国産屈指のクルマオタク御用達ブランドであるマツダが作ったコンパクトSUV「CX-3」

マツダは今や、国産屈指の車オタク御用達ブランドである。

何せ、最上級サルーンのアテンザですら国内販売の2割がマニュアルというのだから、筋金入りのオタクがいかにマツダに集中しているかがわかる。

そんなマツダが「CX-3」でコンパクトSUV市場に参入した。エンジンはディーゼルのみ。「デミオ」を踏襲した、ロングノーズ&スモールキャビンの外観が目を引く。

今のマツダは、こうしたロングノーズで肉感的なデザインや人馬一体の走り、そして低燃費かつパワフルなディーゼルエンジン推し…という共通のポイントを持つが、実はそれだけではない。

ドライビングポジションからステアリングやペダルへの手応えの伝わり方、そして走りのリズム感…というか、例えばブレーキを踏んでからステアリングを切って曲がり始めるまでの微妙な“間”を修行僧のようにストイックに追求して全車で統一したりしている。

このへんの話をマツダのエンジニアに聞くと、ホント、「あんたら、どこまでオタクやねん!?」と(いい意味で)あきれるほどなのだ。

ところで、この種のコンパクトSUVは、海外では日本以上に大人気。今最も旬なジャンルといっていい。特に欧州での人気は高く、今ではほぼすべての欧州メーカーがコンパクトSUVをラインアップする。

新興国でも売れるコンパクトSUVの強み

さらに、新興国でも売れるのがコンパクトSUVの強みだ。道路が狭く、舗装率も低く、プチ洪水も日常茶飯事…といった地域では、このちょっと高い車高が超便利なのでアジアや中南米でもよく売れている。しかも、最初は「さすがに小さすぎ?」と思われていたアメリカでも、実際には結構売れるらしい。

まさにグローバルで死角なし。コンパクトSUVは世界中でウマー…というのが、今の常識なのである。そこで今さらながら?マツダも参入というわけだが、こんな世界のメジャー市場に初登場したCX-3は後発もいいところ、最後発中の最後発である。

日本では、まず日産「ジューク」(2010年6月発売)がブレイクして(2011年販売台数でSUV1位)、現在はホンダ「ヴェゼル」がトップ(昨年のSUV1位)。CX-3がそこにどう風穴をあけるのか…。売れ行きに要注目だ。

(取材/佐野弘宗 撮影/有高唯之)

■週刊プレイボーイ15号(3月30日発売)「これが最新コンパクトSUVバトルの全貌だ」より(本誌では、さらにCX-3の魅力を詳説!)