全国の藤田菜七子ファンを代表して、漫画家・つの丸が突撃取材! 全国の藤田菜七子ファンを代表して、漫画家・つの丸が突撃取材!

今年6月、GⅠでの騎乗が可能となる通算31勝を達成した藤田菜七子騎手。日本人女性初となるGⅠでの騎乗の日を待ちきれない男がここにも......。

全国の菜七子ファンを代表して、漫画家・つの丸が突撃取材! 漫画家と騎手。職種も世代もまったく違うふたりに意外な共通点が?

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―つの丸先生は藤田菜七子ファンを公言されています。

つの丸 いやー、ミーハーな感じですけどね。実際に会うと照れくさいです。

藤田 昨春に中山競馬場でお会いして以来ですね。『みどりのマキバオー』は騎手になる前からアニメで見ていたので、こちらこそ光栄です。

つの丸 アニメの放送開始は20年以上前だから......。藤田さんが生まれる前ですね。

藤田 そうなんです。騎手からは「マキバオーをきっかけにジョッキーになった」という話をよく聞きます。

つの丸 俺にはあんまり聞こえてこないけどなー。もうちょっと声を大にして言ってほしい(笑)。

藤田 競馬学校に黒くて大きいパワーのある元競走馬がいて、みんなで"カスケード"(マキバオーのライバル馬)と呼んでいました。ホントは全然違う名前なんですけど。

つの丸 そもそも、なぜ騎手を目指そうと?

藤田 小学生のときに、たまたまテレビの競馬中継を見たのがきっかけです。もともと動物好きでしたが、動物園や牧場で「かわいいな~」と見ているくらいでした。

でも、レース中の競走馬は、これまで見た動物たちとは全然違っていて。全力で走る馬の姿が本当にカッコよくて感動しました。それから騎手に興味を持つようになったんです。

つの丸 周りに競馬関係者がいたわけじゃないんですね。

藤田 そうなんです。詳しい人もいなかったので、自分で少しずつ調べました。その頃にマキバオーも見ました。

つの丸 じゃあ、マキバオーもきっかけのひとつだ(笑)。

藤田 そうなりますね。「こんなに小さくてかわいい馬もいるのか?」って(微笑)。

―マキバオーの世界では、人間と馬が会話できます。騎手として、実際に馬と話せたらいいなと思いませんか?

藤田 いや~。私は話せないほうがいいかな......。

つの丸 えっ、どうして!?

藤田 馬に文句を言われそうなので(笑)。「もっとちゃんと乗れ!」って怒られたり。

つの丸 ハハハハ。その発想はなかった!

藤田 会話ができても面白いでしょうけど、もう少しちゃんと乗れるようになってからがいいです(笑)。

―作中には個性豊かな馬が登場しますが、つの丸先生がリアルで好きな競走馬はいますか。

つの丸 断トツでナリタブライアンですね。全盛期の怪物的な強さだけじゃなく、良い時期も悪い時期もあって、一生を通してドラマチックですから。特に、スランプを乗り越えて勝利した阪神大賞典は脳裏に焼きついています。

藤田 漫画みたいな手に汗握るマッチレースでしたよね。

つの丸 後続を大きく引き離して、マヤノトップガンとの一騎打ち。あれを超えるレースはないと思います。でも、実際に漫画で描いたら「つまんない!」って怒られちゃうと思う(笑)。藤田さんが好きな馬はなんですか?

藤田 ダイワスカーレットです。騎手になりたいと思っていた時期に大活躍していて、牡馬(ぼば)相手でも強いっていうのがカッコよくて好きでした。

特に印象的なのは、同じ牝馬(ひんば)のウオッカに鼻差で負けてしまった2008年の天皇賞・秋です。あんなに長い距離を走っているのに、わずか2cmの差で負けてしまう。そういう厳しい世界なんだって。

つの丸 秒数にしたら0・01秒くらいの差だもんなあ。今はその厳しい世界で生きているわけですが。

藤田 ほんの少しの差でも、1着と2着ではまったく違うものなので。一瞬も無駄にできない世界なんだと日々痛感しています。

★『週刊プレイボーイ』36号(8月20日発売)「藤田菜七子×つの丸 GI騎乗規定達成記念!スペシャル対談」より

●藤田菜七子(ふじた・ななこ)
21歳。根本康広厩舎(美浦)所属。16年ぶりに誕生したJRA女性ジョッキー。2016年3月に騎手デビューし、同年4月に中央競馬で初勝利を挙げる。18年6月にはJRA通算勝利数を31とし、GⅠレースに騎乗することが可能に。この秋、女性騎手としては初となるGⅠレースでの騎乗に期待がかかる!

●つの丸
48歳。1992年、『モンモンモン』で連載デビュー。『みどりのマキバオー』で小学館漫画賞児童部門を受賞。週刊少年ジャンプの653万部時代を支えたひとり。2007年から17年まで『たいようのマキバオー』を連載。今年、少年ジャンプ+で発表した『ギャグマンガ家人間ドックデスレース』では、「余命10年」の衝撃告知も