LINEなどメッセージアプリでのビジネスのやりとりにどれくらいの人が悩んでいる? LINEなどメッセージアプリでのビジネスのやりとりにどれくらいの人が悩んでいる?

LINEなどメッセージアプリでのビジネスのやりとりが当たり前になった時代。若者世代が今悩んでいるのは、上司や同僚からの返しが「。」で終わっていると不安だということ。

どれくらいの人が悩んでいる? では、上手な返しは? など、各世代別にアンケートを取ってみました!

■「。」で終わるのが不安な割合は?

社内や取引先とのビジネスのやりとりもLINEなどのメッセージアプリで行なう機会が増えているが、上司世代は定型的なビジネスメールの文章から抜け出せていない面もあるようだ。

そんな中で生まれてきた問題が、「了解です。」など、文末が「。」で終わるメッセージに若手世代が威圧感や不安感を覚えているということ。最近はそれを「マルハラ」といい、ハラスメント認定する動きまで出始めている。少し大げさに騒ぎすぎている気もするが、若者世代からはこんな声が。

「コンペのプレゼンがうまくいかず、上司にそのことをLINEで報告したら『了解です。お疲れ様でした。』とだけ返ってきた。プレゼンが微妙だったことに落ち込んでいるのに、その返信を見て『怒らせちゃったかな』とさらに落ち込み、会社に戻るのがおっくうになった」(広告・24歳)

こうした声を踏まえて、20代から50代の各世代100人計400人の男性会社員にアンケートを取ったところ、上司の「了解です。」という返事について、20代では約半数が「不安」「やや不安」と答えた一方で、50代は「不安ではない」「あまり不安ではない」という回答が7割近くにも上った。やはり世代によってメッセージの文末に対する意識の違いがあるようだ(Q1)。

こうしたやりとりに関する齟齬(そご)について、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)の著者でビジネスマナー研究家の後田良輔氏はこう分析する。

「マルハラが発生する理由は、上司世代と若者世代で連絡の目的がずれていることが原因。上司世代の目的は、あくまで仕事の進行管理。一方、若者世代は進行よりも人間関係に意識が向くため、『嫌われたくない』『失敗したくない』と思い、相手の反応を必要以上に気にしてしまいます」

では、どのような「了解です」なら若手世代は安心してくれるのか? アンケートの結果、約4割の若手が「了解です!」が最も安心する返信だと回答(Q2)。

「文章は感情が伝わりづらいので、上司やクライアントからの連絡だと怖く感じてしまうときがある。ビックリマークがつくと、なんだか明るくポジティブな雰囲気になって安心する」(運送・25歳)

文末が「!」になるだけで、印象が変わると答えた若者世代。ただ、アンケートによると、6割程度の50代が文末に「。」を「必ず使う」「ほぼ毎回使う」というのも事実(Q3)。では、どうすれば、マルハラと思われない? 後田氏に聞いた。

「無理に文末の句読点や記号で寄り添うよりも、『了解です。大丈夫。』や『了解です。一緒に考えよう。』と、思いやりの言葉をひと言足すのが本質的な問題解消になるでしょう」

また、上司世代も何も考えずに毎回「。」で終わっているわけでなく、3人に1人程度は、部下に怒りを感じた際に文末表現を変えていることが判明(Q4)。もし上司のメッセージの雰囲気が「いつもと違うかも」と感じた場合、部下はどのように対応すべき? 後田氏が続けて解説してくれた。

「文面でコミュニケーションを取ることをやめ、アナログコミュニケーションに変更しましょう。メールやLINEでの『すみませんでした』はその場しのぎに見えますが、肉声の『すみませんでした』はしっかりした謝罪に聞こえます。

上司の文面に違和感がある場合は、相手が何か言いたいことがあるとき。そのガス抜きをしてあげるのがコミュニケーションの正解です」

■「?」や「(笑)」に困る若者も

若者の間では、「マルハラ」以外にも上司から送られてくるメッセージにストレスを感じるシーンがあるようだ。そのひとつが、疑問形の文末の「?」の使い方に不安を感じる「?ハラ」(Q5)。

「上司から、締め切りを過ぎているわけでもないのに『どうなってますか?』とメッセージが来ると、思わずビクッとしてしまう。向こうも催促しているつもりはないんだろうけど」(SE・31歳)

この場合の「?」の使い方についてアンケートを実施したところ、最も安心感があるのは、文末に「?」を2連続でつける「どうなってますか??」ということがわかった(Q6)。この結果について、後田氏が補足してくれた。

「『??』を使うのもいいですが、やはり根本的解決を目指すなら、足す言葉の定型文を用意しておくこと。『どうなってますか?』ではなく『少し詳しく教えてくれる?』など、最初から誰もが『嫌ではない言葉』を考えておき、それを使う習慣を持つといいと思います」

メッセージにおけるハラスメントは、文末表現だけにとどまらない。上司の冗談に何かしらの反応をしなくてはならない「ギャグ返信ハラスメント」に悩む若者もいる(Q7)。

「同期だったらスタンプひとつで返すか無視すればいいけど、上司相手だとそうはいかない。面白くなくても、いかに面白いと思っているか文章で表現するのが難しい。しかもグループラインだったら上司をすべらせるわけにもいかないし」(広告・24歳)

これは今の若手に限らず、上司世代も若い頃に経験してきた悩みでは!? ちなみに、上司に「面白い」ことをLINEで伝える際、若手世代、上司世代共に「面白いです。」など文章で返す人が1位だったが、若手世代の半数は文末に「(笑)」や「笑」、スタンプだけで返していることがわかった(Q8)。令和の正解はどんな形? 後田氏が語る。

「結論から言うと、若者世代は何も気にせずリアクションしてOKでしょう。上司世代は日常生活の中でも、妻や子供などからギャグをスルーされているもの。どんな形でも、部下たちから反応してもらうだけでうれしいものです」

内容は深く気にせず、反応をいかに早くするかのほうが重要なようだ。

■部下からのLINEにイラッとするシーン

ここまでさまざまなハラスメントを挙げてきたが、もちろん上司世代も不満をため込んでいる。若手世代から上司世代への、イラッとする「逆ハラスメント」的なメッセージも多いようだ。

若手は上司に「!」で文末を終えてほしいとのことだったが、上司世代にアンケートを取ったところ、「承知しました。」と「承知しました!」では「。」派がやや多いという結果に(Q9)。

ただ、「承知しました!」派も4割近くいるので、自分の上司がどちら派なのかは見極めが難しいところ。上手な探り方について後田氏はこう語る。

「粛々と進行すべきときは『。』、プレゼンの勝利などのいい話をする場合は『!』といった使い分けを基本とすると、上司からネガティブな評価をされるリスクはほぼなくなります。

また、上司と日常的に連絡を取っている場合は、相手がよく使う表現を選択するのがベターです。心理学に自分と同様のしぐさや行動をする人に好感を持つ『ミラーリング』という効果があるように、相手と同じ選択が好意を引き寄せます」

上司世代の不満はこんなシーンでも。

「部下の遅刻が多いので、やんわり注意するメッセージを送った。すると『承知しました><』という顔文字付きの返事と、『ごめんなさい』とキャラクターが頭を下げているスタンプが送られてきた。正直、反省しているように思えない」(IT・45歳)

「仕事のアポイントの確認をしたく、こちらから部下にメッセージを送った。すると、LINEのリアクション機能だけで返してきた。あれ、返信されたことが通知されないのでやめてほしいんですよね」(広告・40歳)

このように、顔文字やスタンプ、LINEのリアクション機能など、若手がプライベートで使うものについては4割から5割程度の上司が「腹が立つ」「気になることもある」(Q10からQ12)と回答したが、どう使用すべき? 後田氏が語る。

「上司世代が嫌うのは『TPOに合っていない』や『そのスタンプでどう判断すればいいの?』と考えさせられること。逆に言えば、情報の交換として成立しているのならスタンプを使っても、大きな問題になることはないはずです。

いずれにせよ、今は連絡をメールやLINEで終わらせようとしがちなので、リアルなコミュニケーションを心がけることが大事。上司世代もそれを望んでいるはずです。

日頃から意識的に話しかける、たまにランチに一緒に行くなど、こんな時代だからこそ、直接の会話を見直すことをオススメします」