オリエンタルラジオの中田敦彦さんがネットの連載コラムで「良い夫やめた」宣言をし、話題に。記事内ではワーク・ライフ・バランスを求めるあまり妻との関係に支障が出てきたことなどを赤裸々に語っている。
タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。
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Webの連載コラムで「良い夫やめた」宣言をして大きな反響を呼んでいるオリエンタルラジオの中田敦彦さん。PERFECT HUMANな中田さんはいわゆるイクメンとしても有名で、妻であるタレントの福田萌さんの「ワーク・ライフ・バランスを考えて仕事をしてほしい」という要望に応え、仕事量を調節して家族との時間を捻出し、しかも収入は以前よりも増やしたという、こちらも完璧なまでの父親ぶりだったのです。
けれどいくらやっても妻からはダメ出しばかりでつらくなり、「もうこんなのやってられるか!」と「良い夫やめた」宣言をしたところ、批判を浴びたというわけ。
けどこれ、あくまでも中田さんから見た夫婦関係なので、福田さんにもしんどいことがきっとあったのだと思う。完璧主義の夫って、一緒に暮らすのはけっこうきついと思うもん。
そんな福田さんの勧めもあってカウンセリングを受けている中田さん。連載コラムでは、自分が妻の言うことを聞きすぎたせいで妻がわがままな女優みたいになってしまったとか、妻はママ友たちと一緒になって頭の中に理想の夫像をつくり上げて、現実の夫と比べては文句ばかり言っているとか、かなり率直に語っています。
これに対して教育ジャーナリストのおおたとしまささんが批判的な記事を書くなど、女性向けメディアでもブーイングが起きています。
けど、中田さんの意見を聞いて「そうだそうだ!」と思う男性もいるでしょう。「実は同じことを感じていたけど、怖くて言えなかった。よくぞ言ってくれた!」と。
中田さんの考えに共感するか否かは別として、私は男性が子育ての悩みや率直な思いを赤裸々に語るのはいいことだと思います。批判されてもいいから、子育てしている男性の本音をどんどん語ってほしい。黙っていたら、何を考えているかわからないからね。
仕事と家庭を完璧にバランスとろうとしたら、そりゃしんどいですよ。共働きでもそうじゃなくても、夫婦が互いに「こんなに大変なのは自分だけ」と思いがち。そこで思いをため込むとこじれるだけなので、冷静な話し合いのためにカウンセラーに助けを借りるのもありだと思う。
ところで男性週プレ読者の皆さん、育児や夫婦の話をできる男友達ってどれぐらいいます? 言葉ってね、使ってないと出てこないんですよ。自分の気持ちも、誰かに語ってみて初めてわかるもの。
だから、弱みを晒(さら)して家庭のことを話せるお友達をひとりでもいいからつくってください。話したことをジャッジするんじゃなくて、「そうかー」って聞いてくれる人。
「パーフェクトなあなたでなくてもいいんだよ」って、誰かが言ってくれるだけで、人生ってずいぶん楽になりますから。
●小島慶子(こじま・けいこ)
タレント、エッセイスト。テレビ・ラジオ出演や執筆、講演とマルチに活動中。現在、日豪往復生活を送る。近著に『幸せな結婚』(新潮社)、『絶対☆女子』(講談社)など