったのではないか。

もちろん、岡崎のW杯メンバー入りの可能性が消えたわけではない。大迫も杉本も絶対的な存在ではないし、これから岡崎がレスターで得点を重ねるようなら、世論も盛り上がり、ハリルホジッチ監督も無視できなくなる。確かに、今のレスターのチーム状況、岡崎の起用法を見ると、これからアピールするのは簡単なことじゃない。でも、彼のことだから、泥くさいプレースタイル同様、最後の最後まで諦めないだろう。

もっとも、ハリルホジッチ監督がメンバー発表会見で「このチャンスをつかんでほしい」と言っていた本田にしても、故障中の香川にしても、もはや日本代表に絶対欠かせない存在ではない。今後の所属クラブでのプレー次第では、W杯メンバーから外れる可能性もある。つまり今の日本代表のメンバー、特に中盤から前のポジションはそれだけだんご状態=激戦ということ。

中盤から後ろ、守備的なポジションでは軸になる選手が見えている。GK川島、DFは右から酒井宏、吉田、槙野、長友、ボランチは長谷部と山口。このメンバーならある程度計算が立つし、今までの使われ方を見ても、W杯本番でもスタメンになると思う。

問題はやはり攻撃陣。誰が中心になるのか、本番でどんなスタメンを組むのか、まだまだ見えてこない。こんなことは過去に出場したW杯では一度もなかったことだ。中田英や中村(俊輔)、前回大会の本田、香川のように目玉となる選手がいない。

それどころか、ハリルホジッチ監督がメンバー発表会見で「(誰々を)見たい」と何度も口にしていたように、メンバーの最終登録を約2ヵ月後に控えたこの期に及んでテストを続けている状況だ。極端な例だけど、早々と2月に23人中15人のメンバーを公表したブラジル代表とは対照的。心配になるよ。

今回の欧州遠征で結果を出した選手がロシア行きに近づくのは当然。でも、香川、岡崎以外にも今回招集されなかった乾、故障中の清武なども含めて、W杯メンバー争いは最後までもつれるだろう。

(構成/渡辺達也)