逆風吹きすさぶ業界で苦しむ人々逆風吹きすさぶ業界で苦しむ人々
直近の消費者物価指数は4%上昇。インフレが進む中、果たして、それに応じて給料が上がってる会社ってどのくらいあるの? 週プレは大規模アンケートと、要注目の仕事40種に詳細インタビューを実施。超リアルな懐事情の現状を一挙公開する!!【ガチ調査 みんなの給与明細 Part4】

景気後退が直撃! 業績不振のあのお仕事、年収や冬のボーナスに影響は?

※記事に出てくる年収やボーナスは、額面の金額です。すべて個人の取材によるもので、職種や業界の平均値ではありません

■読者離れに苦しむ新聞だが、意外と好待遇

・ブロック紙政治部記者(女/20代後半)

〈年収〉【額面】600万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】75万円(↑)
〈現在副業は?〉してない

発行部数は20年後にはゼロになる勢いで下がり続けているが、不動産業や事業投資で持ちこたえている。うちはまだマシで、他紙はさらに厳しいと聞く。

それでも自分の記事で世論が動くのはやりがいがあるし、給与と待遇も意外と悪くはない。年収は600万円だが、取材時に必要なタクシーチケットがもらえるし、取材写真が使われると奨励費(現像代が必要だった時代にできた制度)として1万円が、スクープを書くと5000~1万円が出る。ガソリン代無料の車も貸与され、住居費も会社が7割負担してくれるので、収入面の不満や副業への意欲はまったくない。

■協力金でバブった余力を溶かす日々

・立ち飲み店店長【都内】(男/40代半ば)

〈年収〉【額面】300万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】なし(→)
〈現在副業は?〉している

本業は別にあり、副業として東東京エリアで立ち飲み店を始めて5年目。もともとはバイトに任せていた店だが、最近は自分で切り盛りするように。はっきり言ってコロナ禍の協力金はオイシくて、税金や家賃を差し引いても、800万円も手元に残った。

しかし協力金がなくなった今、食材費や光熱費が上がり、客足も十分には戻らず苦戦を強いられている。この3年で仕事帰りにふらりと飲み屋に立ち寄る文化がなくなり、かつての常連客がコンビニで酒を買い込む姿をよく目にする。一日の売り上げはかつては10万円前後だったが、今は4万円程度に落ち込んでいる。

■離れた客は戻らず。閉店を決断する日も近い!?

・バーテンダー【都内】(男/40代後半)

〈年収〉【額面】350万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】なし(→)
〈現在副業は?〉してない

10年ほどの修業期間を経て、独立開業して間もなく15年。基本的には儲からない商売であることを痛感している。しかし、都の「まん延防止等重点措置」はありがたかった。バーという形態上、20時までしか店を開けられないなら完全休業するほかなく、それでいて手厚い協力金と各種補助金で、トータル1200万円ほどのキャッシュができた。

もっとも、客足はいっこうに戻る気配がなく、コロナ禍で離れた常連客は多い。この半年ほどは一日1組、あるいはゼロということも珍しくない。先月の売上高は20万円と最低記録を更新したばかり。余力のあるうちに閉店を決断するべきか......。

■収入は減少傾向も、自由に働けるのが魅力

・ウーバーイーツ配達員(男/30代後半)

〈年収〉【額面】400万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】なし(→)
〈現在副業は?〉している

俳優をやっているが、食えないのでこの仕事を始めた。専用アプリをONにするとすぐに注文情報が来るので、空き時間に働けるのが便利。一日8時間働くこともあれば、隙間時間に1件だけこなすこともある。なお、一日の労働上限は12時間までと決まっていて、それ以上は最低6時間空けなければ働けない。

かつては1件ごとに配送ボーナスが用意され、最高で40万円稼いだ月もあった(20日稼働)。しかし今はボーナスもなくなり、注文も減ったので月収30万円を割ることも珍しくない状況。それでも働きやすさは断トツなので、もうしばらく続ける予定。

■コロナで仕事量増も、低金利のあおりで苦境に

・メガバンク法人営業(男/20代前半)

〈年収〉【額面】390万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】35万円(→)
〈現在副業は?〉してない

法人営業として、格付けや融資業務を行なっている。自分の提案が取引先の役に立つのが一番のやりがい。ここ10年は低金利の関係で収益が上がらなかったが、一方でコロナ禍を受けた融資の相談も増え、借り入れのニーズが高まった。これで業績も若干上向いたが、ベアなどはなし。

個人的には、支店ごとの飲み会が減ったことがうれしい。職業柄、経費の精算にはエクセルを用いて、若手は1円単位で200人規模の支払いを管理、請求しなければならなかった。以前は誰かの異動が決まるたびに会を催していたらしいので、その面倒が減ったのは本当に助かる。

■努力次第で給与が変動するコミッション制度

・中堅証券会社営業(男/30代半ば)

〈年収〉【額面】700万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】90万円(→)
〈現在副業は?〉NG

経営者に投資信託を売るのが主な業務で、IPOを望むスタートアップの社長に、「うちで主幹事を引き受けるから、投資信託を買ってよ」とやるのがいつものパターン。長らく苦境が伝えられる証券会社だが、近年のIPOラッシュは特需に近く、主幹事探しに苦労している会社が多いのは幸いだ。

個人の給与としても、実績に応じたコミッション制なので、努力次第で臨時ボーナスが得られる。自分の場合、200万円もらえた年もあるが、今年は100万円弱。月50時間ほどの残業も手当が出る。しかし体質の古い業界なので、先行きは見通しにくい。

■外食産業の停滞を受け、手厚い補助が消滅!

・大手水産業者営業(男/30代後半)

〈年収〉【額面】620万円
〈冬のボーナス額〉【前年比】50万円(↓)
〈現在副業は?〉NG

コロナ禍で外食産業が打撃を受けたのに伴って、水産業界もジリ貧に陥っている。うちは他社と比べて給料は悪くないほうだが、この冬のボーナスは昨年より10万円減だった。

また、以前は手厚い家賃補助があり、たった5000円の負担で部屋を借りられたが、コロナ禍以降、この制度がなくなってしまった。あまりのショックに社内には転職を考え始める人が増えている。

しかし、水産業界全体が苦しいことに加えて、極めて特殊な業界であるため、これまでのキャリアを生かせる別業界がなかなかないのも事実。八方ふさがりの状況に追い込まれてしまっている。

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