12期連続で配当を増やし続けており、配当利回りは約3.96%。PERはそこまで割安とはいえないが、成長性と高配当は魅力的だ12期連続で配当を増やし続けており、配当利回りは約3.96%。PERはそこまで割安とはいえないが、成長性と高配当は魅力的だ

『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!

今週の研究対象 
富裕層向けビジネス
(青山財産ネットワークス)

日本の富裕層は年々増加しているという。その是非はさておき、マーケットも拡大しているわけだし、利益も大きそうだから、富裕層向けビジネスは超有望では!?

助手 日本で富裕層が増えてるって聞いたんですけど本当ですか?

坂本 ああ、野村総合研究所の調査ですね。同社では2005年から、純金融資産の保有額別の世帯数を推計してるんですよ。最新の発表では、保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」と、同5億円以上の「超富裕層」の数が合計で148.5万世帯になった。これは推計開始以降で最多です。しかも10年間近く、富裕層や超富裕層は増え続けてる。

助手 増え続けてる理由って?

坂本 アベノミクス以降、株価が上昇傾向だからね。不動産の高騰で、売却益で資産を増やした人もいるでしょう。いずれにしろ日銀が緩和的な施策を続けるうちは、富裕層も増加傾向をたどるんじゃないかな。

助手 そういうことなら、富裕層相手のビジネスを手がけている企業に投資したいです。

坂本 じゃあ青山財産ネットワークスを検討しよう。資産家に対して、資産の運用や管理のコンサルを提供している企業です。顧客の平均資産額は10億円。超富裕層向けビジネスだから君の希望にドンピシャなはず。

助手 資産額がすごい! ピンときてないんですけど、「お金が余ってるんだけど、いい運用先ないの?」みたいな人に金融商品を提案する企業、ってイメージで合ってますか?

坂本 そんな単発じゃうまみがない。超富裕層は次世代に財産をバトンタッチすることを視野に入れて計画的に資産を運用します。コンサル提供側も、そのニーズをくめる長期の付き合いで手数料を最大化するんです。

助手 長期の付き合いって例えば?

坂本 非上場企業のオーナーを想定してみよう。初回は、代々の相続で遠い親戚にまで散らばった株を集約したいという相談。成功させれば、数年後に企業の成長戦略策定を頼まれる。数十年後には、事業売却で得た資金の運用や相続対策を任される。

助手 数年置きに起こる悩みを、いつも同じ会社に相談しますかね?

坂本 だから青山財産ネットワークスでは月数万円の顧問契約を結んで顧客を囲い込んでいます。目先の利益はほとんどないけど、大きな手数料を得るためのコストとして割り切っているはずです。あとは「アドバンテージクラブ」も顧客との接点としてうまく機能してますね。

助手 なんですか、それ?

坂本 不動産の小口化商品ですよ。お金を出し合って1件の不動産を買い、賃料を受け取りつつ一定のタイミングで売却して売却益も分配する。

助手 不動産クラウドファンディングと変わらなくないですか?

坂本 違いは超富裕層が対象なのでひと口当たりの額が大きく、いい物件を少人数で入手できること。すべて現金での出資なのも特徴だね。一般的に不動産投資では、収益性を高めようと融資を受けます。それだと融資期間などとの兼ね合いで最良のタイミングで物件売却ができず損をするケースもあるんです。でも、現金出資なら不動産価格が上昇するまで待って売却できるから勝率が高い。単純平均した年間換算利回りもなんと6%も出ているとか。

助手 不動産の在庫を持つって、会社側はリスクが高そうですけど。

坂本 いや。会社は注文を受けてから仕入れるからリスクは高くない。一方で会社には商品組成の手数料や管理報酬が入ります。しかも長期で持つ商品だから安定的な収益源となり、同社のふたつ目の事業の柱になりつつある。長期投資に向いていると思います。

今週の実験結果
格安の顧問料でパイプをつくりコンサルで大きな手数料を得る。巧みな客の囲い込みですね

坂本慎太郎

坂本慎太郎さかもと・しんたろう

こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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