「2026年北中米W杯のアジアの出場枠は8.5。それに対してパリ五輪は3.5。予選の厳しさがまるで違うよね」「2026年北中米W杯のアジアの出場枠は8.5。それに対してパリ五輪は3.5。予選の厳しさがまるで違うよね」

日本代表W杯アジア2次予選はもちろん大事だけど、相手との力関係を考えれば、すでに勝ち抜きは決まったようなもの。毎回フルメンバーを招集しなくても、問題なく通過するだろう。

それよりも心配なのは、来年4月に開幕するパリ五輪アジア最終予選(カタール開催のAFC U-23アジア杯)だよ。何しろアジアの本大会出場枠は3.5しかないからね。8.5も与えられている2026年北中米W杯とは、予選の厳しさがまるで違う。

前回の東京五輪は開催国なので予選は免除。それもあってか、みんな五輪予選の厳しさを忘れてしまったというか、W杯と同じく五輪ももはや本大会に出るのは当たり前だという、緩い空気を感じる。

先頃、U-22日本代表の大岩監督は、本大会に出場した際のオーバーエイジ(24歳以上)のリスト作成に着手していると話していた。必要な準備だということは理解するけど、本大会出場を決めるまで公言する必要はなかったんじゃないかな。

そもそも彼がどういう実績を評価され、どういう基準でこのチームの監督にふさわしいと選ばれたのかもよくわからない。ベストメンバーじゃなかったとはいえ、9月のアジア大会(中国)では韓国に負け、北朝鮮にも苦戦している。その采配や内容に対しての意見や疑問がまったく聞こえてこないのも健全じゃない。

パリ五輪最終予選では、ライバルの韓国、地元の利があるカタール、将来のW杯招致に向けて力を入れるサウジアラビア、ここのところ若年世代で結果を出していて、今回も強豪イランを倒して勝ち上がってきたウズベキスタン、さらにはオーストラリアといった手ごわい相手に取りこぼしの許されない試合が続くんだ。簡単じゃないよ。"絶対に負けられない戦いがそこにはある"というおなじみのフレーズは、もはやW杯予選よりも五輪予選の方がしっくりくる。

この原稿の締切り時点でU-22日本代表の親善試合、U-22アルゼンチン代表戦(18日)の結果はわからないけど、もちろん、パリ五輪世代には期待をしている。

看板の久保(レアル・ソシエダ)はこの世代では別格。東京五輪でメダルを逃した悔しさがあるだろうし、試合に出ればチームを引っ張るプレーを見せてくれるはず。

GKの鈴木彩(シント=トロイデン)もA代表に定着しつつある。今回のW杯2次予選でA代表に招集されたFWの細谷(柏)もいい選手だよ。J1残留争いをしている柏であれだけ点を取るのは大したもの。今オフには海外移籍の噂もある。

ただ、一番の問題は五輪最終予選にフルメンバーを招集できるかだね。A代表と違って拘束力がないので、日本サッカー協会は組織を挙げて海外組の所属クラブと交渉する必要がある。

例えば、久保などは、W杯2次予選を戦うA代表への招集を見送る代わりに五輪最終予選への出場を認めて欲しいと頼むのも手じゃないかな。

また、国内組のレベルアップも不可欠。松木(FC東京)は雰囲気があって期待も大きいけど、FC東京ではいまだ絶対的なエースという感じではなく、A代表にも一度も呼ばれていない。彼に限らず、もっともっとアピールしてほしい。早く世間に顔と名前とプレーを覚えてもらわないとね。

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