テーブルに置かれたスマートスピーカー「アマゾン・エコー・ドット」(中央)。呼び鈴と変わらないサイズ。

テーブルに置かれたスマートスピーカー「アマゾン・エコー・ドット」に向かって「サワーを1杯」などと話しかければ、飲み物が注文できる。そんな居酒屋「天空の月渋谷」(東京・渋谷)が話題だ。

「若い方も年配の方も、皆さん楽しんでおられます。注文だけでなく、占いや天気予報、終電の確認などもできるので、スマートスピーカーを中心に会話が盛り上がっているときもあります」(「天空の月 渋谷」店長の園田裕也氏)

このシステムを使える席は約1ヵ月先まで予約が埋まるほど大人気。しかし、開発した株式会社ヘッドウォータースのプロジェクトマネージャー椋代(むくだい)宏平氏は「まだ実証実験段階だ」と語る。

「現状は『スマートスピーカーで注文を取る』という最低限の段階です。オーダーが厨房のタブレットにチャットのような形で伝わるだけ。会計まで一括で行なうPOS(販売時点情報管理)レジとの連携は技術的には可能ですが、時間とコストがかかります。それよりも、まずはお客さんにどれくらい受け入れられるのかを試してみたかった」

例えばレモンサワーなら、「アレクサ、飲み物メニューを開いて!」「サワーの4番を1杯」「以上」と言えばOK。

「『アレクサ』はアプリの起動ワードで、それに続けて飲み物の種類と番号、杯数などを言います。商品名でなく番号にしたのは、聞き間違いのリスクを減らすため。例えば『レモンサワー』と『メロンサワー』は判別しにくい言葉です。何度も言い直すとお客さんにはすごいストレスになる。スマートスピーカーが判別しやすいように番号にしました」(椋代氏)

記者も実際に注文してみたが、わざと酔った感じでロレツが回らないような話し方をすると「聞き取れませんでした」という反応が多くなる。現状の課題は聞き取りの精度のようだ。

「将来的には『オススメのワインを教えて?』と聞くと『本日はお肉料理をお召し上がりですか? 魚ですか?』『それなら赤の〇〇がオススメです』とソムリエのような対応をしたり、『この日本酒はどんな味?』と聞かれたときに説明できるようになるでしょう。こういったやりとりはタブレット式の注文システムではできません」(椋代氏)

ちなみに、スマートスピーカーにお酒をこぼしてしまうと壊れてしまうという。最大の敵は、ロレツが回らず、ふらついて酒をこぼす酔っぱらいなのかも?