自動車ジャーナリスト・小沢コージ氏が新スポーツシリーズ「GR」を試乗!

今月、トヨタがモータースポーツ活動で得た知見を市販車に注ぎ、開発した新スポーツカーブランドの「GR」を発表。その実力やいかに!? 

早速、自動車ジャーナリストの小沢コージが解説&試乗する!

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マジか!? まさかここまで本気、ここまでビッグなビジネスに成長するとは! トヨタが今月19日に発表した新ブランド「GR(ジーアール)」の話である。

スポーツイメージの強いヴィッツ、86(ハチロク)だけでなく、ノア、ヴォクシー、ハリアー、プリウスPHVまでもスポーツ仕様に改造して売り出すというのだ。さらに全国の販売店にスポーツカーの魅力を伝える「GRガレージ」も新設し、今年度中に39ヵ所を開業する。サーキット走行などのイベントも積極的に行なっていくそうだ。

気になるGRのクルマだが、スポーツ車への改良の度合いに応じて3つのラインに分かれており、エンジン内部にもチューニングを施した数量限定モデルのGRMNが頂点だ。

そして、エンジンを除くすべて、つまりドライブトレイン、ボディ、足回り、デザインをきっちりイジったラインをGR。ボディ、足回り、デザインをソフトに強化したクルマをGR SPORTと、イジりのレベルに応じて3段階で再構成。本気で走りを良くしたいマニアからライトな改造でOK!というユーザーまでフルカバーした。

来春日本登場予定のヴィッツGRMN。欧州では限定販売ながら、予約段階で完売したという! ちなみに日本での販売価格は未定 【ヴィッツ GRMN プロトタイプ】

適応車種も今までより増えて全9車種11モデルに。ノア、ヴォクシー、アクア、プリウスα、ハリアー、マークXに加え、86やプリウスPHVまでも加わり、WRC(世界ラリー選手権)の影響で欧州で人気爆発中のヴィッツには、GRMNとGR、GR SPORTの3種を用意!

市販車じゃありえないチューン!

86をベースに前後スポイラーからアルミを変え、ローダウンサス、ブレイスバー、LSDでがっつり強化。今冬発売予定。価格未定 【86 GR】

今回、千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイで各車の実力を試してみたが、その変わらぬ“章男イズム”に安心した。というのもコンプリートカーの中では最も手軽でベースの数十万円アップで済むヴィッツ、アクア、ハリアー、マークX、ノア、ヴォクシーのGR SPORTだが、乗った瞬間から違う。

程よく締め上げられた専用スプリング&ダンパーに加え、ボディは全車種スポット溶接増し打ち済み。市販車じゃありえないチューンで、ノーマルとは段違いでソリッドかつバリカタな走りのフィールが得られるのだ。パワートレインは変わってないのでまさに走りであり、歯応えのためのチューン。GRの理想はまったくブレていなかった。

見た目もGRライン特有の大開口アンダーグリルのカラーリングがガキっぽいくらいにレーシーだし、GR SPORT車は全車専用スポーツシート装備。ベーシックモデルでもGRを堪能できる。

(撮影/本田雄士)

◆上級モデルのGR SPORT、トップモデルのヴィッツGRMNのインプレッションは『週刊プレイボーイ』41号(9月25日発売)「トヨタの新スポーツシリーズGRがマジすっげぇ~!」にてお読みください!

●小沢コージ1966年生まれ、神奈川県出身。青山学院大学卒業後、本田技研工業に就職。90年に二玄社に入社し、自動車情報誌『NAVI』の編集者に。93年にフリー。著書に『クルマ界のすごい12人』『マクラーレンホンダが世界を制する!』など多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのCARグルメ』レギュラー出演中。日本&世界カー・オブ・ザ・イヤー選考委員