7代目となる新型フェアレディZの価格が発表された。価格524万1500~696万6300円
日産が新型「フェアレディZ」の全グレードの価格発表を行なった。早くもファンの間ではこの価格の是非が渦巻いているという。自動車専門誌の元編集長で、自動車研究家の山本シンヤ氏に解説してもらった。

山本 日産は4月25日、世界累計販売180万台以上をほこるスポーツカー「フェアレディZ」の新型車の発売時期を、当初予定していた6月下旬から延期すると発表しました。発売は今夏になるそうです。

ーー延期の原因は?

山本 新型コロナの影響による半導体不足や部品調達に支障が出ているためだと聞いています。どこの自動車メーカーの新車も納期遅れが生じているので、まぁ仕方ない部分はありますが......。

ーー残念ス。

山本 ただ、同時に日産は7代目となる新型フェアレディZの全グレードの価格も発表しました。ズバリ、価格は524万1500~696万6300円です。

ーーほお! エンジンは?

山本 3リッターV型6気筒ツインターボ(VR30DDTT型)を搭載、最高出力405馬力・最大トルク475Nmと、Z史上最強のスペックが奢られています。トランスミッションは6速MTと新開発の9速ATを組み合わせています。実は400馬力を超えるモデルでMTを用意しているのは、世界でも貴重な存在なんですよ。

歴代フェアレディZのオマージュが散りばめられたシルエット。ちなみに発売は当初6月下旬を予定していたが、コロナの影響による部品供給の問題で今夏に変更された

――そうなんスね! ちなみにシャシー系は従来モデルの進化版と聞いていますが?

山本 形式上はそうなりますが、車体の剛性アップ、サスペンションのジオメトリー変更、モノチューブダンパー採用、電動パワーステアリング(フェアレディZ初採用!)、フロントタイヤのワイド化(245→255)など、ほぼ刷新と言っていいと思います。それに......。

――えっ、なんスか?

山本 開発責任者は現行GT‐Rを育ててきた田村宏志氏が担当しています。彼のこだわりはハンパないので心配ないと思いますよ。田村氏はZの走りについて、「ダンスパートナー」と語っていますね。

ーーえっと、どういうこと?

山本 要約すると「人とクルマの一体感は非常に高い」と。

ーー山本さん、ズバリ聞きますが、500万円台前半スタートの7代目フェアレディZのお値段は高いの? 安いの? 

山本 ネット界隈では「高すぎる!」だとか「Zも高級車になった」なんて声もあります。確かに先代に対して100万以上アップしています。しかし、走りのパフォーマンスは大きく向上し、最新の厳しい規制もクリア。時代進化分の快適装備のプラスを踏まえると、僕は頑張った価格だと思っていますよ。

――ちなみに北米では4万ドルからと発表されましたが?

山本 北米のZには装備が非常に簡素なグレードがあるのでスターティングプライスは安いんですよ。日本はベースモデルと言ってもほぼフル装備ですからね。

――なるほど。

山本 むしろ、ピュアな内燃機関を搭載したモデルをこのタイミングで出してくれた日産に感謝すべきでしょうね。それに値段で文句を言う人のほとんどは、仮に安くてもあれこれ難癖つけて買わないので無視してもいいのかなと。

――山本さんは7代目に乗っているんスか?

山本 いえいえ、まだですね。ちなみに先日、北米メディア向けにラスベガスで試乗会が開催されましたが、評判も上々と聞いています。僕も楽しみです。


☆山本シンヤ
自動車研究家。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ワールド・カー・アワード選考委員。YouTubeチャンネル『自動車研究家 山本シンヤの「現地現物」』を運営