ゼンショー傘下の丼ぶりと京風うどんチェーン「なか卯」が“ちょい飲み”市場に本格参戦!
その名も「呑み卯(のみう)」。昼間はなか卯として通常営業を行ない、17時以降に2階席を居酒屋業態に変えるもので、現在、東京の神田神保町店と西新宿店の2店舗で展開中だ。
ということで早速、週プレも西新宿店へ。外観は、入り口に赤ちょうちんがぶら下がっている以外はなか卯そのもの。ところが、2階へ上がるとテーブルが10卓ほどあり、壁には大型の液晶テレビと短冊状のメニュー、さらにフロア隅には喫煙室も設置されている。
メニューは「枝豆」(200円、価格はすべて税込み。以下同)、「牛すじ煮込み」(300円)、「唐あげ」(3個・100円)などのつまみ類が約20品。アルコール類も生ビール(300円)、ホッピー(200円)、各種サワー(各300円)、ハイボール(300円)、熱燗(300円)などのほか、日本酒の八海山(500円)まである。そして、締めにはなか卯の得意とするうどん、そば類がそろう。
まずは生ビールと「甘辛軟骨煮」(300円)、「牛すき皿」(300円)を注文。気になる味だが、なかなか本格的でお酒が進みそう。安さを考えれば、間違いなく“アリ”だ。
それにしても、なぜなか卯が居酒屋を? 営業推進部部長、須田壮一氏に聞いた。
「ランチタイムに比べ集客力が弱まるディナータイムを充実させる一案として、ニーズが高まっている“ちょい飲み”の営業を試験的に始めたのです。結果、客数は予想以上に増え、神田神保町店の直近11月のディナータイムの売り上げは呑み卯導入前をはるかに上回る好調ぶりです」
それを受け、今後は呑み卯を本格展開していく方針だという。
「まだ検証する必要がありますが、首都圏と関西の2階建て店舗を中心にどんどん増やしていきたい」(須田氏)
「吉野家」の居酒屋業態「吉呑み」に似ている?
そんなプランを知ってか知らずか、こんなエピソードも。
「大手居酒屋チェーンの店舗開発担当には顔なじみが多いのですが、複数の人から冗談交じりに『(呑み卯の展開は)お願いだからやめてくれ』と言われました」(須田氏)
ひとつ気になるのは、牛丼チェーン「吉野家」が注力する居酒屋業態「吉呑み」に、店名も業態も似ていることだが……。
「ここだけの話、かなり意識しています(苦笑)。吉呑み1号店のオープンは、まさに弊社が呑み卯出店の計画を進めようとしていた矢先の出来事で正直、『やられた!』と思いました。実際、呑み卯出店の前には、吉呑み店舗へ何度も覆面調査に行っています」(須田氏)
呑み卯がこだわったのは安さとうまさの両立だという。
「例えば生ビールは、アサヒスーパードライを280円均一居酒屋より安く(278円+税)提供しています。また、『ポテトサラダ』(200円)は自社工場で調理したもの。その調理法にはグループ内のファミレスチェーンのノウハウが詰まっています。それを実現できるのは、多業態を抱えるゼンショーグループの商品調達力があってこそ」(須田氏)
今後は、回転寿司チェーン「はま寿司」の物流網を活用し、刺し身メニューを拡充するといった展開もあり得るという。
来年は呑み卯がちょい飲み市場を席巻する!?
(取材・文/興山英雄)