関係者からは「政府は朝鮮幼稚園外しのために各種学校全体を外した」との声も聞かれる

10月1日スタートの幼児教育・保育(幼保)無償化措置から、外国人向けの幼稚園だけが外されようとしている。政府が、「『各種学校』に当たる幼稚園は"幼児教育の質が制度的に担保された施設"ではなく、無償化の対象にならない」との決定を下したのだ。

全国紙社会部記者はこう説明する。

「各種学校として認可を受けている幼児教育施設はすべて外国人幼稚園なので、これは事実上、外国人幼稚園の無償化除外を意味します。その数は朝鮮学校幼稚園が40、ブラジル系やインターナショナルスクールなどが48で、合計88園です」

この政府決定に、幼保無償化問題に詳しい金 星姫(きん・そんひ)弁護士はこう首をひねる。

「無償化の対象は幅広く、認可外保育施設やベビーシッター、ベビーホテルなども支援の対象となる見込みです。各種学校の認可を受けて運営されている外国人幼稚園だけが対象外というのは理解できません。各種学校の外国人幼稚園に通う子供たちを対象外とするのは、幼保無償化を規定した『子ども・子育て支援法』の『全ての子どもが健やかに成長することを支援する』という基本理念を踏みにじるものではないでしょうか」

しかも、先に行なわれた無償化の対象拡大を検討する政府のヒアリングにも、外国人幼稚園の関係者は呼ばれることすらなかったという。ある外国人幼稚園の保護者はこう憤る。

「当初、無償化の対象は幼稚園、認可保育園、認定こども園の3施設だけになるはずでした。ところが、認可外施設を利用する保護者から不公平だと不満が出たことを受け、2018年1月から5月にかけて認可外や幼稚園類似施設の関係者が呼ばれ、各地でヒアリングが行なわれました。その結果、無償化の対象が拡大したという経緯があるんです。

ところが、なぜか外国人幼稚園だけはこの政府ヒアリングに一園たりとも呼ばれていません。政府は『各種学校だからダメ』と説明していますが、最初から外国人幼稚園を外すつもりだったのではないかと勘繰りたくもなります」

前出の金弁護士が続ける。

「外国人幼稚園が幼保無償化の適用を訴えているのは、何も保育費の負担軽減だけが目的ではありません。『外国人の施設は"別物"』という差別的な政策だということを訴えているのです。基本理念に基づき、各種学校認可を受けた外国人幼稚園も当然、幼保無償化の対象とすべきです」

今回の措置によって10月1日から無償化される幼保施設は、全国で5万5000ヵ所に上る。一方、各種学校の外国人幼稚園は全国でわずか88園。しかも、無償化の財源となる消費税は、外国人幼稚園の保護者らも等しく負担しているのだ。

入管法の改正によって、今後5年間で約34万人の外国人が労働者として日本で暮らすようになるといわれている。そのスタートの年に、政府の決定で外国人幼稚園だけを無償化除外......これってヒドくない?