
坂本慎太郎
さかもと・しんたろう
坂本慎太郎の記事一覧
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
公式X【@bucomi】
1956年、広島で呉服店として創業。1964年には衣料品の製造加工へ業態転換した。配当利回り3.62%は魅力的!
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
寒波が到来し、ユニクロのヒートテックが心強いこの頃。実は、ユニクロの衣料品の縫製を大量に引き受けている会社があることをご存じだろうか? 知られざる陰の立役者の実態に迫る!
助手 あのユニクロ、今日も客入りがいいなぁ。
坂本 春物が並び始めたからね。
助手 この連載でアパレルSPA(企画から製造・小売りまで自社で手がけるビジネスモデル)の成功例としてユニクロの話が出たことはありますけど、いったいどれだけの工場を持ってれば、毎季あんなにたくさんの服を用意できるんですかね?
坂本 ユニクロは確かにSPAなんだけど、実際に縫っているのはマツオカコーポレーションなんです。
助手 ユニクロの子会社とか?
坂本 いや、独立した縫製メーカーで上場もしています。アジア5ヵ国に工場を持ち、年間6000万枚を作るアパレルOEM(他社ブランドを受託生産する会社)最大手で、売り上げの65%がユニクロ向けです。
助手 6000万枚! とんでもない規模ですね。
坂本 欧米のアウトドアブランドやスポーツウエアブランドからも受注しているからね。例えば、仏発祥で世界最大級のスポーツウエアブランド「DECATHLON」、米アウトドアブランドの「Columbia」、カナダ発のヨガウエアブランド「lululemon」などに、高機能素材を供給しています。ラミネーションフィルム事業と同社は呼んでいるのですが、透湿防水フィルム(蒸れにくい薄い膜)を生地に貼ったアウトドア向きの生地を自社開発しているんです。
助手 素材メーカーでもあると。
坂本 そこが面白いところです。売り上げの約8割は縫製事業で、残りが素材を手がけるラミネーションフィルム事業です。前者は大量生産で安定して稼ぐ基盤、後者は単価も利益率も高い成長エンジン、という二段構えの事業構成になりつつある。
助手 複数の有名ブランドから受注できる理由ってなんなんですか?
坂本 一番はサプライチェーンの分散と、それを使いこなす力です。中国のほか、ベトナムやバングラデシュなど5ヵ国に工場があり、「スピード重視はここ」「コスト重視はあちら」と商品ごとに工場を振り分けているんです。売れ行きが読みにくい新作なら、まず発注から納品までが早い国で小ロットを作り、手応えが出たらコストの安い国に大ロットを振るとか。ブランド側もリスクを最小限に抑えながら確実に商品をそろえられるから、「次もマツオカで」となりやすいんです。
助手 ただ人件費の安い場所に工場を建ててるんじゃなく、柔軟な供給が実現できるように考えてるわけか。
坂本 そう。そこに素材提案が加わって、1着当たりの付加価値を高めやすくなったのが今のマツオカです。
助手 となると、業績の成長余地は大きいんじゃないですか?
坂本 そうだね。ふたつの方向で成長が可能だと思う。まず、バングラデシュやベトナムの新工場の稼働率を高めて生産枚数を増やす方向。同じ設備でもラインをしっかり埋めれば固定費を回収しやすくなるから、利益率が良くなりやすい。
助手 なるほど。
坂本 もうひとつが単価を上げる方向で、環境対応やアウトドア需要に合う生地を開発することです。そうすれば、縫製もパターンが複雑なスポーツウエアや機能性インナーの比率が上がって単価が高くなる。
助手 おぉ、投資できそうですね!
坂本 ええ。アパレルの世界市場は今後も年3%超のペースで成長する見込みです。マツオカはそれを超えるペースで成長できるとみます。長期で期待できる銘柄だと思うよ。
今週の実験結果
ユニクロだけでなく、欧米のアウトドアブランドも厚い信頼を寄せています!