定時上がりや各種手当など厚遇された人々定時上がりや各種手当など厚遇された人々
直近の消費者物価指数は4%上昇。インフレが進む中、果たして、それに応じて給料が上がってる会社ってどのくらいあるの? 週プレは大規模アンケートと、要注目の仕事40種に詳細インタビューを実施。超リアルな懐事情の現状を一挙公開する!!【ガチ調査 みんなの給与明細 Part1】

まずは、ベアやインフレ手当の対応など、厚遇された人たちが登場。正直、うらやましいっ!

※記事に出てくる年収やボーナスは、額面の金額です。すべて個人の取材によるもので、職種や業界の平均値ではありません

■毎日定時上がりで、労働実態のない残業をつける日々

・大手製薬会社事務(男/30代前半)

〈年収〉【額面】700万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】100万円(↑)
〈現在副業は?〉してない

月8万円の家賃補助を含んだ年収700万円はとりたてて高収入とはいえないが、仕事がめちゃくちゃ緩くて、間違いなく定時に上がれるのがうれしい。しかも最近は会社もリモートワークを推奨しているので、出社は週2日程度。

事務職より営業職のほうが稼げるため、年収で同期と100万円以上の差がつくこともあるが、とにかくホワイトで経営も安定しているので、転職願望はまったくなし。唯一、報酬体系が完全に年功序列なのが難だが、労働実態のない月20時間の残業代を請求していることもあり、時給換算では実質的に全業種の中でもトップクラスかもしれない。

■接待でキャバクラに行ける役得

・大手建築会社営業課長(男/30代後半)

〈年収〉【額面】820万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】105万円(↑)
〈現在副業は?〉してない

基本的に組合が機能していないため、ベアが望めないのは残念だが、5万円のインフレ手当が出た。また、月40時間ほどの残業に対する手当は満額支給。最近課長に昇格したことで基本給はさらにアップしたが、業務内容が多岐にわたるのでけっこう大変な思いをしている。

工務店への新商品提案やキャンペーンの施策、コンペへの参加といった建築業らしい業務はもちろん、今後の利益や人員についての経営計画の会議に参加しなければならなくなった。ただ、接待も増えたので業務でキャバクラやゴルフ旅行に行ける役得があるのはオイシイかも。

■15万円のインフレ手当に社内が沸いた

・大手ソフトウエア開発営業(男/30代前半)

〈年収〉【額面】500万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】30万円(→)
〈現在副業は?〉してない

ITシステムの営業をやっていて、現在は顧客との商談もほぼリモートで完結している。これはこれで確かに便利でいいのだが、長期的な関係構築にはやはり不向きで、いつか営業数字が伸びなくなるのではとの懸念もある。

そんな中、世の中の値上げラッシュを受け、夏に15万円のインフレ手当が出た。これには社内も大盛り上がりで、周囲にはパーッと散財した人もいれば、デカい買い物をした人もいる。もっとも、こうした手当が出たのは今のところこの一度きりだから、引き続き収まる様子のないインフレを見ていると、差し引きでは補填になっているのかどうかわからないのだが。

業種的にはコロナ禍は完全に追い風で、市場の拡大に合わせて業績は上がり続けている。それに応じてボーナスが上がるわけではないのが残念だが、同期連中との差がほとんどつかないのはいいことかもしれない。副業はOKなので、もう少し仕事を覚えたら何か考えてみたい気持ちはあるが、リモートワークにいち早く対応するなど柔軟な働き方ができるこの職場は気に入っている。

今はとにかくワークライフバランスが充実しているので、働き方によけいな制約が生まれるくらいなら今の給料で十分だと考えている。

■お荷物部署でも経営は盤石。低コスト生活で当面安泰

・大手重工業メーカー技術職(男/20代後半)

〈年収〉【額面】580万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】90万円(→)
〈現在副業は?〉してない

民間機の主翼の設計に携わっているが、コロナ禍で需要は落ち込んだままで、回復が遅い。このまま全盛期の状態には戻らないのではないかという観測もあり、今や社内ですっかりお荷物部署に成り下がってしまっている。

そんな状況も手伝って、残業はほとんどなく、去年は繁忙期でもせいぜい月に20~30時間ほどで済んだ。根底に残業気質のある部署で、かつては3交代制で、月曜の朝から土曜の朝まで働かされるのが当たり前だったと聞くから、現在の窮状がうかがえる。

それでもサービス残業は禁じられてるし、ボーナスも額面で夏が100万円、冬で90万円と悪くない待遇。特に自分は月1.5万円で入れる寮暮らし(おまけに光熱費はタダ)なので、収入面には不満なし。

業績も会社全体で見れば悪くないようで、とりわけエネルギー事業が好調なので安心している。勤務地が地方で、友達もいないことから週末はヒマを持て余し、たまにメンタルをやられることもあるが、多忙と無縁な生活は悪くない。

保守的な会社ではあるが、副業については最近になってマネジャークラスから解禁された。自分はしていないが、技術士の高難度の資格を持っている上司などは、講師としてけっこう需要があると聞く。

■コロナ禍&円安特需で業績向上! ベアもばっちり

・大手精密機器メーカー生産管理(女/20代前半)

〈年収〉【額面】540万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】60万円(→)
〈現在副業は?〉してない

個人用プリンターのインクカートリッジの、生産計画や在庫管理などが主な業務。世間に在宅ワークが定着したことで一時的に需要が増し、業績は1、2年前に特需的に上昇した。もっとも、オフィスに人が戻り始めたことで需要ははっきりと縮小しているため、今後についてはどうなるかわからない。

ボーナスについては昨年と変わらず。しかし最近、7000円のベアがあった。基本給の引き上げなので、来年はボーナス額も増えるはず。なのでボーナス増額よりもよっぽどうれしい。会社の売り上げ比率の4分の3は海外なので円安のメリットはすさまじく、ベアに踏み切れたのはこれが大きかったと思う。

収入については特別良くもないが、単身赴任の父と暮らしているので家賃がかからず、なんの不満もないのが現状。もともとキャリア志向でもないので、金銭面を理由に転職活動をする気もないし、オフはフルに遊びの予定を詰め込むタイプなので、会社としてはOKだが副業に精を出すことも考えられない。

とはいえ、会社がこのまま業績を維持できるとは思っていないし、一生雇ってもらえるとも思わないので、その意味では将来的な資産形成には不安がある。なので、会社の財形貯蓄やつみたてNISA、iDeCoをフル活用中。

■とにかくヒマで、各種手当の手厚さがたまらない!

・ベンチャーキャピタルキャピタリスト(男/20代後半)

〈年収〉【額面】500万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】50万円(→)
〈現在副業は?〉NG

ベンチャーキャピタルとしては老舗の部類だが、投資先からの配当で稼いでいる会社なので、基本的にヒマ。メインの業務は投資先を発掘することだが、基本的に銀行から紹介された案件にお金を出すだけ。年間に一度でも投資案件をまとめれば評価されるので、とにかくラクな職場だ。

ボーナスは銀行などと同じく若手時代は抑えられているのだが、それでも3ヵ月分50万円はもらえるし、各種手当が手厚いので気にならない。住宅手当は月10万円までもらえるし、資格手当も月1万円。社員同士でよく、「この会社にいてよかった」と休憩室で話している。

■一日の実働は3時間

・グロース市場上場IT企業プロジェクトマネジャー(男/30代半ば)

〈年収〉【額面】600万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】40万円(→)
〈現在副業は?〉NG

自社のツールを各顧客向けにカスタマイズするプロジェクトで、エンジニアの取りまとめと進行管理を担当している。......が、大した作業量ではないので仕事は超絶ラク。

年収はそれなりだが、もともと遅刻魔だったので、フルリモート勤務になってから自堕落な生活が加速している。規定では10時始業だが、起きるのが10時半で、顧客向けに業務報告書を作る時間以外はずっとゲームをやっている。

実際の稼働時間は一日せいぜい3時間といったところ。だからベアがないことに文句も言えず、むしろ数%の給料アップを勝ち取るために大騒ぎするのは面倒くさい。