上がビフォー、下がアフター。この30代男性は前頭部に2500株移植。薄毛は頭のテッペンあたりまで進行していたが、植毛手術後は“オデコがけっこう広い人”ぐらいまでリカバリー

本当にまた髪が生える! 抜けてもまたずっと生えかわる! 自然だからバレない! 1回の手術でその後のメンテ不要! そんなAGA(男性型脱毛症)の救世主的存在、植毛手術!

この事実がにわかに信じ難いという皆さんのために今回は植毛に関する10のギモンを解き明かしていく。

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国内の植毛手術シェア全体の50%以上を獲得している業界最大手、アイランドタワークリニック。そこで、同院新宿院・坂本有孝(ありたか)院長に、植毛に関するギモンをバシバシぶつけてみたぞ!

Q1)そもそも植毛って何?

後頭部や側頭部などの自分の元気な毛を、薄毛部分に移植する医療手術です。厳密に言うと、植毛手術は“自毛植毛”と“人工毛植毛”に分かれるのですが、人工毛植毛は拒絶反応が起こりやすく、医学的にやるべきではないとまでいわれています。

そのため、近年は自毛植毛が主流になってきており、シェアが9割以上。自毛は人工毛と違い生着率は95%以上ですし、“植毛≒自毛植毛”と考えていいでしょう」

自毛植毛は成功率も安全性もすこぶる高いってことね!

Q2)増毛と植毛ってどう違うの?

「増毛とは自毛の根元に人工毛を結びつけるなどする技術で、医療行為の植毛とはまったくの別物です」

増毛は医療機関でなくとも行なえるが、植毛は専門医でないとできないってわけか。

Q3)植毛先の髪は本当に生え替わり続ける?

生え替わり続けます。移植しても抜けたら終わりでしょ、と思われている方も多いのですが、抜けてもまた何度でも生えてきます。ドナーとして採取する後頭部や側頭部の毛髪は、AGAの原因となる男性ホルモンの影響を受けにくいという性質があるんです。これを毛穴周辺の組織ごと薄毛箇所へ移植するんですが、元気な髪の性質はそのまま受け継がれるので、移植部がまた薄毛になることはほとんどありません

つまり、一度手術すれば、ほぼ一生ものってことね!

Q4)手術費用の目安はいくら?

総額100万円程度で済む方が多いです。医療ローンを適用できるので、ローンを組まれる方もいますね。当院では基本治療費20万円に加え、一株当たり1200円。“株”とは“グラフト”とも呼びますが、頭皮から採取した髪の毛とその周りの皮膚の総称です。1000株程度の植毛手術を希望する方が一番多いですが、500株程度だけ移植する人も少なくありませんね」

増毛や発毛サロンなどの場合、月々のランニングコストが数万円単位でかかるのに対し、植毛は一度手術すれば一生もの……そう考えたら意外とリーズナブル!?

Q5)植毛手術を受けるための条件は?

後頭部などに移植するための毛が残っている必要があります。言ってしまえば、植毛は現在ある髪の毛を移動させる手術ですからね。ちなみに株を採取していくため、厳密に言えば移植元の後頭部の毛の密度は薄くなりますが、ほとんど目立たない程度なので、スカスカに見える心配はほぼありません」

なるほど。さすがにツルッパゲだと自毛植毛はできないと。

(左)この40代男性はM字の生え際に1800株移植。かなりM字ハゲが進行していたが、ご本人いわく「恒久的な薄毛解消を目指して」植毛手術を決断したそう(右)この30代男性は生え際に1500株移植。かつては額の広さを隠すのに毎日苦労していたが、植毛手術後はヘアセットの時間を節約できるようになったという

植毛したことを周囲に隠し続けることはできる?

Q6)植毛手術のデメリットってあるの?

もともと生えている髪の毛の自然な密度には及ばないということが挙げられます。植毛手術ではカツラのように髪の毛がびっしり生えている状態をつくれるわけではないため、よく見れば頭皮の透け感が出てしまうかもしれません。また植毛部位以外のAGA進行が止まるわけではないという注意点もあります」

確かにアフター写真を見ると、少々密度の薄さを感じる。が、〝言われてみれば薄いかも〟という程度だろう。植毛だとバレることはあまりなさそうだ。

Q7)自毛植毛にはどんな方法があるの?

「主な方法は『FUE法』と『FUT法』の2種類。FUE法は極細パンチで頭皮から、株をひとつひとつ採取していきます。これに対しFUT法はメスで髪の毛を皮膚ごと切り取ってから、株を細かく分けていく方法。

当院のオペは前者のFUE法のみ。手術痕が小さく済むだけでなく、痛みもほとんどありませんからね。後者のFUT法は頭皮をメスで帯状に切り、その後縫合するのですが、手術痕が残ってしまいやすいですし、麻酔が切れたときの痛みも強いです」

ちなみにFUE法は高い技術を要する分、手術費用も割高になるそうだが……それだけの価値はある!?

FUE法ではメスは使わず、これらの専用医療器具で移植株を吸引して採取し、空気圧で移植していく

Q8)植毛手術の完了までの目安の日数は?

「当院のFUE法なら手術は1日で終わります。一例ですが1000株の移植ですと、約4時間で終了。ほかに、カウンセリングと検診での来院をお願いしています」

翌日検診で包帯が取れるそうで、手術翌日から仕事に行った患者さんもいるそう。

Q9)植毛したことを周囲に隠し続けることはできる?

「手術傷は2、3日で閉じますし、皮膚の赤みも1週間ほどで消えます。そして移植部位に、もともと生えている髪を垂らしたりして隠せば、周囲にはほとんどバレないと思います」

隠密ミッションも楽々か。

Q10)手術後、どれぐらい期間がたてば好きな髪型にできる?

髪が伸びるのを待つ必要があるため、半年後以降が目安。植毛手術後は途中で一時的脱毛を挟みますので、すぐに髪の毛が伸びるわけではありません。そのため好みの髪型にできるまでは半年から1年かかるでしょう」

植毛は、即効性に欠けるということは覚えておこう。

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―結論! 思ったよりデメリットは少なく、施した部位の毛は生え替わり続けるというのはどうやらウソではないもよう。

100万円オーバーという費用は決して安くはないけれど、年間何十万円もかけて増毛し続けたり、発毛サロンに通い続けるよりも、長い目で見れば植毛手術のほうがかなりコスパがよさそうだぞ!

★後編⇒植毛体験者、元プロ野球投手・ギャオス内藤「“カツラではない”という自信がある。でも後悔してるのは…」

アイランドタワークリニック新宿院の院長、坂本有孝先生。お若く見えるが、形成外科医として20年弱のキャリアを持つゴッドハンドなのだ!

(取材・文/昌谷大介、森井隆二郎、増田理穂子[A4studio] 撮影/下城英悟 田中一矢)