『やれたかも委員会』で委員会メンバーを演じる佐藤二朗さんと山田孝之さん

吉田貴司原作の人気コミックス『やれたかも委員会』がドラマ化、4月24日より(深夜1:28~、TBSほか)放送開始となる。

このドラマは、「やれたかも委員会」という組織を訪れた相談者が「あの時、もしかしたら“やれてた”かもしれない」という、青春の甘い想い出とひと言では括(くく)れない忘れがたきエピソードを語り、「やれた」「やれたとは言えない」を判定してもらうという、かなり異色の作風となっている。

今回、そんな『やれたかも委員会』の委員会メンバーで出演するのは、佐藤二朗(能島譲)、白石麻衣(月綾子)、山田孝之(オアシス)という個性豊かな3人。それぞれ、かなり濃いキャラクターを演じている。

そこで、『勇者ヨシヒコ』などでも息の合った演技を見せていた実力派俳優のおふたり、佐藤二朗さんと山田孝之さんを直撃! 作品について、また“やれた・やれたとは言えない”の先にある「愛」についてまでを聞いてみた!

―作品を観させていただいてすごく面白かったのですが、同時に「やれた」「やれたとは言えない」を判定するというかなり変わった作品でもありますよね。出演のオファーを受けた時の印象は?

佐藤 最初は「おぉ、孝之出るんだ、出る出る!」という感じです。

―最初は、山田さんと共演できるなら!と。

佐藤 そうです。それから原作を読んで、面白い目の付けどころだなと思って。ちょっと他にない感じの作品になるんじゃないかなと。

―では、山田さんが出演を決められた理由は?

山田 「あ、二朗さんが出るならやります」って。

―(笑)相思相愛ですね!

山田 それで僕も原作読んだら面白いし、これは広げていろんなパターンができるやつだなぁって。あと、単純にセリフ多いなって思いました(笑)。

「やれたかも委員会」の様子。手前から白石麻衣(月綾子)、佐藤二朗(能島譲)、山田孝之(オアシス)

―確かに、セリフは多いんですけど、逆に無言で演じる部分も多かったりと。大変そうだなという印象を持ちました。演じる上で、意識されていることはありますか?

佐藤 最初に山口監督から言われたんですけど、ちょっといつものコミカルな演技は封印して、相談者に真剣に寄り添ってほしいって。なので、命がけといったらオーバーですけど、本気で相談者に寄り添って、真剣に判定しようとしてる人を誠実に演じることだけに集中してます。

そういう意味では、聞いてるリアクションも能島的には大事なことで「細部まで漏らさず聞こう」という芝居をしています。

山田 能島さんはどちらかというと相談者に肯定的で、月綾子は否定的。そんな中で僕の演じるオアシスは中立でなくてはいけないんです。でも、キャラクターの気持ち的には能島のほうに流れそうになるんだけど、そこを抑えて距離を保とうとする感じが伝わるように心がけてました。

そっちの話はしないかなぁ…

―ちなみに、個人的に印象に残ったエピソードってあります?

佐藤 僕は「告白編」かな。相談者は今までずっと裏街道というか、道の端っこを歩んできた人で、それは能島的にも佐藤二朗的にも感情移入ができた回ですね。僕自身が主旋律とは違うところで、わいわいやるタイプの人間なんで。

―山田さんはどうでしょう?

山田 「カラオケボックス編」ですね。この回は、審査員のオアシスと月綾子が明らかに早く委員会を切り上げて帰りたがってるんです。

―どういうことですか(笑)。

山田 相談者をなんとか言いくるめて早く終わらそうとしてるんです。演じていて、ひでーなって思いました。でも、このエピソードがあることによって、委員会メンバーの人間味が急に見えるんです。あ、面倒くさがってる、この人たち!って(笑)。

―そこ、早く観てみたいです! ドラマから想像すると、委員会の現場ってすごく静かに感じるのですが。実際はどんな雰囲気だったんですか…和気あいあいみたいな?

佐藤 いや、実はすごい過密スケジュールだったんで、ばぁーーーっと撮っていく感じでした。みんな、疲れていましたよ(笑)。孝之とはよくだべってましたけどね。

―「ヨシヒコ」でも共演されてましたし、撮影終わりで一緒に飲みに行ったりとかも?

山田 あの時は過密だったんで行けなかったですね。全然別の機会では飲んだりしてますけど。

―そういう時、「やれたかも」の話はするんですか?

佐藤 そっちの話はあんまりしないかなぁ。

山田 じゃあ、次しますか?(笑)

佐藤 次するか、じゃあ。

―(笑)。ちなみに、突然こういう話するのもあれですけど…僕、29年生きてきて童貞なんですけど…。

佐藤 なんと、それは大事です。取材とかしてる場合じゃないですね。

山田 そうですね。

考えてわかるもんじゃない(笑)

―(笑)ただ、愛というものがわからないなと思って…。

佐藤 何を言い出したんですか(笑)。

山田 考えてわかるもんじゃないです(笑)。

―なんか人生相談みたいになってしまって申し訳ないです! 純粋な質問で、「やれた」「やれたとは言えない」という体の関係と愛は直結しているんですか?

山田 二朗先輩、お願い致します。

佐藤 うん、そうだねぇ。えっと、わかりません。

山田 (笑)

―というのも、やれたかも委員会を観て、実は純愛作品だなぁって思ったんですよね。「やれたかも」の先にある愛というか…。

佐藤 確かにこのドラマは純愛の面も明らかにあるんですよ。ただやりたいだけの男を描いてると言われれば、完全否定はできないが(笑)。でも、孝之が言ってたんだけど、みんな「この女とやりてー」と思ってるその時その瞬間は、間違いなく異性のことを好きではあるよね。

―それは、好きっていう感情なんですか?

佐藤 愛ってなるとわからないけど、誰でもいいからっていうことではないと思うんだよね。

山田 本当にやりたいことだけが目的だったら、他にも女性がいたりするじゃないですか? それこそ「クラブナイト編」の話でも他にも女性がいるわけだけど、その中からひとりの女性を選んでる。誰でもいいわけじゃなく、“その人と”っていうのが大事なんだと思います。

―おふたりは、女性に対してピンとくる瞬間ってあるんですか?

佐藤 えっとですねー、ピンとくる…まぁ、でもね、今の嫁と一緒に住んで、もう20年以上だから、ちょっとその感覚をなかなか思い出せないんですけど。でも、なんかわかんないんだけど、養成所で嫁を初めて見たカットを覚えてるんだよね。

―頭の中に?

佐藤 うん。覚えてるの、そのカットを。特に美人っていうわけじゃなくて、むしろブサイクなんですよ(笑)。あ、もちろん愛してますよ! なのに、その時のカットを忘れることなく、今でもずっと残ってる。それが、ピンときたっていうのかなぁ…。そうすると運命論みたいな話になっちゃいますけどね。

ひでぇ作品ですね(笑)

―確かにそんなことってなかなかないと思いますし、運命的な気がしますよね。山田さんはいかがでしょう? グッとくる仕草とかトキメク瞬間でも…。

山田 う~~~ん(熟考中)。

佐藤 あ、僕ひとつあるんで、孝之が考えてる間にいいですか? ただのタイプですけど、笑い方がカワイいコが好きです。おべっかで笑ってるんじゃなくて、本当におかしそうにケラケラ笑ってるコ。あと、食べ方が豪快なコが好きです。

山田 それ、わかりますね、食べ方、重要。「あ~、おいしい~~~!!!」って食べてるとすごいイイっ! そういうの見てると幸せだな~ってなります。って、これもう…発想がおじさんですね(笑)。

―もう、愛(め)でてる感じですね。

山田 あと、罪悪感を感じながら食べてるコとかいい。

―どういうことですか?

山田 「うんまいーーー」けど「太るーーーー」って。食欲と戦ってるコを見るのが好きです。結果、負けてるんですけどね(笑)。

―確かに負けちゃってますね(笑)。ありがとうございました。では最後に、読者に向けてドラマのみどころを教えてください!

佐藤 僕らぐらいの年代だと、ちょっと懐かしくて甘酸っぱいなっていう思いもあるだろうし。出てくるキャラクターと同世代の人には「いやー、そうそうそう」とか「そんなことはないよ!」みたいな感じで判定しながら観てほしいです。

山田 この作品はグループで観ることをオススメしているんです。男女、異性も交えて、これ「やれた」か「やれたとは言えない」かを話し合いながら観ると、より盛り上がると思います。

佐藤 グループで観たことによって、そういう展開も…。童貞の人はもしかしたら捨てるきっかけになるかもしれない。もちろん、やれないかもしれないけど(笑)。

―これを観たら、やれるかもってことですね!

山田 そう考えると、ひでぇ作品ですね(笑)。

(撮影/河西 遼 (c)2018吉田貴司/ドラマ「やれたかも委員会」製作委員会・MBS)

■「やれたかも委員会」は4月24日(火)深夜1時28分~TBSほかにて放送開始! また、dTV・NETFLIXでも毎週水曜深夜0:00~配信。詳細は公式サイトまで

■佐藤二朗(さとう・じろう)1969年5月7日生まれ、愛知県春日井市生まれ。演劇ユニット「ちからわざ」を主宰し、全公演で作・出演を担当。その唯一無二のコミカルな演技で数多くのドラマ・映画にも出演、見るものを魅了する。

■山田孝之(やまだ・たかゆき)1983年10月20日生まれ、鹿児島県出身。1999年の俳優デビュー以降、青春映画からコメディ、シリアスな作品まで様々な映画やドラマ・CMなどに出演。映画『ハード・コア』の公開が控えている。