【第1位】ヤマハ YZF‐R7 価格:99万9900円 サーキット走行を意識したヤマハのスーパースポーツバイクの新機種、YZF‐R7。発売は2月14日を予定

バイクが売れに売れている! 今年、買って損ナシの新車はどれ? モーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏が独断で決めた!

* * *

■400万円台(!)の限定モデルも登場

青木 今、バイクが大人気です。昨年、排気量51cc以上の国内出荷台数は25万984台(日本自動車工業会発表)をマーク。この数字は前年比21.9%増で大幅なプラスになりました。31万8080台を記録した1998年以降で言いますと、2002年(23万5755台)を上回る23年ぶりの高水準です。

――若者のバイク離れや排ガス規制で低迷が続いていた二輪業界がココまで盛り上がっている理由はなんスか?

青木 新型コロナウイルスの流行で「密」を避けられるレジャーや移動の手段としてオートバイに乗る人が増えました。つけ加えると、往年のバイクブームを知る中高年の男性だけでなく、若者や女性など幅広い層に支持されているのもブーム再来の理由かと。

――休日のサービスエリアや道の駅は全国的にバイクであふれ返っているそうですね?

青木 はい。テレビのニュースでも取り上げられていますが、もはや大ブームです。というわけで、アオキが今年推すベスト5を勝手に発表します。はい、拍手!

――アララ、また勝手に始まってしまった。

青木 第1位はヤマハYZF-R7です。ジャーナリスト向け試乗会が千葉県袖ケ浦市にあるサーキット場「袖ヶ浦フォレストレースウェイ」で行なわれたんですが、乗り手の意思どおりに操れる軽快なハンドリングや排気量700ccの2気筒エンジンの力強さにアオキは脱帽しました。

腕を磨きたい、あるいはスポーツ走行に挑戦したいというサーキットビギナーにうってつけ。もちろん、ベテランも満足する走りに仕上げています。

――いやいや、サーキットを走るって、その時点でもう立派な上級者じゃん!

青木 いいえ、それは誤解です。言うまでもありませんが、峠や山道をガンガン攻めるような走りをするのは危険極まりない行為です。バイク操作の基本を学ぶには安全対策が万全のサーキットが最適です。初心者向けのライディングレッスンや走行会も全国のサーキットで定期的に開催されていますしね。

――サーキットはレースをするためだけの場所ではないと。

青木 サーキットによってはタイトコーナーも多く、ワインディングを駆け抜ける感覚をイメージできます。

サーキット試乗を終えた青木氏(左)は、すぐにヤマハの開発陣と意見交換

――ちなみに公道ツーリングでも技量は重要になる?

青木 制限速度を守り安全運転を心がけていても、バイクの限界は知っておくべきです。腕を磨いておけば事故やアクシデントを防げる可能性が高まるからです。

クルマと違い、二輪車の場合はマシンの性能よりライダーの技量が安全面を大きく左右しますからね。1位のYZF-R7はサーキットで腕を磨くのに最適なマシンです。

【第2位】ヤマハ トレーサー9 GT 価格:145万2000円 剛性の高いスチールパイプでリアフレームを専用設計。荷物満載時も挙動変化を感じさせない

――2位もヤマハです。

青木 トレーサー9 GTですね。1位のYZF-R7はスポーツライディングを楽しむ層に絞り込んで開発をしましたが、コチラはスポーツ性能、ツーリング、日常使いの機能面などを徹底的に磨いたモデルです。

プロジェクトリーダーがこだわったのは左右パニアケースに加えトップケースも備える3バッグ搭載です。雨でも荷物を濡らさずたくさん積め、キャンプにもしっかり対応してくれますよ。

【第3位】ホンダ NT1100 価格:168万3000円 ホンダ渾身の新型スポーツツアラー・NT1100の国内仕様は、3月17日発売予定。長距離走行も安心

――それでは3位をどうぞ。

青木 ホンダが3月に新型スポーツツアラー、NT1100を発売します。クラッチレバーとチェンジペダルによる変速操作をなくし自動化するDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)を標準装備し、スロットル操作など車体操作に集中できます。要するに大型バイクをイージーに運転できます。

【第4位】ビモータKB4 価格:437万8000円 ビモータは1972年に創業したイタリアの高級バイクブランド。他社製のエンジンを使い、手組みで生産する

――なるほど。4位は?

青木 カワサキの正規販売店で扱うビモータKB4です。ビモータはイタリアの高級ハンドメイドバイクブランドで、カワサキ製ニンジャ1000SXベースの1043cc水冷直4エンジンを心臓部に、カーボン外装やアルミ削り出しのスイングアーム、鍛造ホイールなど贅(ぜい)を尽くした作り込みが自慢。ちなみに価格は437万8000円! 生産台数は500台で日本導入は200台。人気のため抽選販売だそうです。

【第5位】ヤマハ FJR1300AS/A(20thアニバーサリーエディション) 価格:187万円/154万円(198万円/165万円=20thアニバーサリーエディション) ヤマハは国内向けのFJR1300の生産を終了すると発表。2月10日に特別仕様の20周年記念モデルを発売する

――スゲ! 5位は?

青木 残念ながら生産終了が決定したヤマハのFJR1300AS/A。長距離高速巡航性能と高いコンフォート性は、欧州生まれならでは。日本でも2013年に販売がスタートされると旅好きが大絶賛! 2月には記念エンブレムやゴールドホイールを装備した20周年アニバーサリーエディションが登場予定です。

ホンダ CRF250L〈s〉 価格:59万9500円 昨年、青木氏が恋に落ちて購入したCRF250L〈s〉。「見た目、オフロード性能共に文句ナシ!」とメロメロ

――惜しくも次点があると?

青木 先日、アオキが新車で買ったホンダCRF250L〈s〉です。オフロード性能が目覚ましく向上し、報道試乗会で乗りだした瞬間、「あ、コレだ!」と。赤いレーシンググラフィックスや戦闘的フォルムにもひと目ぼれ。自腹購入で「買って損ナシ!」を証明しました!

――今年もバイクは激アツ?

青木 隠し玉もあるので、さらに過熱の予感プンプンです。

●青木タカオ 
モーターサイクルジャーナリスト。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み』(秀和システム)など。『ウィズハーレー』(内外出版社)編集長。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』

★『インプレ!』は毎週水曜日更新!★