坂本慎太郎さかもと・しんたろう
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
公式X【@bucomi】
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
今回のテーマは不動産。それも、フツーの不動産販売でもなく、物件のデータベースを持つ会社だ。そのデータベースを起点にがっちり儲ける仕組みを徹底解剖した!
助手 この頃、フェイスブックでマンションの広告が頻繁に流れてくるようになったんです。
坂本 君がマンションについて調べた履歴を基に表示してるんですよ。
助手 あ、確かに。一時期、引っ越そうと思って物件を探してました。
坂本 やっぱり。
助手 不動産広告を大量に見せられてわかったんですが、東京周辺の新築マンションってとんでもなく高いんですね。相対的に中古マンションは価格が控えめ。リノベ済みならきれいでおトク感がありました。家を欲しい人は中古物件を選択肢に入れるケースが増えてそうですよね。それで中古マンションを扱う企業が面白いんじゃないかと思ったんですが、違いがわかりづらくて。
坂本 そういう意味では、ランドネットっていう企業がユニークです。社長が「当社の商品はテキストデータ」と言っているくらいだから。
助手 不動産業なんですよね?
坂本 もちろん。ランドネットは創業以来、独自の不動産情報データベース(DB)を構築することで成長してきたんです。先の社長の言葉は、そのDBが同社のビジネスの核だってことを表現してるわけ。
助手 それって他社が握ってない、とんでもない情報だったり?
坂本 いや、公開情報だけど網羅性がすごいんです。全国の区分所有マンションに関する物件情報がそろっています。例えば不動産登記簿に載っている面積といった情報から、売り出しや貸し出しでどんな代金が発生したのかといったデータ、街並みや周辺環境、物件の交渉履歴なんかが格納されている。そのデータを日々取得して自社で更新しています。
助手 それがどう役立つんですか?
坂本 第一に、DBを使えば効率的かつ低コストで物件仕入れができるんです。一般的な不動産業者が物件を仕入れる場合、物件所有者と直接交渉するんじゃなく、仲介業者を通すことが多い。すると当然、業者に支払う手数料がかかるし機動的な仕入れも難しくなります。
一方、ランドネットの場合、例えば担当者がたまたま通りかかった物件でも「仕入れたい」と思えば、帰社後にDBで物件名を調べると部屋の所有者も過去の取引事例も即座に全部わかるから、所有者と直接交渉して手数料ナシで仕入れできる。
助手 なるほど。
坂本 実際には同社は所有者へのDMに対する反響が主な接点だけど、直接仕入れ率は70%超で業界トップクラスです。しかもデータ活用で新人も半年ほどで戦力になる。不動産業界は、いかに営業の人数を増やせるか、仕入れ物件を積み増せるかが業績を左右する面があります。ランドネットは毎期100人近く採用しているんですが、その新人が即戦力になるのはすごいことです。
助手 DBはほかにも役立つことが?
坂本 データに基づいて素早い査定や契約ができ、その時々で競争優位性が高い物件を仕入れられるから在庫回転日数を短くできるんです。一般的な不動産会社では回転日数が数百日のところ、ランドネットは77日で仕入れた在庫がはける。市況が悪化しても不良在庫を抱えるリスクが少ないってことだし、いい物件を仕入れできている証拠でもある。
助手 じゃあ業績は好調ってこと?
坂本 ええ。今期営業利益は前期比58.4%増の予想。ファミリー向けのマンションが好調でした。同分野は注力し始めたばかりだから、まだまだ伸びしろがあるんじゃないかな。
今週の実験結果
データベースを持つことで、仲介業者を挟まず効率良く仕入れができます!
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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