SUVのゲームチェンジャーという使命を背負って、昨年11月にデビューしたレクサスLBXを山本氏が横浜で徹底チェック!! SUVのゲームチェンジャーという使命を背負って、昨年11月にデビューしたレクサスLBXを山本氏が横浜で徹底チェック!!

ニッポンで最も注目を集めているコンパクトカーこそ、トヨタの高級ブランド「レクサス」がぶっ放したLBX。つーわけで、開発責任者を取材した自動車研究家の山本シンヤ氏が特濃解説する!!

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■スニーカーから始まった小さな高級車の開発

山本 レクサスが〝小さな高級車〟と胸を張る新型コンパクトSUV「LBX」を公道試乗してきました!

――レクサスのラインナップの中で最も小さなモデルとして話題を集めていますね。

山本 これまでトヨタを含めた世界中の自動車メーカーが、小さな高級車に挑んできましたが、実を結んでいないのが現状です。そこに風穴をあけるべく、今回、レクサスが立ち上がりました。

――小さな高級車プロジェクトはどんな形で始まったの?

山本 LBXの開発責任者であるレクサスインターナショナルの遠藤邦彦氏に話を聞きました。遠藤氏によると、レクサスのブランドホルダーである豊田章男氏(現トヨタ自動車会長)から「本物を知る人が週末に素の自分に戻り、Tシャツとスニーカーで乗れる高級車を造りたい。例えば、私が愛用しているスニーカーのようなクルマだね」と提案されたそうです。

レクサスインターナショナルLBX開発責任者の遠藤邦彦氏。LBXの開発を指揮した遠藤氏。小さな高級車の開発をどう進めたのかをじっくり聞いた レクサスインターナショナルLBX開発責任者の遠藤邦彦氏。LBXの開発を指揮した遠藤氏。小さな高級車の開発をどう進めたのかをじっくり聞いた

――プロジェクト開始のキーワードはスニーカーだったと。

山本 正確には〝ハイブランドのスニーカー〟ですね。しかし、遠藤氏は当初、この豊田氏の言葉の本質をとらえきれなかったそうです。そこで、当時、レクサスのプレジデントだった佐藤恒治氏(現トヨタ自動車社長)と一緒に、「とにかくそのスニーカーを買って履いてみよう」となったそうです。

――実際にスニーカーを履いて何か見えた?

山本 遠藤氏は、「『スタイリッシュさ』『フィット感』『疲れない』『華美ではない上質さ』『劣化しにくい』など革靴にはない、いつまでも履いていたくなる魅力が理解できた」と語っていましたね。

こちらがLBXの開発テーマとなった高級スニーカー。左が遠藤氏、右が山本氏 こちらがLBXの開発テーマとなった高級スニーカー。左が遠藤氏、右が山本氏

――開発は順調に進んだ?

山本 既存のコンポーネント(トヨタ・ヤリスクロス)の中で最善を尽くし、遠藤氏はその試作車を豊田氏に披露しましたが、「これしかできないなら、いらない」と悲しそうな声で言われたと。

――あちゃー。

山本 トヨタの人間には、「与えられた素材で全力を尽くす」という、いわゆる〝トヨタイズム〟が染みついている。一方で、豊田氏は勇気を出してその殻を打ち破り、新たな一歩を踏み出してほしかったのではないかと。

――遠藤氏はその殻をどう打ち破ったんスか?

山本 佐藤プレジデントに相談し、背中を押された遠藤氏は、「もう思い切ってやりたいことをやる!」と覚悟を決めて突き進んだそうです。

デザインを統括するサイモン・ハンフリーズ氏と話をすると、「プロポーションのいいクルマを造るためには、ちゃんとしたパッケージじゃないとダメ」と言われ、その実現のため、形式上はヤリスクロスと同じ骨格ですが、中身はほぼLBX専用に大改造!

遠藤氏は、「もはや、ヤリスクロスのかけらもない」と笑っていましたね。

――ちなみにLBXの開発のきっかけとなったスニーカーはどこ製のものなの?

山本 フランスのメゾン マルジェラというブランドです。ちょっと調べると、「高級の概念を変える」「肩書ではなく役割で仕事をする」「時代を超えた普遍性」など豊田氏がこだわるモノづくりの思想と似ていた。

そこで、僕も出血覚悟で約8万円のスニーカーを購入しました。実際に自分で履かないと理解できませんからね。ただ、支払い時は震えました(汗)。

レクサス LBX 価格:460万~576万円 ボディサイズは全長4190㎜×全幅1825㎜×全高1545㎜。ホイールベースは2580㎜。パワートレインは1.5リットルのハイブリッドを搭載 レクサス LBX 価格:460万~576万円 ボディサイズは全長4190㎜×全幅1825㎜×全高1545㎜。ホイールベースは2580㎜。パワートレインは1.5リットルのハイブリッドを搭載

――開発テーマの高級スニーカーを履き、LBXを試乗したら何が見えました?

山本 豊田会長の要望を具現化したクルマに仕上がっていると感じました。SNSには「レクサスはデラックストヨタだよ」とか「ベースのヤリスクロスより200万円も高いじゃん!」という声も散見されますが、完全に別物です。

――気になる乗り味は?

山本 軽快なのに重厚という、不思議な感覚でしたが、これはレクサスが目指す「二律双生(相反する事柄の両立)」を明確に、そしてわかりやく表現したものですね。

リアのランプは一文字タイプ。ちなみに最小回転半径は5.2mなので、取り回しはチョー楽チン リアのランプは一文字タイプ。ちなみに最小回転半径は5.2mなので、取り回しはチョー楽チン

コックピットの注目は9.8インチのセンターモニター。タッチ式でナビなどの操作を行なえる コックピットの注目は9.8インチのセンターモニター。タッチ式でナビなどの操作を行なえる

――LBXのお値段は?

山本 460万円スタートで、最上級モデルは576万円です。

――まさに小さな高級車! そんなLBXには隠し玉が? 

山本 はい。今年1月の東京オートサロンに出展され、大きな話題を呼んだハイパフォーマンス版となる「LBXモリゾウRRコンセプト」はチョー注目のモデルですよ!

市販化希望の爆速モデル!! LBXモリゾウRRコンセプト すでに「東京国際カスタムカーコンテスト2024」のコンセプトカー部門で最優秀賞を戴冠! 市販化希望の爆速モデル!! LBXモリゾウRRコンセプト すでに「東京国際カスタムカーコンテスト2024」のコンセプトカー部門で最優秀賞を戴冠!

――スペックは?

山本 304PS/400Nmを発生する1.6リットル直列3気筒インタークーラーターボエンジンを搭載し、トランスミッションは新開発のダイレクトシフト8速ATです。さらに駆動方式は電子制御4WD! 随所にGRヤリスで培った技術が融合されています。つまり、自動車競技に参加できるポテンシャルを備えている。

――ズバリ、市販化は?

山本 レクサスに聞くと、「市販化に向けて舵を切っている」とのこと。今年中に公式アナウンスがあるかと!

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