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「TOEIC至上主義」が英語学習をダメにする理由。受験者の約4割が日本人なのにグローバルスタンダード?

[2018年04月12日]

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「TOEIC至上主義の結果、学習者は間違いだらけの英語教育を受ける羽目に陥っている」と語る『TOEIC亡国論』著者の猪浦道夫氏

国際社会で通用する「使える語学力」を標榜するTOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)が生まれてから約40年経つが、相変わらず日本人の英語力は向上していないと言われている。

しかし、未だ英語教育の世界では官民総出の支持を受けた「TOEIC至上主義」が跋扈(ばっこ)し、その結果、学習者は間違いだらけの英語教育を受け続けているという。

この状況に警鐘を鳴らし、本来あるべき語学教育を提案するのが『TOEIC亡国論』(集英社新書)だ。TOEICの弊害、そして日本の英語教育の根本的な問題とは? 著者の猪浦道夫(いのうら・みちお)氏(ポリグロット外国語研究所主宰)に聞いた――。

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─そもそも不思議に思うのですが、なぜTOEICが英語力を測る評価軸としてこれほどまでに信奉されるようになったのでしょう? 日本人の「資格好き」という背景はあるでしょうが、数学や国語にも検定はあるものの、英語だけがTOEICのほかにも英検、TOEFLがあって圧倒的に「検定熱」が高い。

猪浦 まず日本人、特に団塊世代の多くの人が持つ「英語コンプレックス」が大きな要因になっていると思います。中学・高校で習う英語で優秀な成績を修めても、読み・書きに偏った英語力は「実用的ではない」と約半世紀にもわたって言われ続けてきました。

日本の中学校の英語教師が海外に行ったら英語がほとんど通用しなかった…というのは、どこの学校でも都市伝説のようになっています。こういったコンプレックスを背景にTOEICのような「英語で聞いて、英語で読み、英語で答える検定」が定着し、深く浸透していったのです。

TOEICはEducational Testing Serviceという米国の非営利団体によって運営され、「英語力検定のグローバルスタンダード」と謳(うた)われていますが、世界中の年間受験者のうち約4割が日本人で占められています。TOEICの知名度が高いのは、日本の他には韓国ぐらいでしょう。イギリスでは2014年からビザ申請にあたってTOEICのスコアを使用することが不可になっています。

─実際はグローバルスタンダードなんかじゃないのに、日本では「TOEIC至上主義」が根強い。

猪浦 2020年からの大学入試改革が話題になっていますが、これに合わせて英語の入試もTOEICをはじめとする外部試験に移行する傾向が強まっています。現在でも大学・大学院の約半数が入学試験でTOEICを活用していますが、2020年に向けて今後はさらに増えていくでしょう。

今回、『TOEIC亡国論』という刺激的なタイトルの本を書きましたが、英語の専門家にとってTOEICを疑問視するのは目新しいことではありません。「TOEICは万能ではない」どころか「無意味である」という見方もあるくらいです。

―具体的にどのような弊害が?

猪浦 リスニングとリーディングの試験からなり、すべてマークシート方式で答えます。トータル2時間で計200問が出題されるので、じっくり考えるというより瞬発力が問われる。大量かつ効率的に採点するためのシステムなのでしょうが、これでは話す力、書く力という能力は測れません。それなのに大学教育のみならず、最近ではビジネス界でも採用や昇進の際にTOEICで一定のスコアをとっていることを要求する企業が増えてきています。

しかし、学習者にとって本当に必要なのは「それぞれの人が置かれている環境、目指す環境で求められる英語力」を身につけることです。例えば、私は「大学生に求められる英語力」は原書購読能力に尽きると考えていますが、この能力をTOEICで測ることはできません。また、理系の大学院生ならば英語で論文を書く能力が求められますが、この測定においてもTOEICは無意味です。

ビジネスの世界でもグローバル化の時代といわれ、すべてのビジネスピープルに高い英語力が求められるような風潮がありますが、ひとりひとりが置かれている環境も異なるし、求められる能力も違ってくるはずです。

例えば、英語で取り引き相手と交渉する時、自社に有利な契約を勝ち取るために最終的に必要となるのは語学力ではなく交渉力です。その能力をTOEICで測ることはできないし、仮に英語で取り引きする機会が年に数回程度なら、そのために時間と費用を割いて英語を勉強するよりも交渉力を磨き、英語は優秀な通訳に任せるほうが合理的です。


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