
坂本慎太郎
さかもと・しんたろう
坂本慎太郎の記事一覧
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
公式X【@bucomi】
社名は創業者の出身地である埼玉県日高市に由来し、「ハイデイ」はhigh(高)+day(日)。100株以上持つと優待券がもらえる
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
ラーメン店の値上げが相次ぎ、「1000円の壁」を越える店も増えている。そんな中、ラーメン1杯420円を守り抜いているのが日高屋だ。実はここ、コロナ禍に〝大バクチ"を打っていたようで......。
助手 街を歩いていると、外食が本当に高くなりましたね。ラーメンも1000円超えが普通になって......。あ、こんなところに「日高屋」ができましたね。日高屋、東京に出てきてからけっこう行ってるんです。
坂本 なるほど、君は東海地方出身だから地元になかったのか。ハイデイ日高という上場企業が関東を中心に展開している中華料理チェーンで、サラリーマンがランチや仕事帰りにフラッと寄る、いわば関東版の「餃子の王将」って感じだね。
助手 このご時世に中華そばが420円だから助かってますよ。最近、駅前や繁華街の好立地の店舗が増えて便利になった気がします。
坂本 まぁ、日高屋は昔から好立地が多かったけどね。出店巧者なんですよ。古くからある店はマクドナルドや吉野家のそばに多いでしょ。
助手 偶然じゃないんですか?
坂本 隣接地を狙って出店したんです。マクドナルドや吉野家は人の流れを徹底的に調べてから店を出します。だからその近くに店を出せば、人通りの多さはほぼ保証付きなわけ。
助手 出店場所のリサーチは他社に任せると。賢い作戦ですね。
坂本 そう。好立地の店舗は家賃が高いけど、夜はちょい飲み客で客単価が上がるから、十分吸収できるんです。コロナ前は駅前での長時間営業でちょい飲み需要をつかみ、ずいぶんにぎわっていました。
助手 となると、コロナ中は大変でしたね。酒類は提供禁止だったし。
坂本 でも同社は"攻め"を選んだんです。空きテナントが増えて家賃も下がった時期に、あえて駅前の好立地に出店を続けました。東京の新橋駅前店なんかはこの時期のオープンです。都心の一等地は一度逃すと次に入居できる機会はなかなかない。短期的には赤字でも、コロナ明けに客足が戻れば、集客力ある場所を押さえた日高屋は有利になります。
助手 思い切りましたね。
坂本 ある種の"バクチ"だよ。ただ、リモートワークで郊外の昼間人口が増えると読んで、それまで手をつけていなかったロードサイドへの出店も始めたのはさすがです。コロナ収束で出社回帰の流れにはなりましたが、車社会の郊外のファミリー需要を取り込むことに成功しました。結果、2024年2月期の売上高はV字回復、2025年2月期は過去最高を更新、今期も第2四半期時点で会社予想を上回る業績です。コロナ時の出店戦略が功を奏しました。
助手 バクチに勝ったんだ! でも好調の要因がコロナ時の出店ってことなら、もう伸びしろはなさそう。
坂本 いや。次はフランチャイズ(FC)展開に期待できる。日高屋はこれまで基本的に直営主義を貫いてきたんですが、今年になって新潟県の企業とFC契約を結びました。地方進出は地元企業と組んだほうが展開が早い。空白地帯になっている地方での出店に本腰を入れようという決意を感じます。中期経営計画によると、前期末の455店を、最終的に地方都市も含め700店まで伸ばそうとしているらしい。
助手 地方進出が実現すれば単純計算で1.5倍の業績になるわけかぁ。
坂本 そうなるね。加えて、日高屋はまだ値上げ余地がある。ラーメン1杯400円台って、今やかなり貴重だよ。少し値段を見直してもまだ割安です。出店エリアを広げつつ安さで客数を確保し、無理のない値上げで利益を増やしながら成長できる。配当と優待をもらいつつ長期投資というスタンスがいいと思います。
今週の実験結果
フランチャイズ展開の成否と今後の値上げ次第ではさらに業績が向上しそう!