反対を押し切って獲得した松坂の復活など、「GM的な仕事」に関しては文句なしの森監督

まだCS(クライマックスシリーズ)進出の可能性を残してはいるものの、借金が10を超えて厳しい戦いが続く中日ドラゴンズ(8月29日現在)。そんななか、親会社の中日新聞社会長でもある白井文吾オーナーがスポーツ報知の取材に対し、"微妙な発言"をしたことがひそかに関心を集めている。

「(来季の構想は)ぼつぼつ考えんとな。(森 繁和監督の進退については)非常に言いにくいね。候補者(新監督人事案)まで持ってくる人がいる」

奥歯に物が挟まっているようでいて、ある意味ではセンセーショナルなコメント。その意味するところについて、地元・名古屋のテレビ局関係者が解説する。

「森監督は3年契約の2年目。つまり契約上は続投が基本線ということになるんですが、シーズン通しての低迷に、中日新聞本社内では"監督交代派"が動き始めている。白井オーナーも板挟みになっているようです」

親会社と球団、両方のドンである白井オーナー。板挟みとは、親会社の監督交代派と、球団内の主流である続投派の対立を意味する。

「中日では2001年に故・星野仙一氏が監督退任して以降、髙木守道監督時代(12年~13年)を除いて山田久志元監督、落合博満元監督、谷繁(たにしげ)元信前監督、そして森現監督と"外様政権"が続いています。それで成績がよければいいのですが、優勝したのは落合さんだけ。親会社内では『いいかげん、若い生え抜き監督を』という待望論が噴出しているんです。

ちなみに、白井オーナーに監督交代を直訴する親会社幹部が、次期候補として挙げているのはOBの山本 昌(まさ)氏と見られています。知名度と人気は抜群で、かつ理論派。そして何より敵をつくらない性格のため、親会社にも受けがいいという利点もあります」(スポーツ紙デスク)

ただ、白井オーナーは前述のスポーツ報知の取材に対し、「そう簡単にはいかん」という言い方も。前出の地元テレビ局関係者はこう語る。

「森さんは落合監督の下でコーチを務めていた時代から、ドミニカ共和国に太いパイプを築き、ブランコやゲレーロら多くの助っ人外国人選手を自らスカウトして連れてきた。今の投打の主力であるガルシアやビシエドも同様です。 

それだけに、もし森監督のクビの切り方を間違えれば、貴重な外国人獲得ルートが途絶えるのみならず、彼を慕っている助っ人たちも流出しかねない。実際、今季チームトップの12勝を挙げているガルシアは、契約延長にまだサインしていませんからね」

単なる監督というより"親分"としての影響力が大きいというわけだ。

「それに、球団内外の反発を抑えて松坂大輔を獲得し、観客動員やグッズ売り上げに大きな貢献をしたのも森監督。そう簡単に切れないわけです」(地元テレビ局関係者)

チーム成績以外は満点(?)な森監督。GM職への横滑りといった"裏技"もありそうだが、いずれにせよシーズン終了まで水面下ではごたつきそうだ。