日本中を“とりこ”にする将棋界のアイドル・竹俣 紅さん

藤井聡太六段の活躍でにわかに沸く将棋界を筆頭にここ数年、「おじさんたちの趣味」だと思われがちだった将棋・囲碁・麻雀の分野に美人棋士が続々登場。  

そんな中で特に注目を集めるのが、プロの女流棋士にして、最近はTVのバラエティ番組でも活躍する竹俣 紅(19)だ。

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―元々、将棋を始めたきっかけは?

竹俣 小学校に上がる前、本屋さんで将棋の本を見つけ、駒に漢字が書いてあるのが面白そうだと思って。周りに指せる人がいなかったので、母がネットで探してくれた日本将棋連盟の子ども将棋スクールに行ったんですが、最初に小学6年生の男の子に勝ってしまって。嬉しくて、すぐ夢中になりました。

―プロの女流棋士を目指したのは?

竹俣 子どもスクールで指導をしてくれた方たちがプロの棋士であることを知って、漠然と目指すようになりました。中2の時に女流棋士になったんですが、最初はアマチュアと違って広いところで指せるんだなくらいの認識で。とはいえ、プロとしてお金をもらうわけですからね。その責任やプレッシャーを感じました。

―そのプロとして自分の成長を実感した出来事は?

竹俣 高校2年の時、目標にしていたリーグ戦(王位戦挑戦者決定リーグ)に入れたことです。女流の試合は公式戦の予選をトーナメント形式で勝ち上がらないと入れないんです。その中で最後まで勝ち抜けたのは自信になったし、大きな励みにもなりました。

―対局中は熱くなったりするんですか?

竹俣 熱くというか、自分が情けなく思うことはあります。なぜこの手を指したんだろうと思った時とか。

―それこそ負けた後、泣くことなんてあります?

竹俣 あります。小さい頃からお手洗いはいつも泣く場所です(笑)。将棋の負けって、一手を誤ることからなんです。だから「あそこでタイムマシンで戻れたら」なんて考えながら泣いていますね。

―プロの女流棋士として活躍する一方、芸能活動も行なっていますがどういう経緯で?

竹俣 17歳の時、自分で対局料などを管理し始めたんですけど、女流棋士の職を持ちながらも経済的に自立できていないことに気づいて。もうひとつ別の仕事をしようと思って事務所に入りました。芸能のお仕事は子供の頃から何度かTVに出演させていただいたこともあって身近だったんです。今はそちらでいただいたお金で大学の授業料を全て払っています。

―それは立派ですね。その大学では早稲田の政治経済学部在籍とかなりの難関ですし、受験も大変だったのでは?

竹俣 勉強は苦ではないですし、それに早稲田は将棋部が強いので、入学して将棋の勉強したかったんです。普段は授業の後、何もなければ部室に行って指しています。強い先輩も多くて、すごく勉強になりますね。

恋愛がらみの質問、苦手なんです(笑)

―大学でまで将棋にどっぷり…でも仕事と学校の両立は大変では?

竹俣 公式戦の対局がある時は休みますけど、芸能のお仕事は授業後の時間帯でやらせていただいてます。空いた時間は全て将棋の研究に費やしていますね。もちろん体力的に辛いと思うこともありますけど、その分、充実しています。

―仕事も学業も両立して、容姿も端麗で非の打ちどころがないですね。不得手なものはないんですか?(笑)

竹俣 運動が大の苦手ですね(笑)。走るのはものすごく遅いし、球技などもまるっきりダメ。体育は昔から大嫌いでしたね。

―あははは。意外な素顔(笑)。休日の過ごし方は? 19歳の女子大生らしく、ショッピングとか?

竹俣 洋服は最近ようやく気づかうようになって、たまに買いに行きますけど、普段は部屋から動かないですね。パソコンにずっと向かって将棋の研究や勉強をしています。母からは、散歩にでも行けとよく注意されますよ(笑)。

―そこまでインドア派だと恋愛とか入り込む余地がなさそう(笑)。ちなみに好きな異性のタイプは?

竹俣 普段あまり考えないし、そういう質問、苦手なんですよね(笑)。そうですねー。しっかりしていて思いやりのある方がいいです。外見よりも中身、重視です。

―無茶ぶりしてすいません(笑)。では今後の目標は?

竹俣 女流棋士としては、またリーグ入りを果たすのが当面の目標です。それ以外ではTVで子供向けの将棋番組をやりたいですね。親御さんも観るので、広く将棋を普及できると思うので。

特に女の子にはもっと将棋をやってほしいです。イベントなどで小さな子に「紅ちゃんを見て、将棋を始めました」とか言われると本当に励みになります。

―ただでさえ時間がないのに、今後はより多忙になりそうですね。

竹俣 両親は女の子なんだから、もっと気楽にやればいいのにと思ってるみたいです。それこそニートでもいいって(笑)。でも働くことは好きで、バリバリ活動をしていきたいほうなんです。すべて将棋が本当に好きだからやれるんだと思います。

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(取材・文/大野智己 撮影/武田敏将)

●竹俣 紅(たけまた・べに)1998年6月27日生まれ 東京都出身 日本将棋連盟所属の女流棋士 ○2012年プロ入りし、2016年女流初段へ昇段。棋風は居飛 車党。今年1月にフォトエッセー『紅本』(パルコ)を出版。