PayPayの登録ユーザー数は5500万人を突破 PayPayの登録ユーザー数は5500万人を突破

2018年にサービスを開始し、現在では登録ユーザー数が5500万人を突破し、決済取扱高のシェアは国内の3分の2を占めているというPayPay。

最近ではQRコード決済のみならず、クレジット、銀行、証券など「Zホールディングス」傘下の金融事業を、次々とPayPayブランドに変更している。

その狙いはどこにあるのか? 2月17日に開かれた、「『ZフィナンシャルとPayPayブランド金融事業』および『ポイント使いこなして生活防衛!』に関する説明会」の中身をひもといていこう。

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■2020年秋以降、ブランド化を開始

大盤振る舞いのキャンペーンと、そのキャンペーンごとに大量投下されるテレビCMで、コード決済の雄となった「PayPay」。登録ユーザー数は5500万人を超え、決済取扱高のシェアは国内の3分の2を占めているという(いずれもPayPay調べ)。

ZフィナンシャルとPayPayブランド金融事業について説明する、Zフィナンシャル株式会社 執行役員経営企画部長の小笠原真吾氏 ZフィナンシャルとPayPayブランド金融事業について説明する、Zフィナンシャル株式会社 執行役員経営企画部長の小笠原真吾氏

このように「PayPay=コード決済」と理解している人も多いだろう。ところがPayPayは、その登録ユーザー数とシェアを背景に、単にコード決済手段にとどまらない"PayPay経済圏"を構築しようとしていることをご存じだろうか。

2月17日、都内で開かれた「『ZフィナンシャルとPayPayブランド金融事業』および『ポイント使いこなして生活防衛!』に関する説明会」で、その全体像が披露された。

実はPayPayが属する「Zホールディングス」は、コード決済であるPayPayのほかにも、クレジットカード、銀行、証券、保険、資産運用など、各種の金融事業を傘下に従えている。

これら金融事業は当初、「Yahoo!JAPANカード」「ジャパンネット銀行」「Yahoo!JAPAN保険」など、それぞれ独自の名称でスタートしたが、2020年秋以降、「PayPay」のブランド化を開始。

「Yahoo!JAPANカード」は「PayPayカード」へ、「ジャパンネット銀行」は「PayPay銀行へ」、「Yahoo!Japan保険」は「PayPay保険」へと名称変更し、「同じPayPayの一員」と利用者がひと目でわかるようになった。

クレジット、銀行などの金融事業をPayPayブランドに統一 クレジット、銀行などの金融事業をPayPayブランドに統一

ブランド統一で口座、ローン申し込み数が増加 ブランド統一で口座、ローン申し込み数が増加

その効果は絶大で、PayPay銀行の場合、社名変更前後の1週間を比較すると、個人口座申し込み数は約6.5倍に増加し、個人ローン申し込み数も約3倍に増えたという。

■ポイント運用なら「1円から」の投資もOK

またPayPayアプリの画面で「PayPayあと払い(PayPayカード、PayPayゴールドカードを使った支払い)」を紹介してPayPayカードの新規申し込みを促す、PayPayカードの申し込みの際、引き落とし銀行選択画面で「PayPay銀行の口座開設」に誘導するといった手法により、各サービスの利用者を連携して増やすことにも成功している。

こうした決済サービスと金融との融合がもたらすのは、PayPayアプリを窓口にして、生活のあらゆる場面でサービスを提供するという、"かゆいところに手が届く"がPayPay全体の目指す未来像だ。

PayPayカードの引き落とし口座をPayPay銀行に PayPayカードの引き落とし口座をPayPay銀行に

例えば、ヤフオク!で中古品を落札した場合に修理サービスを受けられる、またYahoo!ショッピングで購入した新品家電に長期保証を付ける、それにYahoo!トラベルで予約した旅行のキャンセルや飛行機遅延を補償してもらうといった「ニーズに沿った最適な保険商品」が、商品の購入やサービスを予約した際、スマホの画面に適切なタイミングで表示されるというのが、その一例だ。

さらにPayPayを使うインセンティブとなる「PayPayポイント」は、「有効期限がない」「キャンペーンやグループの利用でざくざく貯まる」「実店舗、オンラインを問わず利用できる場所が多い」といった特徴を持っている。

そしてポイントは、「1ポイント=1円」のレートで買い物に使えるだけでなく、「PayPay証券」が展開する「ポイント運用」で、資産運用にも使うことができる。

用意されるのは、金で運用する「金(ゴールド)コース」、アメリカを代表する複数企業の株価に連動して3倍上下する「チャレンジコース」、株が下がると利益が生まれる「逆チャレンジコース」など6タイプ。

本格的な投資は初心者にとって、資金の用意や口座開設など、ハードルが高いもの。しかしポイント運用なら「1円から」の投資もOKで、さらに本格的な資産運用メニューとして「PayPay資産運用」「PayPay証券アプリ」もシームレスに用意されている。

もし保険やこうした資産運用が個別のサービスとして展開されているとしたら、それぞれが集客のコストを負担しなければならない。しかし「PayPayアプリ」という5500万人がアクセスするアプリと連携することで、そうしたコストを省き、浮いたコストを利用者にメリットとして還元することができる。まさにWin-Winの関係といえるだろう。

■お金と生活にかかわるあらゆることをカバー

なお説明会の後半では、PayPayを使った"ポイ活"について、シミュレーションを使った紹介も行なわれた。

有効期限はなく、利用場所も多いことが強み 有効期限はなく、利用場所も多いことが強み

1ヵ月の支出額26万5000円(貯蓄と資産運用のぞく)の会社員Aさんは、還元率2%の「PayPayゴールドカード」を使い、ポイントが優遇されるSoftbankのスマホや5Gホームルーター、キャンペーンの活用で、月に「約1万2000ポイント」をゲットできるという。

もちろんこれは「家賃がPayPayカード払いに対応していること」など、万人には当てはまらない条件下でのシミュレーションではあるが、すべてを現金払いにしている(=ポイントが貯まらない)状況に比べると、月に数千ポイントが貯まるだけでもメリットは大きい。しかも前述のように、そのポイントを運用して「一攫千金」だって狙える!

今後「PayPayアプリ」は、お金と生活にかかわるあらゆることをカバーする「スーパーアプリ(プラットフォーム的な総合アプリ)」の地位をさらに揺るぎないものへと発展していく、そう強く感じた説明会だった。