コスプレ姿でオーボエを演奏する、よねち。衣装でも着ているアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の渡辺曜推し

今や一般的なサブカルチャーとして認められているコスプレ。近年では、ただコスプレをして撮影するだけでなく “コスプレパフォーマンス”という文化も生まれている。

多くは演劇やアクションなどアニメの世界観を表現するものだが、その中でも異色のパフォーマンスとして注目されつつあるのが“コスプレオーボエプレーヤー”のよねちだ。

アニメのコスプレをしながらオーボエでアニメソングを吹く彼女。昨年、Youtube上に「コスプレしながらオーボエ吹いてみた」という動画を配信したところ、様々なイベントに呼ばれ、香港からも声がかかったという。コスプレとオーボエという変わった組み合わせが目を引いたのだ。

そんな彼女が「週プレNEWS」編集部を訪問! 元々、プロのオーボエ奏者だという彼女がコスプレ界隈に進出したのはなぜなのか、その理由を明かした。

―いきなりで申し訳ないんですが、オーボエって珍しいですよね。正直、名前くらいしか知らないです…。

よねち そうですよね(苦笑)。大きいリコーダーだと思ってもらえば(笑)。でも、目立たない感じがして、一番ソロがある楽器なんですよ! オーケストラで最初の音伸ばしてるのはオーボエですし!

―そうなんですか、意外ですね(苦笑)。あまり聞く機会もないので…。

よねち 「白鳥の湖」のメロディーもオーボエなんですよ。でも、やっぱりマイナーですね。たまに楽譜に「オーボエ(オプション)」って書かれたりするんですけど、オプションって、端的に言うと「吹いても吹かなくてもいい」って意味なんです。吹奏楽コンクールの課題曲でもよく出てくるんです、このオプション(笑)。

―完全におまけ扱いじゃないですか(笑)。

よねち それにマイナーだから演奏者もいないんですよ。一番寂しかったのは、部活の時に先輩抜けるとひとりになっちゃうんです。他の人たちは何人かで集まってミーティングしてるのに、私はひとりで反省会…。だから人が多いのに憧れました、基本ボッチです。

―うわー、切ない…。それなのになぜオーボエを始めたんですか?

よねち フルートをやりたかったんですけど、花形で人気の楽器なんで落とされて、たまたま仲良かったコがオーボエって希望を書いてたってだけです(笑)。

オーケストラの出演料はたった3000円!

オーボエの口部分に付けるリード。1つ3千円もする。頻繁に交換が必要で、楽器以外にも維持費がかかるため、オーボエは人気がないそう

―それだけで(笑)。よく続けてますね、それもプロにまでなって。

よねち そうです、オーボエ奏者としては本名の米山栞合(しおり)として活動してます。大学の時に就活して内定もいただいたので、就職して趣味で楽器続けていこうって思ったんですよ。でも、その後に学校や音楽教室で講師やってみないかと誘われたり、夏休みにオーケストラのオファーをいただいて、この道を選びました。

―やっぱり音楽一本っていうのは難しいんですか?

よねち そうですね。オーケストラに出ても1回3千~1万円とかですからね。講師も習う人自体が少ないから週に2回とか。音楽だけでは生活できないので、今もアルバイトしながらです。ちゃんと大きな楽団に入っている人以外は、年配の方でも朝はパン屋で働いて、その後はコンビニ…みたいに、掛け持ちしてたりするんですよ。まだ私はかわいいほうだと思います。

―そこまで大変な世界なんですね。ところでコスプレはどこからきたんですか? 元々、趣味だったんですか?

よねち 去年、大学も卒業して22歳なんですけど中3の頃からですね。友達と一緒に始めました。元々、アニオタなんですよ。ずっと2次元の彼氏もいますし(笑)。オーボエを吹けるようになったのもアニソンで練習したおかげですし。

―それでコスプレしながら、ということに?

よねち そうですね。私、オーボエ以外に何も得意とすることがないんですよ。ただ唯一、楽器だけが自分をアピールできるポイントだったので、これで生きていきたいと思ったし、演奏を見てもらいたいと思ったんです。

それで、吹く場所が欲しくて、f-bizっていう中小企業や個人起業家を支援しているところに相談しにいって、コスプレやアニソンの話をしたら「それでやってセルフプロデュースしたら?」と提案されて、やってみようと。自分の顔にホントに自信がないので、不安もありましたけど。

―それでYoutube上に動画配信したんですね。

よねち はい。最近は動画で自分を知ってもらおうと思ってるんですけど、最初は動画上げるのも怖かったです。でも、そしたらすぐに香港からなぜかイベントのオファーがきて、驚きました。

コスプレで大学の講演オファー!?

―確かに、そういう人はほとんどいないから珍しいですよね。でも、それこそ楽団など演奏者の方々から変な目で見られなかったんですか? やっぱり堅いイメージもあるので。

よねち それは親にもまず最初に心配されました。何言われるかわからないねって。だから最初は本名も隠してたんですけど、新聞に本名まで載っちゃったのを機に自ら公表したんですよ。そしたら意外と皆さん受け入れてくれて、クラシックの方も面白がって。よねちさんって呼んでくれたりするんですよ。

―杞憂(きゆう)だったわけですね。

よねち アニソンやDJイベントも増えたんですけど、この前なんか“地元経営者”ってことで大学の講演にも呼ばれたんですよ、すごくないですか!? 学生に囲まれてコスプレ姿でシュールでしたけど(笑)。

―意外なところからもオファーがあるんですね(笑)。イベント以外でも反響ってありますか?

よねち やっぱりコスプレ姿だと珍しがって「初めてオーボエって聞いた」とか言いながら見てくれますよね。あと、“よねち”を知って“中の人”を見てみたいとオーケストラの公演に来てくれて、クラシックが好きになったという人がいたりします。

―クラシックの活動にもよい影響が出てるんですね。

よねち ただ、正直言ってしまえば、コスプレしながら楽器を吹くって誰でもできるんですよ。だからこそ、自分だけにしかできないものを追求したいなって思いはあります。見てても楽しいし演奏を突き詰めていかなきゃなと。

―まだ始めて1年足らずですし。まだまだ進化していくわけですね。では、最後にこれからの目標を。

よねち 有名になりたいのかどうかはよくわからないんですけど、全国各地のイベントに行きたいですね。あと、いつかアニソンのバックで演奏できたらいいなと思ってます。

(取材・文/鯨井隆正 撮影/五十嵐和博)

https://www.youtube.com/watch?v=7Rcq2Rgxb7s

よねち1994年3月30日生まれ 静岡県出身。本名、米山栞合(しおり)。12歳よりオーボエを始め、常葉大学短期大学部音楽科を卒業。同大学専攻科音楽専攻修了。オーケストラでの協演の他、「コスプレしながらオーボエを吹いてみた」という新たな演奏活動を展開中。詳細はTwitter【@cosuu30】にて