エンタメ領域に広く進出しており、ゲーセン以外に映画配給の「GAGA」、カラオケの「バンバン」も傘下に持つ エンタメ領域に広く進出しており、ゲーセン以外に映画配給の「GAGA」、カラオケの「バンバン」も傘下に持つ

『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!

今週の研究対象 
ゲームセンター「GiGO」
(GENDA)

最近、セガのゲームセンターってめっきり見なくなってません? 実はアレ、買収されたんです。なんと、設立2年の小さな会社に。そして、その会社は今や上場したらしい。いったいどんな会社だ!?

助手 所長の口ぐせで「投資先を探すなら秋葉原に行け」ってあるじゃないですか。

坂本 外国人客の動向もわかるし、今勢いのある小売りや外食企業がこぞって出店したがる場所だからね。にしても、急にどうしたんです?

助手 以前ラウンドワンを取り上げた回で「クレーンゲームが有望」と聞いたので、ゲームセンターが多い秋葉原に偵察に行きまして。

坂本 どうでした?

助手 実はクレーンゲームうんぬんより、古くからあるゲームセンターが以前と違う看板で営業してるのが気になりました。昔、秋葉原には「SEGA」の名を冠するセガサミー系列のゲームセンターがいくつもありましたよね。今は「GiGO」っていう名前で営業してるんです。見た目や内装はSEGAにそっくり。ひょっとして飲食店の居抜きみたいな形でゲームセンターを流通させるビジネスがはやってるとか?

坂本 というより、SEGAの運営元は2020年にGENDAという企業に買収されたんです。同社がSEGAの資産を生かしてGiGOを展開しています。似てるにはワケがある。

助手 なんと! なんでSEGAは買収されちゃったんですか?

坂本 当時はコロナ禍初期で、不要不急の外出は避けられていたからゲームセンターは大赤字ですよ。親会社のセガサミーも見切りをつけたんじゃないかな。とはいえ、設立から約2年の非上場企業であるGENDAが従業員4000人以上のゲーセン業界の老舗企業を買うとは誰も予想できなかったけどね。

助手 え? 超小さい企業が自分より大きい企業を買ったってこと?

坂本 そう。企業の格にこれくらい差があると、普通は「売ってくれ」と頼んでも相手にしてもらえない。まず買収のための資金調達が難しいし、少人数の企業だと買収に必要な手続きのノウハウがない。買収した後、経営していくための資源や知見だっておぼつかないからね。

助手 そんな状況でよく買収に応じてもらえましたね。

坂本 GENDAは普通の企業とは出自がひと味もふた味も違ったんです。同社は、プロの経営者や高度な金融知識を持つ専門家らが出資して作ったファンドが母体。ファンドのメンバーが起業して経営し、ファンドが大株主となって資金も提供している。だから、設立当初から企業経営に必要なヒト・モノ・カネがそろっていたんです。

助手 会社は若くても、SEGAが売ってもいいと思える体制だったと。

坂本 ええ。GENDAの共同創業者はイオン系の上場企業でゲームセンター事業を手がけるイオンファンタジーの社長だった人物。ゲーセン経営のプロですから。実際、大赤字で買収した次の期には38億円の営業利益を叩き出し黒字化に成功しています。その後は中小のゲームセンター運営企業を次々と買収して、ゲーム機や景品の共同仕入れ、店舗オペレーションの横展開などの施策を実行。大幅に業績を向上させ、2023年には上場までこぎ着けました。

助手 設立から5年で上場ですか。

坂本 現在も高成長は続いています。最近では世界的名作の配給で知られる映画配給会社GAGAの買収も。アミューズメント分野だけでなくエンタメ分野全般を手に入れて相乗効果を狙うようです。金融機関と連携を強化して買収資金の確保も順調。高成長はまだまだ続くと思います。

今週の実験結果

巧みなM&Aで急激な成長を遂げています。まだまだ投資できるでしょう

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坂本慎太郎

坂本慎太郎さかもと・しんたろう

こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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