市川紗椰が「『居酒屋さやちゃん』のメニューにしたい」ほど感動したベトナムの「揚げフォー」

『週刊プレイボーイ』本誌で連載中の「ライクの森」――。

人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。

今回は、彼女がベトナム旅行で食べたフォーのおいしさについて語ってくれた。

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この連載でもすでにお話ししたんですが、今年のお正月は、ベトナム旅行をしてきました。正直、もともとベトナム料理はそんなに好みではなかったですが、現地で食べたフォーのおいしさは今でも思い出します。

日本で食べられるフォーとは全然違って、まず、ハーブの種類がすごく多いんです。パクチーやレモングラスのほかにも、名前もよくわからないハーブがたくさん用意されていて、それがまたおいしいんですよ。また、お肉も最高でした。フォーの中でも一番オーソドックスなメニューは、牛肉をのせた「フォーボー」なんですが、生っぽい肉をフォーの予熱で温めて食べる感じが新鮮でした。

もちろん生麺も、もちもちで最高。この食感を家でも再現したいと思い、向こうのお店でコツを聞いてみました。すると、普通の乾麺でも、ゆでずに水で戻してレンジでチンするといいよって教えてもらいました。さっそく自宅でやってみると、確かに麺がもちもちになって本場っぽさが出ました!

一時期、パスタを水で戻して生麺っぽく食べるのがはやりましたが、あれに近いですね。ただ、パスタだと数時間かかるのに比べ、フォーなら1時間程度で十分です。あとは、ハーブ用の家庭菜園を自宅につくろうかなと計画しています(笑)。

さて、ここからが本題です。今回のベトナム旅行で得た一番の学びは、「フォーは麺状とは限らない」ということでした。フォーはお米を原料にした食べ物ですが、麺状に切らずに、15cm四方に薄く伸ばしたシート状のフォーを使った料理もあるんです。

そのひとつが「巻きフォー」。シート状のフォーで牛ひき肉やハーブを巻いて食べるんです。いわゆる生春巻きのような料理ですが、巻きフォーは皮が厚く、もちもちしたフォーをしっかり味わえます。具もシンプルなので、いくらでも食べられそうでした。

日本に上陸したら絶対ブームになる「揚げフォー」

そして、私が最も感動したのは、「揚げフォー」。同じくシート状のフォーを揚げたものに、牛肉のあんかけをかけた料理です。フォーは何枚か重なっていて、外はパリパリしていて香ばしく、中はとろっとした食感。まるであられとおもちを合体させたような不思議な感覚でしたが、日本人なら誰もが好きな味だと思います。

ベトナムのハノイの中でも、この揚げフォーを出しているのはとある地区のお店だけで、現地でもまだ珍しいものです。

この揚げフォー、日本に上陸したら、絶対ブームになると思いませんか? 私の将来の夢は、飲食店を経営して自分の好きなおいしいものを出すことです。

そこで、揚げフォー屋さんをやるのもいいかなって思ったんですが……さすがに「ベトナムに1回行きました」くらいの浅い関わりでベトナム料理店を開くのは気後れするので(笑)、「居酒屋さやちゃん」のメニューのひとつとしてこの揚げフォーを出そうかと思っています。「ちょっとフォーを揚げてみたんだけど、どう?」みたいな感じで、オリジナルのふりをして(笑)。

ただし、このシート状のフォー、日本だとどこで手に入れられるのかわかりません。ご存じの方がいたら、ぜひ教えてください。

●市川紗椰(いちかわ・さや)1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、毎週土曜21時からオンエア中のJ-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』でナビゲーターを務めている。都内のベトナム料理店なら、代々木八幡の「ヨヨナム」や浅草の「オーセンティック」がオススメ