今回、改良を受けた「CB250R」。写真のボディカラーは新たに新設定されたマットガンパウダーブラックメタリック
ホンダは軽二輪のネイキッドスポーツ「CB250R」をモデルチェンジした。CB250Rは、今回、どんな改良を受けたのか? モーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏が解説する。

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青木 ホンダは6月9日、「CB250R」の仕様を一部変更し、7月21日(木)に発売すると発表しました。価格は56万4300円で、年間販売計画台数は2400台です。

ーー具体的にはどこを変更したんスか?

青木 まず今回のマイチェンでは、倒立フロントフォークをショーワのSFF‐BP(セパレート・ファンクション・フロントフォーク・ビッグピストン)に変更しています。それによりハンドリングはかなり軽快に仕上がっていると予想します。

ーーえっと、SFF‐BPってなんスか?

青木 通常のフロントフォークは左右で同じ構造になっていますが、これは片側をスプリングのみにし、もう一方にビッグピストンを持つダンパーを入れ、機能を分担させる。ピストンサイズを大径化できることでダンパー能力が飛躍的に高まり、走りのレベルもワンランク以上間違いなく上がります。大型の上級モデルはこぞって採用していますね。

ーーほおほお。

青木 また、シフトダウンの際、エンジンブレーキによる後輪のホッピングを抑えるアシスト&スリッパークラッチを追加しています。装備面もアップデートされ、液晶メーターにはギアポジションインジケーターが追加されました。

ーーふむふむ。

青木 つけ加えると、心臓部はCBR250R譲りの水冷DOHC4バルブ単気筒エンジンで、レブル250やCRF250L/ラリーにも搭載され、扱いやすく力強いと定評があります。今回、最新の平成32年(令和2年)排出ガス規制にも対応しました。

ーーちなみにCB250Rはいつデビューしたマシン?

青木 2018年4月にデビューし、2019年にはマイナーチェンジを受けています。ホンダが丁寧に磨き続けてきたマシンですね。

ーーどうして丁寧に磨くんスか?

青木 軽二輪(126~250㏄クラス)は売れ筋だからです。当たり前ですが、どの二輪メーカーも戦略車を投入し、しのぎを削っています。

ーー軽二輪が激戦区になる理由は?

青木 車検がないため、維持費を抑えられます。そして高速道路も走れてしまう。このふたつが軽二輪の大きな魅力になっていますね。

ーーなるほど。

青木 今回の改良でCB250Rは、マットガンパウダーブラックメタリックを新たに設定。従来モデルから継続のマットパールアジャイルブルー、キャンディークロモスフィアレッドと合わせて全3タイプとなりました。正直、これだけガシガシ手を入れたのに、お値段は据え置きです。正直、ホンダは大盤振る舞いだと思います。

ーー青木さん、CB250Rはどんな人に推せる?

青木 車両重量が144㎏と軽量なので、不安なく取り回すことができます。ですから、ビギナーやリターンライダーも臆せず気軽に乗れます。親しみやすいコンパクトボディながら、ホンダ伝統のCBの名を冠するのも誇らしいではありませんか! 上級モデルに匹敵する充実装備になって、コイツはお買い得としか言いようがない。マジで狙い目です!


青木タカオ(あおき・たかお) 
モーターサイクルジャーナリスト。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み[第4版]』(秀和システム)など。『ウィズハーレー』(内外出版社)編集長。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』を運営