
坂本慎太郎
さかもと・しんたろう
坂本慎太郎の記事一覧
こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
公式X【@bucomi】
1944年、鐡道建設興業の社名で会社設立。64年に現在の社名に変更。東京駅丸の内駅舎保存・復元を手がけたのもここだ
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
日々お世話になるけど、誰がつくっているかわからないモノは身の回りにありふれている。今回は鉄道のトンネルや高架の建設、メンテナンスを手がける会社に目をつけたぞ!
助手 すみません所長、また遅刻したのは電車が止まったせいです! 最近、遅延とか運転見合わせが多くないですか? 1月にも変電設備の火災で山手線と京浜東北線が半日くらい動かなかったし。
坂本 確かに遅延が増えているような気がします。その背景のひとつは設備の老朽化だろうね。鉄道に限らずだけど、高度成長期に整備したインフラが一斉に古くなっているんです。国土交通省は、建設後50年以上経過したインフラの割合は今後20年で「加速度的に高くなる」としています。2040年にはトンネルの約52%が、道路橋では約75%が、建設から50年を超えてしまう計算です。
助手 なんと。そんな古いインフラで安全を確保できるんですかね?
坂本 だから補修や造り直しが必要になる。インフラの更新需要が追い風になる企業は長期で手堅い投資先になると思います。
助手 じゃあ建設系の会社が狙い目ってことですね。所長が注目している建設会社ってありますか?
坂本 鉄建建設はいいと思うよ。その名のとおり鉄道関係の工事に強い会社で、JR東日本が筆頭株主になっています。最近だと東北新幹線や北陸新幹線関連の工事、新橋駅の改良工事なども同社が手がけています。
助手 JR東日本が株主なら確かに鉄道分野では仕事が途切れなそうですけど、インフラ全般で更新需要が高まるなら、鉄道以外にも対応できる会社に投資するほうが儲かるんじゃないですか?
坂本 鉄建建設も、鉄道分野で培った強みを横展開して、道路やトンネル、橋の補修、防災施設といった分野にも進出してますよ。
助手 鉄道分野での強みを生かすってどういうことですか?
坂本 鉄道の工事は難易度が高いんです。列車を止められる時間が限られたり、線路の近くで作業したり、少しの遅れが運行に響いたりするからね。鉄道工事で必要な「限られた条件で工期を守る」「リスク管理を徹底しながら進める」ための知見は、交通を確保しつつ施工する道路工事や制約の多いトンネル工事などにも応用が利くわけ。
助手 得意分野を横に広げて、稼ぎの土台を広げているんですね。それで、鉄道以外のインフラの受注は順調なんですか?
坂本 順調と言っていいと思います。今期は第3四半期までの土木の受注額916億円のうち国内官公庁からの受注は523億円で、前年同期から倍増しています。土木分野で国内官公庁から受注っていうのは、基本的には道路などのインフラ関連のことだからね。
助手 受注額倍増とはすごい!
坂本 仕事が増えてるってことだからいい傾向です。ただ、注意しなければいけないこともある。建設業は仕事が増えれば自動的に儲かるとは限らないんです。工事は受注してから完成まで時間がかかるし、材料や人件費が上がると原価も動くからね。必ず採算を確保できる質の高い受注かどうかを見極める必要がある。
助手 鉄建建設はその点どうです?
坂本 同社の第3四半期累計売り上げは前年同期比で減っているのに、営業利益は増えています。つまり、採算性のいい案件を選別して受注できているんじゃないかな。そうなると受注額の増加が利益の増加に直結するとみていい。国土強靱化の国策もあるし、インフラの更新は長く続くテーマになる。長期投資で臨みたいね。
今週の実験結果
売り上げと営業利益を見比べれば採算のいい案件を選んでいるかどうかが見えてきます