コロンビア戦で香川か本田のどちらを起用するかが注目される西野監督トップ下を務めるのは、本田圭佑か、香川真司か――。

ワールドカップ初戦のコロンビア戦における焦点のひとつ、日本国内最大の関心事が、これだろう。

2014年のブラジル大会では本田がトップ下で香川が左サイド、それ以降は本田が右サイドに回り、香川がトップ下に入ることで共演してきたが、ふたりは今回、トップ下をめぐって、熾烈なポジション争いを繰り広げている。

「選手の良さを最大限に引き出したい」と語る西野朗監督が、ともにトップ下でこそもっとも輝くと考えられる2人を同時にピッチに立たせる可能性は、極めて低いと思われる。

パラグアイとの親善試合で、1得点2アシストをマークした香川の勢いを買うか、大舞台での勝負強さを見込んで本田を起用するか。

むろん、そこには戦術面における狙いも関係してくる。前線からプレスを仕掛けてボールを奪い、「コンビネーションで攻め込みたければ香川」、ブロックを敷いて粘り強く守り、「少ないチャンスのなか敵陣でタメを作りたければ本田」というように。

前々日のトレーニングを終えた時点での予想スタメンは以下のとおりだ。

GK川島永嗣、DF酒井宏樹、吉田麻也、槙野智章、長友佑都、MF長谷部誠、柴崎岳、原口元気、香川、乾貴士、FW大迫勇也。

ただし、コロンビアの背番号10、トップ下のハメス・ロドリゲスにマンマーカーをつけることも考えられる。その場合の適任は山口蛍だろう。となれば、長谷部をサブに回すことになるが、果たして西野監督が全幅の信頼を置くキャプテンをベンチに置くだろうか。

「どれだけ粘り強く我慢できるか。我慢しながらセットプレーか、カウンターで、それぞれの選手がひとつ仕事をできれば、勝機はある」

右サイドハーフでの先発が濃厚な原口がこう言うように、日本としては可能な限り0‐0のままゲームを進めたい。グループ内でもっとも弱いと見られている日本 から勝点3を確実に奪いたいコロンビアを、いかに焦らせることができるか。逆に、日本が得点を焦って必要以上に攻め急げば、たちまちコロンビアのカウン ターの餌食になるだろう。

一方、攻め急ぐことなくしてゴールを奪う術も磨いてきた。非公開で行なわれた15日のトレーニングでセットプレーを入念に確認したのだ。

「リスタートを含めて隠している部分がある」と西野監督が明かしたように、トリックプレーやサインプレーなども準備しているようだ。キッカーを担うボランチの柴崎岳は言う。

「コロンビアがどうこうというより、自分がしっかりいいボールを蹴ることを意識したい。狙いを持ってチームとして合わせられれば、どんな相手にもセットプレー は得点源になる。そのうえで、コロンビアは多少ルーズなところも見えている。流れのなかでもそういった時間を大切にして得点につなげたいと思います」

西野監督が就任したのは4月。これまで、ガーナ戦、スイス戦、パラグアイ戦とテストマッチが3試合しかなく、準備期間は決して十分ではなかった。それでも選手間、選手とスタッフ間でディスカッションを進め、可能な限り細部を詰めてきた。

過去5大会を振り返ってもわかるように、日本にとってワールドカップは初戦がすべて。ドロー決着だったとしても、チームは勢いに乗れるはずだ。4年前、W杯ブラジル大会で1‐4と大敗した因縁の相手に対し、総力戦で勝点をもぎ取りたい。