刑務所が高齢者の生きる場所になっている?

刑務所で高齢の受刑者が増加しているという。

『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が、この問題の本質を考える!

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ホリ 今回のテーマは刑務所にしたいんだけどいいかな?

ひろ おぉ......。もちろん、いいっすよ。高齢の受刑者が増えているってニュースですかね?

ホリ そう。刑務所では受刑者が社会に出てからちゃんと働けるようにする就労支援もしているんだけど、その努力もむなしく高齢受刑者の6、7割が戻ってきちゃうってニュース。「刑務所のほうがいい」って再犯を繰り返すらしい。

一般の人からすると不思議な感覚かもしれないけど、俺は"長野の別荘"で衛生係として高齢者や体の不自由な受刑者の介助の仕事をしていたから、この気持ちはよくわかるんだよ。

ひろ そういう高齢の累犯者って、現実的に仕事をするのが無理だったりするんでしょうね。んで、雇う側としても、まともな仕事をしたことがない高齢者じゃなくても、ほかに働いてくれる人はたくさんいるわけで、結局、食えなくなって、また罪を犯して刑務所に戻ると。

ホリ しかも、刑務所のご飯って意外とおいしいんだよ。基本、薄味だけど、出来たてで温かいし。

ひろ 自分で作らなくても3食必ず出てきますからね。しかも病気になればタダで病院にも行ける。つまり、ある種、24時間の見守り介護みたいになっているんすよね。一方で、刑期を終えて社会に出ても、誰も世話をしてくれないし、生活保護を申請しても、却下される可能性もある。

ホリ ずっと見られるわけじゃないけどテレビもあるし、映画の上映会もある。新聞もタダ。作業もあるから退屈もしない。

ひろ 生活保護や社会保障では、そこまでやってくれないですからね。あとは、同じ境遇の話し相手も大勢いるじゃないですか。ニュースによると「刑務所なら楽しく話ができる」という受刑者もいるみたいです。

ホリ そそ。コミュ障の人も多いからね。で、そんな人たちからすると、刑務所は仲間外れになりにくい。そう考えると、人によっては安住の地になっているんだよ。刑務所って怖いイメージもあるかもしれないけど、慣れてしまえば平気な人も多いはずだよ。

ひろ ずいぶん前から病院が高齢者のたまり場になっているという話がありますよね。同じように刑務所が高齢者の生きる場所になっているというのは、社会の仕組みがだいぶ間違った形で使われているような気がします。

ホリ これは難しい問題だよ。

ひろ でも、刑務所も税金で賄われているわけですし、そこにコストを払うなら社会保障としてばらまいたほうがまだ健全なのでは? で、代わりに刑務所の環境をめっちゃ悪くするとか......。

ホリ いや、基本的人権は受刑者にもあるから、それはやるべきではないと思うんだよ。

ひろ う~ん。じゃあ、この問題って、お金で解決できる話でもないですね。

★後編⇒「日本で大きな問題になる!」とホリエモン×ひろゆきが憂慮? "金なし非モテおっさん"の孤独とは...

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『10年後の仕事図鑑』(SBクリエイティブ)が好評発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき)
1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『働き方 完全無双』(大和書房)