チャンピオンズリーグについて語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第267回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したことや、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、チャンピオンズリーグについて。いよいよチャンピオンズリーグのグループステージが始まるが、その中でも宮澤ミシェルは「日本人同士の対戦を楽しみにしている」と語った。

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チャンピオンズリーグのグループステージが来週から始まるね。

グループCはバイエルン、バルセロナ、インテルが揃ったし、グループHはパリ・サンジェルマンとユヴェントスにベンフィカだもん。このほかのグループも錚々たるクラブが顔を揃えていて、サッカーファンには堪らないカードが目白押しだよ。

さらに今シーズンは、日本選手が数多く出場するんだよ。グループDには鎌田大地と長谷部誠のフランクフルトと、守田英正のいるスポルティングがいる。グループFでは古橋亨梧、前田大然、旗手怜央、井手口陽介の所属するセルティックが、レアル・マドリードと戦う。われわれ日本のサッカーファンにとっても寝れない夜が増えるよな。

これまでもCLに日本選手が出場したことはあったけど、CLグループステージから日本選手の所属クラブ同士が対戦するなんてのはなかったんじゃないか? グループDの行方が気になっちゃうよな。

鎌田にはベンフィカへの移籍話が浮上しているけれど、それが決まったとしても楽しみが増えることはあっても、減りはしないよ。鎌田が昨季までのELで見せた勝負強さを考えると、ベンフィカに移籍したらCLの舞台でPSGやユヴェントスを翻弄する姿ってのを期待したくなるわけだからさ。

いずれにしろ、ここは通過点にしたいよな。だって、ブラジル人選手の所属するクラブ同士が対戦しても、当たり前すぎて誰も騒がないでしょ。日本選手もあちこちのトップクラブでプレーするのが当たり前で、CLで対戦となっても騒がれない時代に向けて進んでほしいよね。

今季のCLで言えば、現状ではクリスティアーノ・ロナウドがいないんだよな。2003年に初めて出場してから昨季まで19シーズン連続で出場していて、通算記録は187試合で141ゴール42アシスト。どれも歴代1位なんだよな。

その選手が今シーズンはこのままだとCLでは見られない。C・ロナウドはマンチェスター・ユナイテッドからの移籍を求めているようだけど、新天地はどうなるんだろうね。チェルシーやミラン、インテル、古巣のスポルティング、マルセイユなど、チャンピオンズリーグ出場クラブの名前が移籍先候補に浮上しては、すぐに火消しが入る状況だから。

来年2月で38歳の年齢もそうだけど、存在感が強力すぎるから、C・ロナウドが加入するとチームが崩壊する可能性への懸念があるのかもしれないよな。守備のところでは仕事をあまりやらないでしょ。レアル・マドリードのようなクラブなら彼がゴールマシーンに専念できるだけのメンバーがほかのポジションに揃っていた。でも、ほかのクラブにそれを求めるのは酷だからね。

C・ロナウドにしたら20年連続の区切りにこだわっているんじゃないかな。ワールドカップは11月のカタール大会が現役最後になるだろうし、そのシーズンにCLでも金字塔を打ち立てたい思いを持っているんだろうな。もしかしたら、今年が現役最後という気持ちがあるのかもしれないよね。

ホテルなどを経営していて、お金には困っていないC・ロナウドだから、『無報酬でOK!』ってなれば、話は別なのかもしれないけれど、それだとプロサッカー選手としてのプライドを保てるのかっていう問題もあるからね。

ただ、昨年のマンチェスター・ユナイテッド復帰の経緯もあるから、大どんでん返しが起きる可能性は十分にある。ここから移籍期限ギリギリまで目が離せないし、やっぱり9月7日から始まるCLの舞台にC・ロナウドが立っていることを期待したいね。

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