2018年にドイツで初公開され、世界中のバイク好きをたぎらせまくった新型KATANA。確かに走る姿はマジカッケー!

令和に復活した伝説のバイク「SUZUKI KATANA」が絶賛バカ売れ中だ。気鋭のモーターサイクルジャーナリスト・青木タカオ氏ががっつり試乗し、その人気の秘密を徹底解説してくれた!

■最強エンジン搭載もとっても扱いやすい!

――今年19年ぶりに復活した大型二輪「KATANA」が大人気らしいスね!

青木 年間販売目標1000台のところ、発売1ヵ月で2000台を突破しました。

――なぜ今、復活を?

青木 カワサキがZ1イメージのZ900RSを発売するなど、バイク界ではネオレトロブームが湧き起こっていて、ファンは待ち望んでいた。LED化された角形ライトや、燃料タンクから車体の先端までシャープで流れるようなラインをあしらった往年のデザインを新型も踏襲してます。

――KATANAはシルバーのイメージでしたが、新型は黒も設定。カスタムではやったブラックを選べます。

青木 実は黒が選べるようになったのはKATANA史上初。ブラックカタナは80年代の人気テレビドラマ『西部警察』で舘(たち)ひろし扮(ふん)する鳩村刑事の愛車だったことから話題に。銀か黒か、今、人気は五分五分と聞いています。

「SUZUKI KATANA」価格151万2000円(税込)。新型は初代のイメージと名前を受け継ぎ、今年5月に復活。世界中で大人気

――初代ファンの反応は?

青木 人気車だけに、白熱の議論がアチコチでされていますが、新旧両方持ちの人ももういます。現代の高性能マシンですから、別モノとして魅力を感じているんでしょう。

――やっぱり走りは別次元?

青木 当然です。高速道路も快適で、街乗りから峠道まであらゆるシチュエーションで、自在に操れるハンドリングは軽快さ抜群。実はブレンボ製ラジアルマウントモノブロックキャリパーなど、以前なら垂涎(すいぜん)ものの高性能パーツが惜しみなくノーマル状態から装備され、足回りの充実が身のこなしの軽さをいっそう引き立てているんです。

メーターは液晶。速度、エンジン回転数、燃費、走行可能距離などを表示ヘルメットホルダーになるフックも備わるが、ETCは標準装備されていない

――欲しくなってきた!

青木 購入時はぜひ試乗して足着き性を確かめてください。跨(またが)ると腰高な印象で、サスペンションも硬めのセッティング。ダラッと走るよりかは、積極的に操ることを想定していることがわかる本格派なので。

――価格も気になります。

青木 車両価格は151万2000円(税込み)ですが、正規販売店のスズキワールドによれば、諸費用を入れた乗り出しは155万円くらいだと。

――新型KATANAを買ってる人たちというのは?

青木 バイク好きの40歳以上を中心に、「KATANAなら、久々に二輪生活に復帰してもいいな!」って考えたリターンライダー、そして初代のことを知らなくても新型を見て、ときめいてしまった若い新規層......と、けっこう幅広いようです。

――大排気量モデルなのに、乗り手を選ばないんですか?

青木 究極のストリートバイクとして開発されているから大丈夫です。まず心臓部は、サーキットで勝つために生まれたギンギンのスーパースポーツ、GSX-R1000譲りの水冷DOHC4バルブですが、あえて低中速域の力強さで定評のある2005年から08年のパワーユニットを積み、さらに街乗りでも扱いやすいように常用回転域のトルクを太らせているんです。

エンジンは水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ。最高出力は148PS

――どういう効果が?

青木 ストップ&ゴーを繰り返す市街地走行を想定しているから、誰が乗っても扱いやすく、そして加速が鋭くなっています。

――実際、乗った感想は?

青木 ビッグバイク専門誌の見習い編集部員から始まり、新車が登場するたびに25年以上いろいろなバイクに乗ってきましたが、これほどにまで普段使いを重視して作り込んできた大型バイクはなかなかありませんよ。

――ちなみに海外の評価は?

青木 高評価は海外からも聞こえてます。辛口なヨーロッパのジャーナリストたちが、「よくぞ、このエンジンを選んだ」って絶賛していますからね。

――マジっスか!

青木 最新モデルらしく電子制御も充実していて、スリップを制御して駆動力を効率よく路面に伝えるトラクションコントロールや、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABSなどで安全性を高めています。そして、乗りやすさに貢献しているのが、ローRPMアシスト。

クラッチをつなぐときに、エンジンの回転数が落ち込んで、エンストしたりギクシャクすることってありませんか? もしアクセルを開けるのが足りなくとも、自動で回転を上げてスムーズな発進を手助けしてくれるんです。

――その機能はうれしい。

青木 注目を集めているアップハンドルもコントロール性を重視した結果です。開発陣がいろいろな仕様を試した上で、リラックスした乗車姿勢で良好な視界も確保でき、着座位置とグリップが近づくことでライディングポジションの自由度が高まり、疲労軽減にもつながると、最終的に選ばれたそうです。

フロントのブレーキキャリパーはブレンボ製。リアにはニッシンを装着

――音も迫力があります。

青木 アイドリングからもう重低音が利いて凄味(すごみ)があり、高回転域では4発エンジンらしく伸びのある高揚感ある排気音となるよう、サウンドチューニングされています。

――最後にズバリ、KATANAのびんびん度は?

青木 100%びんびんです!

●青木タカオ(あおき・たかお)
1973年生まれ、東京都出身。法政大学卒業。バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。バイク専門誌を筆頭に執筆媒体多数。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み』(秀和システム)など。バイク専門誌の編集長経験もアリ!