早くもチームメイトから愛されている大谷

日本でもなしえなかった3試合連続ホームランなど予想のはるか上をいく活躍を見せる、エンゼルスの大谷翔平。そのポテンシャルの高さは言わずもがな。

では、彼の何が今、ファンを惹きつけているのか? ライター・石田雄太氏とコラムニスト・えのきど いちろう氏が語る大谷翔平とは?

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石田(以下、) えのきどさん、そのエンゼルスの帽子、今年買われたんですか?

えのきど(以下、) これね、松井秀喜が入ったときに買ったヤツだから8年前かな。最近はこれをかぶって田町(東京・港区)にあるエンゼル街って飲み屋街で、知り合いの大谷ファンとエンゼル活動してます(笑)。大谷君の活躍にみんな上機嫌ですよ。

 僕はロサンゼルスにいたんで日本の温度感がわからなかったんですが、ワイドショーで連日、大谷選手が取り上げられるなど、かなりの大フィーバーだったようですね。

 バカ騒ぎですよ(笑)。評論家たちが「フォームをこう微調整した」とかいろんな理由をつけて語るんだけど、結局「スゴい、スゴい」と言ってるだけで、「大谷はなんであんなにスゴいのか?」って部分にはビタイチ触れることができない感じで(笑)。そこが大谷君のスゴさなんだけど。

 でも、北海道のときと今で何が変わったんですかね? 大谷選手がピッチャーもバッターも両方やるってことはみんな知ってたわけですし。

 こんなところに日本人、みたいなTV番組があるけど、やっぱり日本人としての誇らしさがあるんじゃないかな。「今頃、驚いているのか、アメリカ人!」っていうのも含めてね。

 現地で空気がガラッと変わったのは本拠地初戦(4月3日)のホームランからですよね。エンゼル・スタジアムの記者席は、一塁側の一番高い位置にあって、ホームランの弾道を真横から見られるんです。それを3試合続けて見せられるんですから、その臨場感とあまりの驚きぶりに声を失うというか、金縛りに遭うような感覚でした。

 日米両方の評論家、ファンを含めてすべての想像を超えたよね。あんなデビュー、やっぱり大谷君は普通の人間じゃないんだなって。

石 エンゼルですからね(笑)。

 あれで二刀流の懐疑派とかが一斉に黙ったでしょ。やっぱりスタートって大事で、最初に成功してみせるというのは、夢を手に入れる最短の道なのかもしれない。

栗山監督が大谷にツンデレ?

 日本にいたときに日本ハムの栗山(英樹)監督が「翔平は投げるのも打つのも、6、7割の力で他を圧倒できる余力があるからふたつできるんだ」とよく話していました。メジャーではそう簡単にはいかないだろうと思ってたんですが、練習を見る限り、少なくともバッティングに関してはまだまだ余力があるように思います。弾丸ライナーで軽々とスタンドに放り込んでいて、球場が狭く見えますからね。

 日本時代の打者・大谷って相手の得意な球を狙って打ってたイメージがあるんだよね。僕はメジャーでも今後それをやるような気がして、考えただけでも、ゾクゾクする。ちなみに栗山監督といえば、連日の大谷君に関するコメントがすごく面白くて。

 どんなのですか?

 3試合連続ホームランのときは「翔平にしては普通だな」、7回1安打に抑えても「ヒットを打たれている場合じゃない、普通だな」って。ツンデレというか、最初、ツンで入ってしまったばかりにデレになるタイミングを完全に失ってて(笑)。

 本当は喜んでいるんでしょうが、「翔平はこのぐらいで満足しちゃいけない」というメッセージでもあるのかも。

 僕は最後まで貫いてほしいんです。大谷君がサイ・ヤング賞を取っても、涙目で「普通だな」って言ってほしいよね(笑)。

◆大谷はなぜあんなに楽しそうなのか? この続きは『週刊プレイボーイ』19・20合併号(4月23日発売)「『大谷革命』の正体」にてお読みいただけます!

(写真/西山和明)