大阪・堺に本社を置き近畿地盤だが営業収益は関東が最大。引っ越し事業を手がける上場企業は日本通運やヤマトHDなどわずか 大阪・堺に本社を置き近畿地盤だが営業収益は関東が最大。引っ越し事業を手がける上場企業は日本通運やヤマトHDなどわずか

『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!

今週の研究対象 
コロナ禍の郊外移住ブーム
(サカイ引越センター)

コロナ禍では郊外移住がブームとなったが、その後はというと都心への回帰が進んでいるみたい。ならば、引っ越し需要が増えて業者が儲かるのでは? 業界最大手のサカイ引越センターに注目した。

助手 前号の特集記事で見かけたんですが、コロナ禍をきっかけに郊外に移住した人が約8%いたみたいですね。東京の人口が減ると儲かる企業ってないんですか?

坂本 都心から引っ越した人もいるのかもしれないけど、東京の人口は減ってませんよ。

助手 えっ、そうなんですか?

坂本 東京の人口は2022年の3月まではコロナの影響で減っていたんですが、第6波のピークが過ぎた同年4月からは増加に転じているんです。そして2024年には過去最多の1410万人台に突入している。

助手 え、コロナの影響ってあんまりなかったんですか?

坂本 郊外に転出した人も、リモートワークが廃止されて結局出勤せざるをえなくなったからね。実はリモートワーク実施率のピークは2021年だったんです。さらに大学などの授業もオンラインからリアルへ回帰した。私の知り合いも、また東京に戻ってくる人が増えましたよ。

助手 となると、引っ越し需要が増えて引っ越し業者が儲かったり?

坂本 引っ越しをメインの事業にしてる上場企業は少ないからなぁ。サカイ引越センターくらいかな。

助手 引っ越し業者って選ぶのに苦労するくらい、たくさんの会社があるイメージでしたけど。

坂本 引っ越し業界は中小零細企業がほとんどで、事業者数自体は多い。参入にあたって法規制などがないから、トラックと人さえそろえれば簡単に始められたんです。でも最近は人口減少で市場が縮小気味な上、物流業界の残業規制「2024年問題」で人手不足も懸念されているから、サービスを維持可能な体力がある大手企業に追い風が吹いています。

助手 サカイ引越センターの業界内での立ち位置はどうなんですか?

坂本 非上場のアート引越センターと業界を二分する最大手ですよ。全国に200超の支社を展開しており、パートナー企業も多数抱えています。

助手 パートナー企業?

坂本 中小規模の引っ越し業者や物流業者と提携して「サカイ引越センター」ブランドの業務をやってもらってるんです。人手不足を提携で補う作戦で、ブランド力のある大手だからこそできることです。

助手 外部の企業に作業を任せると、品質にバラつきが出たりしてブランドが傷つきませんか?

坂本 そこは大丈夫。サカイ引越センターは自前の研修施設を持っていて、引っ越し業務のない日には社員に作業の練習をさせているくらい品質にこだわりがある。そのノウハウをパートナー企業にも提供して品質を保っています。

助手 引っ越しの練習施設まであるのか。さすが大手ですね。

坂本 規模の大きさが有利に働くのはそれだけじゃありません。同社は業務提携や企業買収によって不用品買い取りや電気工事、ハウスクリーニングにまで進出している。引っ越しの周辺領域まで手がけて顧客のニーズを総取りするわけです。さらに最近は法人領域への注力も始めました。法人の引っ越しは規模が大きいので周辺領域の取扱額も多くなるし利益率が高いんです。

助手 業績に期待できそうですね。

坂本 ええ。コロナ禍の2021年期も黒字を確保したし、最近は受注を選別して引っ越し単価を上げながら利益を伸ばせており、増収増益が続いています。業績の向上に加えて配当性向もまだ上げられるから増配も期待できそう。投資できますよ。

今週の実験結果 
パートナー企業を増やすことで物流の2024年問題にも対応。スキがないです

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坂本慎太郎

坂本慎太郎さかもと・しんたろう

こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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