4月は就職や進学にともない免許を取ってクルマに乗る人、転勤など仕事の環境が変わり、見知らぬ土地でひさびさにクルマに乗る人が増える季節だ。
ところで、クルマの運転と切っても切り離せないのが「交通違反」。もちろん、違反そのものは道路交通法に抵触する行為だから、イケナイことなのは間違いない。
ただ現状、日本の道路環境では、「制限速度よりも速い交通の流れ」「繁華街などでの歩車混合交通」「駐車場不足」など、"たまたま"や"うっかり"で、交通違反になってしまうケースが多々存在する。
ここではそうした"たまたま""うっかり"で反則切符を切られることがないよう、最新の交通違反取締りの手法をいくつか紹介しよう。
* * *
■覆面に見えない覆面パトカー
まず最近増えているのが、「携帯電話使用等(保持)」の組織的な取締りだ。かつてはパトカーからの目視などで摘発されることが多かったこの違反だが、最近は渋滞中の道路の路肩などに自転車に乗った警察官が待ち構え、ノロノロ動くクルマを監視、ケータイやスマホを手にするドライバーを見つけると素早く駆け付け、摘発するパターンが多くなった。
渋滞中に電話が着信すると「いまクルマは止まってるから」とつい手に取ってしまいがち。しかしクルマが動き出せば、立派な違反になってしまう。反則点数は3点、反則金は1万8000円(普通車)と、その代償は小さくない。
なお首都高の出口に監視役の警察官を置き、電話しながら通過するドライバーを確認すると、その先に待ち構える別の警察官がクルマを止め、摘発するという手法も目撃されている。こちらも要注意だ。
つぎに覆面パトカーによる速度取締りだ。「覆面パトカー=白や銀のクラウン」というのはもう過去の話。近年は「トヨタ マークX」や「スバル インプレッサ」など、採用される車種が多様化している。
とくに東京でしばしば目撃されているのは「トヨタ カムリ」の覆面パトカーによる速度取締りだ。なんとこのカムリ、ノーマルではなく、チューニングパーツメーカー「TRD」のエアロパーツを身にまとっているため、外観からはとても覆面パトカーには思えないところがポイント。
湾岸道路(国道357号)や環七通り(都道316号)、八王子バイパス(国道16号)など、ついつい速度が出てしまいがちな広い道路に出没している。
また埼玉では「スバル WRX S4」の覆面パトカーが配備され、東京外環道などで取締りを行なっている模様だ。こうした「覆面に見えない覆面パトカー」をうっかり追い抜いてしまうと、あっという間に摘発されてしまう。広く走りやすい道路でも、ちゃんとメーターの速度を確認することが重要だ。
■裏通りや住宅街での速度取締りが拡大
またレーダーなどを使った路上での速度取締りも、その手法を変えてきている。これまでのいわゆる"ネズミ捕り"では、待機する警察車両や摘発したクルマを留め置くスペースが必要で、通りや郊外のバイパスでの実施が一般的だった。
ところが最近は裏通りや住宅街での速度取締りが全国で拡大している。その立役者となっているのが「可搬式オービス」だ。
可搬式オービスはクルマとドライバーの写真、速度を記録することができる。その記録にもとづき、後日ドライバーに違反を通告するため、取締り場所にクルマを止める場所を確保する必要がない。またサイズも小型化され、警察官2名での運用も可能だ。そのため狭い道での速度取締りに最適というわけ。
また狭い道での取締りが可能になったということは、生活道路における歩行者や自転車の安全な通行を確保するために30km/hの速度制限を行なう「ゾーン30」など、制限速度の低い場所での取締り実施の増加に直結する。
住宅街など狭い道に入ったら、標識や標示で制限速度をしっかり確認して走るクセを身につけたほうがよさそうだ。
なお警視庁ほか、いくつかの道府県警においては、「交通公開取締り情報」として、ホームページで速度取締りの実施場所を、通りの名称および住所で詳しく紹介しているところもある。
新生活になれるまでは、こうした公開された情報も参考に、安全運転に努めよう。