「2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー」のイヤーカーに選ばれたサクラ(左)とeKクロスEV(右)「2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー」のイヤーカーに選ばれたサクラ(左)とeKクロスEV(右)
12月8日、今年で43回目となる「2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー」の最終選考会が開催され、日産と三菱が共同開発した軽EVがイヤーカーに選ばれた。そもそもこの2台はどんなクルマなのか? 

日産自動車と三菱自動車が共同開発した軽EVのサクラとeKクロスEVが、2022‐2023日本カー・オブ・ザ・イヤーの頂点に輝いた。

サクラとeKクロスEVは今年6月16日に発売。企画と開発を日産が担当し、三菱の水島製作所(岡山県倉敷市)で生産する兄弟車だ。どちらも発売と同時にロケットスタート的に爆売れ。サクラは発表から約3週間で受注台数が1万1000台、eKクロスEVも約1カ月で月販売目標台数の4倍となる約3400台を受注して大きな話題を呼んだ。

日産サクラの価格は233万3100~294万300円日産サクラの価格は233万3100~294万300円
特にサクラの快進撃はハンパなく、日産によるとこれまでの累計は「3万3000台以上」。ちなみに、21年に日本マーケットで発売された新車のEVは2万1139台(小型/普通車)なので、サクラは単体でその数字を軽く上回ってしまった。日産の販売店関係者は人気の背景をこう説明する。

「EVらしい静かで滑らかな走りや、上質なインテリアをその魅力に挙げるお客さまは多いですね。とはいえ、最後の決め手は国や自治体の補助金ですね」

しかし、半導体や部品不足のなか注文が殺到し、サクラは今年10月末から受注を一時停止しているという。気になるサクラの納期は?

「1年以上先です」

三菱eKクロスEVの価格は239万8000~293万2600円三菱eKクロスEVの価格は239万8000~293万2600円
2022‐2023日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員で、輸入車に精通したモータージャーナリストの竹花寿実氏はイヤーカーに輝いた2台をこう総括する。

「今年は国産車、輸入車ともに豊作でした。ベスト10はほぼすべてが電動化モデルで、うち3車種がEVと、ヨーロッパほどではないものの、電動化の波が足早に押し寄せていることがはっきりと見え、しかもどれも完成度が高く、個性もあった点が印象的でした。

そのなかで、日産サクラ/三菱eKクロスEVがイヤーカーに輝いたのは予想どおりという印象です。EVに関する深い知見が盛り込まれた2台の軽EVは、日本の軽自動車/コンパクトカーの基準を大きく引き上げました」

今回、竹花氏はBMWのiXに満点を付けたという。その理由は?

「〝プレミアムカーに相応しい卓越した走りと優れた快適性〟、〝先進性を強く印象づける挑戦的なデザイン〟、そしてなにより〝クルマ全体から感じられるワクワク感〟です。iXは、BMWの10年以上にわたるEVの開発ノウハウと未来のヴィジョンが詰まった、渾身の作品だと思います」

今年は日本市場におけるEVの普及が本格化する「EV元年」と呼ばれていた。その年にイヤーカーに輝いたのは、「EVのパイオニア」である日産と三菱が放った軽EVだった。

果たしてサクラとeKクロスEVは、日本市場におけるEV普及の呼び水となるか? そして補助金ナシでも売れるのか? 2023年も軽EVに注目だ。