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社長が飛び込み自殺寸前まで追い詰められた――日本で唯一、障がい者のための保険会社はなぜ変われたのか?

[2018年05月06日]

ぜんち共済の榎本重秋社長(中央)の隣に社員の田平さん(右)と安齋さん。日本唯一の障害者のための保険会社の職場は今、とにかく明るかった

障がい者のための日本唯一の保険会社、ぜんち共済株式会社(東京・千代田区)

社員数17人の小規模な会社だが、ほとんどの保険会社が引き受けをしない知的障がい害者、発達障がい害者、ダウン症者、てんかん者とその家族のために個人賠償、入院、死亡など幅広くカバーする保険を扱っている。

社風はとにかく明るい。取材中、榎本重秋社長はよく笑うし、同席した社員との間でも何度か爆笑が起きた。残業は少なく、社員の意見も反映され、何より社会貢献を果たせる会社で働いているのは「本当に幸運です」と話す社員もいる。

だが、こうした会社になるまでの道のりは平たんではなかった。

榎本さんは勤めていた保険会社を退職し、『全国知的障害者共済会』(以下、共済会)の事務局次長に就任。障がい者を対象相手に会員数2万人まで増やしたまではよかったが、2006年4月、共済団体に『生命保険会社か損害保険会社になる』『少額短期保険業者になる』『事業をやめる』のいずれかを義務付ける改正保険業法が施行されたことで存続が危ぶまれる事態に晒された。(前回記事参照

それまで障がい者のための保険を扱っていた共済会は任意団体だったので、商品内容は自由に設計できた。だが改正保険業法が施行された以上、今後は国が認めたものしか保険商品にならない。その商品の保険料も数理専門家が算出したものでなければならない。

同年11月、改正保険業法に対応するため「ぜんち共済」が設立され、榎本さんが社長に就任する。

やる以上はニーズに応える商品を作りたかった、という榎本社長。例えば、障がい者が虐待や詐欺などに巻き込まれた時に弁護士が必要な場合がある。その弁護費用をカバーできる保険などが求められていたのだ。

それを実現するためにやるべきことは、まず「少額短期保険事業者」としての登録を受けることだったが、これがひと筋縄ではいかない。

「金融庁や財務省との折衝がやたらに壁が高いんです。毎週、金融庁に通って、金融庁の担当者である約款担当の課長補佐、保険数理担当の課長補佐、事務方の3人から毎回課題を与えられました。例えば『他の法律に影響がないかを調べましたか?』と問われたら、その回答を1週間後に用意しなければならない。

すぐに法律を調べるために、国会図書館や福祉団体などから情報を集め、土日もずっと机にかじりついて資料を作り直して、また折衝に臨む。でもOKが出ない。また新たな課題が出される。その繰り返しでした」

苦労したのは折衝だけではない。会社作りに必要な出資金、そして社員も集めなければならない。一緒に働かないかと知人に声をかけても、給料も決まっていないどころか登録もされていない会社に入る人間はいなかった。

設立当初、社員は榎本社長が以前勤めていた保険会社B社で働いていた女性と、彼女が連れてきた女性のふたりだけ(いずれも30代)。

「みんな僕の話を聞いても、『志はわかるけど…ごめん』と答えるだけ。そんな会社できっこないと思われていたんですね」


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