
坂本慎太郎さかもと・しんたろう
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
公式X【@bucomi】
1999年に神奈川県海老名市で設立。当初はモバイルコンテンツ事業を展開していた。オンラインくじ事業が成長中
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
新作アニメ『ジークアクス』の盛況などもあって、バンダイナムコの業績は絶好調。すでに同社の株価は割高だが、IPビジネスを手がける二匹目のどじょうはいないだろうか?
助手 バンダイナムコがガンダムで大儲けしてるらしいですね。ガンダムのIP(知的財産権)関連の売り上げはこの10年で2倍の年間1400億円に成長したとか。
坂本 ええ。国内ではガンダムの新作アニメ『ジークアクス』劇場先行版の興行収入が30億円を超えたし、ハリウッドでの実写映画化や米国・中国でのプラモデル展開など海外事業も順調です。
助手 いろいろやってるんですね。
坂本 IPビジネスはいろんな領域に横展開して爆発的に利益を増やすのが定石だからね。他社にライセンスを付与すれば展開も早くなるし利益率も高くなるしで、夢のようなビジネスですよ。しかも、貿易戦争に巻き込まれにくいビジネスだから、あらためて注目を浴びそうです。
助手 なるほど。バンダイナムコに今から投資するのってどうですか?
坂本 同社のPERはすでに30倍近いからねぇ。IP関連でほかに割安な成長企業を探したほうがいいかも。エディアなんて面白いと思います。
助手 どんな会社なんです?
坂本 もともとはスマホ向けゲームなどを手がけていて、業績の低迷が続いていました。ところが最近、出版やレトロゲーム、オンラインくじ事業で成長軌道に戻りつつある。
助手 ソフト開発会社が出版ですか。それにレトロゲームとオンラインくじって脈絡がなさすぎです。狙いはなんなんですかね?
坂本 IPをそろえて、他領域に横展開し、そして売るところまで自社内で対応できる体制を整えたわけ。
助手 どういうことですか?
坂本 IPビジネスは、なんといっても商売のタネになるIPの確保がキモ。それも、ほかの領域に展開して売れるような強力なIPが必要です。そこでレトロゲームの出番なわけ。同社は、かつてメガドライブやPCエンジンなどで発売されていた約140タイトルの権利を買って、ニンテンドースイッチなどに移植しているんです。過去に売れたゲームなら現代のゲーム機でも一定のヒットが見込めるでしょ。そうなればグッズや映像化の可能性も出てくるし。
助手 確かにそうですね。
坂本 外から買ってくるゲームに対して、自前でIPを生み出す取り組みが出版です。2018年に出版社を買収して、24年からマンガの電子雑誌『ひふコミ』を出しています。
助手 調べたら、『ひふコミ』って1500ページもあるんですね。ジャンプが500ぺージ弱なのを考えるとすごいボリュームです。
坂本 電子雑誌ならではだね。コンテンツに対する消費者のニーズは多様化しているんだけど、大ボリュームの誌面ならいろんなジャンルに対応できるし、数の力でヒットを出すこともできる。そして、手応えのいい作品のグッズを自社で販売する手段になるのが、ネット上でくじを引いてグッズを当てるオンラインくじなんです。自社で販路を持っていればグッズの展開も早いし、利益も自社内ですべて取り切れるわけ。
助手 うまいですね。
坂本 もちろん、IPの内容によっては他社と連携してゲーム化や映像化もする。最近ではIPの取り扱いノウハウが蓄積されてきたこともあり、エディアのオンラインくじ向けに商品を提供したいという要望も増えたとか。つまりオンラインくじが他社にとってもIPビジネスのプラットフォームになってきた。今後さらに他社への提供に注力することで、面白い投資先になると思います。
今週の実験結果
オンラインくじが伸び始めており、他社からの引き合いも増えてきた。今後に期待です!
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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