3月に放送された深夜バラエティ『芸人報道1時間SP』に「副業で稼ぐ芸人」として出演した熊本アイ。
2年前から月に一度くらいのペースでこなしている「ヌードモデル」の仕事を紹介するとともに、深夜とはいえ地上波でフルヌードを披露した。
その光景は、先日刊行された衝撃的写真集『BED GAME』をカメラマンとして撮影したピース・綾部祐二すらも震撼(しんかん)するほどだった。
そして発馬中の『週刊プレイボーイ』19・20合併号の誌面でもヌードを披露してしまった熊本アイとは、一体何者なのか? 芸人業の傍(かたわ)らヌードモデルをこなす真意は? 話を聞くうちにそのキャラクターが少しだけ見えてきた。
―グラビアの撮影お疲れさまでした。緊張しましたか?
熊本 最初の、洋服を着て外で撮るスナップ撮影が緊張しました。ああいう普通の撮影、慣れてなかったので(笑)。
―むしろヌードの時のほうが堂々としていたような...。
熊本 よく言われるんですけど、全然抵抗はないんですよね。
―本当ですか?
熊本 私、アニメとか漫画が大好きなんですけど(諸問題上、写真には写せなかったが、部屋中に漫画やキャラクターグッズがあふれていた)、そこに出てくる"いい女キャラ"って、だいたいみんな裸になることを躊躇(ちゅうちょ)してない気がするんですよ。『(新世紀)エヴァンゲリオン』の綾波(あやなみ)レイとかもそうじゃないですか。
―わかるような、わからないような...。
熊本 家でも裸でいることが多いですし。
―同居人、全員男ですよね? あと、普段ノーブラで生活しているとか...?
熊本 胸ないんで、必要ないんですよ。今日は撮影で「下着姿も撮りたい」とカメラマンさんがおっしゃったので、部屋の奥に埋もれていたブラをなんとか探し出しましたが、上下そろったのははっきり言って奇跡です。
―芸人としての収入より副業のほうが稼いでいると伺いました。
熊本 芸人としての収入はゼロですね。というか、むしろマイナスですね。オーディションや舞台に出るのに登録料とかかかる場合も多いですから。
―じゃあ、生活費はモデル業で賄(まかな)っている?
熊本 あとは、近所のメイドリフレで週4、5くらいでバイトしています。1日8時間くらい入りますかね...。
なんでもいい。名を残して死にたい
―それほとんど本業じゃないですか!
熊本 モデル業のほうもまずまず順調で。おかげで『芸人報道』にも出演させていただいて。最近、違う方向に進んでいる感じはあります(笑)。
―それで大丈夫なんですか?
熊本 私、お笑いも好きで今はお笑い芸人やっていますけど、他にもやりたいことがあったんですよ。高校の進路指導の時も、お笑いの道に行くか、美大に行くか、音大に行くかで迷ってて。「美大や音大に行ってお笑いをやることは難しいけど、お笑いをやりながらそっち方面の活動をすることはできるんじゃないか」とふと思って。
―めちゃめちゃ欲張りじゃないですか。
熊本 とにかく、世に出たいんですよ、私。たくさんの人に見てもらって知ってもらって、名前を残してから死んでいきたいってずっと思ってるんです。極論、その手段が芸人ではなくてもいい、と。
―その思いがモデルの副業にもつながっているわけですね。
熊本 私は「ストレンジサニィシアター」というお笑いトリオで活動しているんですけど、一方でそれぞれがソロでも何かしら活動できてるというスタイルに憧れていて。「雑誌に載る」というのはかねて自分の夢だったので、それが叶(かな)って嬉しいです(笑)。
―芸人としての活動はいかがですか?
熊本 ......今、軽く活動休止中というか。
―大丈夫ですか!? これ誌面になる頃に解散とかしてないですよね!?
熊本 今のトリオを組んだのが4年前。それぞれ別のコンビでやってたのが、たまたま同時期に解散したのがきっかけだったんです。リーダー(シアター稲葉大樹)に誘われて、当時は大阪で毎週よしもとのオーディションがあったので「3ヵ月間、オーディション受けてみて、ダメだったら解散しよう」って決めてたら最後の最後に通って。
リーダーはウンコみたいなやつ!
―大阪で1年ほど活動した後、上京。今、結成5年目です。
熊本 東京に来てからもライブにエントリーしまくったりしてたんですけど、最近あんまりいい新ネタができなくて、出る数も減らしていて。...すごくダサいこと言ってるなって思うんですけど、お客さんにウケてるのに結果がついてこないって思うことも多くて。モデル業をやってるのも「がむしゃらに芸を磨くだけじゃなくて、何か別の活動を通して私たちのことを知ってもらって認知度を高める」というステップも必要なのかなって考えたというか。
―では、他のふたりも同様に、違う角度からトリオの将来を考えている?
熊本 メインでネタを作ってる森井(照人)は、同居しなくなってから何してるのかよくわからないことが多くなったんですが、いろいろな舞台や芝居を観に行ってるみたいなので、今は"インプット"の時期なのかも。
―リーダーも?
熊本 リーダーは一番お笑い愛が強い男なんですよ。お笑いオタクで「M-1で優勝したい」とか平気で言う男なんで。でも言うだけで何かしてるようには見えないんですよね...。
―リーダーはネタ作らない?
熊本 作っても面白くないから大抵ボツになります。しかも器がちっちゃいんですよ。私が『芸人報道』に出たことも、一切スルーでしたからね。
―そこは芥川賞を獲った相方の又吉先生のことを笑いに変えるピース綾部さんくらいの器量が欲しいですね。
熊本 ウンコみたいなやつなんです。ウンコリーダーです。
―完全に内部崩壊の危機じゃないですか! 解散したほうがいいのでは?
熊本 解散はしないです。それだけははっきり言えます。もう少し時間が経てば、本当の意味で3人の足並みがそろってくると思うので勝負かけたいです。
■熊本アイ 1988年10月14日生まれ大阪府出身身長160cm 体重46kg趣味=アニメ鑑賞、コスプレ、カラオケ 特技=イラスト、ドラム演奏。シアター稲葉大樹、森井照人らとお笑いトリオ・ストレンジサニィシアターとして活動中。「中学生の時からマンガやアニメが好きで、それが高じてコスプレ好きに。コスプレイヤーだった過去がモデル業の土台にはあると思います」
(撮影/塩原 洋)