
坂本慎太郎さかもと・しんたろう
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
公式X【@bucomi】
1946年、文房具類販売会社として設立。現在、選挙機材のシェアは8割を誇る。国政選挙の有無で収益が大きくぶれるのが特徴
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
7月に行なわれる第27回参議院選挙。選挙の結果を予測することは難しいが、選挙が行なわれると儲かる企業は前もって考えられるはず!
助手 この夏って参議院選挙があるんですか?
坂本 あるよ。参議院議員の半数は7月28日に任期満了するからね。7月3日に公示され、20日に投開票となるようです。
助手 今回の選挙で与党の過半数確保は微妙だという論調の記事を見かけました。もしそうなれば、政策の転換で追い風が吹く企業が出てくるんじゃないですか? そこを狙って投資したいです。
坂本 選挙の勝敗を占うのは難しいし、選挙結果を受けての政策変更を当てるなんてさらに難しい。個人投資家が取り組んでもあまりメリットはありません。それよりも、「選挙がある」という確定した事実が追い風になる銘柄を探したほうがいい。
助手 なるほど。でも、そんな企業があるんですか?
坂本 選挙があると株価が吹き上がる、定番の選挙関連銘柄がいくつかあるんです。例えば、封筒メーカーのイムラなんて代表的です。
助手 選挙と封筒になんの関係が?
坂本 投票所の入場券って、選挙管理委員会から封筒で送られてくるじゃないですか。それにイムラの封筒が使われています。同社は官公庁向けの封筒に強いんですよ。
助手 官公庁専用の封筒がある?
坂本 専用ってわけではないけど、「窓付き封筒」は宛先のラベルを別途印刷する手間を省けるから、多人数への一斉送付が多い官公庁には重宝されています。イムラは窓部分と封筒を一体化させてスムーズな封入を実現した「プラ窓封筒」を1960年に日本で初めて開発した。つまり業界のパイオニアなんですよ。
助手 それで官公庁との付き合いが。
坂本 そう。また、伊藤園と共同開発した「お茶殻入り封筒」なんてのもある。パルプの使用量削減につながってエコな上に、透けにくくて情報保護性に優れているから自治体の選挙なんかでも重宝されています。イムラは封筒をはじめとしたパッケージソリューションの売り上げが全体の約8割だから、選挙特需のインパクトも期待できると思う。
助手 ただ、封筒って参入障壁が低そうだし、今後エコの流れでどんどん使われなくなるんでは? ほかにも注目企業はないんですか?
坂本 今回は単発のイベントにのっかる作戦だから、そういう長期投資的な視点はいらないんだけどね。別の企業を挙げるならムサシかな。
助手 どんな会社なんです?
坂本 選挙機材でトップシェアを持っています。投票用紙読取分類機や計数機などの機器から、投開票業務管理ソフト、投票箱の中で自然に開く投票用紙なんてのも手がけています。さらには選挙スタッフの派遣や会場の設営・撤収も請け負う「選挙業務総合受託事業」までやっている。この組み合わせは参入障壁が高そうでしょ。
助手 まさにニッチトップって感じですね。すごい!
坂本 まぁ選挙システム事業は同社売り上げの14%に過ぎないけどね。
助手 ほかは何をやってるんです?
坂本 文書などのデジタル化サービスやデジタルアーカイブシステムの提供。いずれも官需がメインです。
助手 成長するイメージはないなぁ。
坂本 さっきも言ったけど、今回はいわゆるイベント投資だから短期目線でいいんです。選挙関連銘柄は選挙前が一番盛り上がるパターンも多い。今回も選挙前に株価が下がってきたらすぐに利益を確定するくらいのつもりでいいと思います。
今週の実験結果
選挙はなくならないので需要は底堅いですが、買うなら短期で!
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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