おいでやすこがの(左から)こがけん(41歳)、おいでやす小田(42歳)

今ノリにノッている「おじさん芸人」のインタビュー3連弾! 第1弾は実力派ピン芸人がユニットを組み、昨年のM-1で見事に準優勝した、おいでやすこが。下積み時代の苦労話と「シャウトツッコミ」の真相を、おいでやす小田こがけんが語る!

■おじさん芸人の横のつながり

――『M-1グランプリ』決勝から約1ヵ月。いちばん多いときで一日に何本の仕事が入ったんですか?

小田 取材も入れると7本ぐらいですね。

――すごいですね。同じくM-1ファイナリストの錦鯉(にしきごい)、『ぐるナイおもしろ荘2021』(日本テレビ系)でインパクトを残した野田ちゃんといった40代の「おじさん芸人」の活躍が目立ちますが、親交はあります?

小田 ありますよ。『おもしろ荘』で野田さんがやっていたネタを、僕は2年前に初めて見て面白いなと思ってたんです。だから、野田さんが2019年のR-1の予選で落ちたときに「ほかのネタをやったほうがいいのかな?」って悩んでたけど、僕は「このネタはおもろいから絶対にやり続けてください!」って野田さんに言ってたんですよ。

――小田さんの助言どおり続けてよかったですね。「おじさん芸人」はだいたい世に出てくるまで長い間バイトをしていたり、苦労していますよね。

小田 僕も2年前まで水道メーターを検針するバイトをやってました。そこには野田さんもいましたし、錦鯉の(長谷川)雅紀さんもいましたね。

こがけん 僕は清掃のバイトをしてたんですけど、ワタナベエンターテインメントの事務所にも行ったことがあったんですよ。僕が掃除してる横を後輩のあばれる君が通ったりして。だから、ワタナベの芸人さんにいかに顔を見られずに清掃するかを常に考えてました(笑)。

■下積み時代に家に来た信じられない珍客

――小田さんは昔、古いアパートに住んでいて、大変な目に遭ったそうですね。

小田 はい。夏は室内が暑いので、盗まれるものもないし、ドアを開けっぱなしで外出してたんですよ。それで夕方に部屋に帰ってきて、トイレの扉を開けたら、50、60㎝ぐらいのヌートリア(南アメリカ原産の大型ネズミ)が和式トイレの水を飲んでたんです......。

――え! めっちゃ怖い(笑)。

小田 扉を開けた瞬間に夕日で影がゆらっと揺れたんで、最初はほんまに悪魔やと思ったんです。もう命取られると思ったんで、絶句して立ち尽くしてたら、バァーッて逃げていきました。

それから毎日僕の家に来るようになって、のうのうと部屋に入ってきてはテーブルの上のスナック菓子を食べたりしてて......。でも僕は怖いんで見て見ぬふり。そんなんが1ヵ月ぐらい続きました。

――最悪ですね(笑)。結局、何がきっかけで来なくなったんですか?

小田 今の奥さんが初めて僕の家に泊まりに来たんですけど、その日も入ってきて。絶対に奥さんには気づかれたくなかったんで、初めてヌートリアの目を見て、「今日はあかん」って小声で言ったんです。そしたら、ほんまに帰っていったんですよ。それが最後に見た姿でした。

――(笑)。その後、小田さんは結婚されたんですよね。売れていないといろいろ苦労したんじゃないですか?

小田 2012年6月に大阪で月曜日から金曜日までやっている帯番組のレギュラーが決まって、収入が一気に安定したんですよ。それで、このタイミングで「結婚しよう」ってなったんですけど、翌年の3月7日に籍を入れたら、3月15日にその番組が終わったんです。

――結婚して1週間後に終了ってショックだったでしょ。

小田 もう逆にふたりで笑いましたね(笑)。

――実はこがけんさんとコンビを組んだのは、小田さんの奥さんがきっかけだったそうですね。

小田 はい。ライブのコーナーでこがけんのピンネタに僕がツッコんだらウケたんです。そのことを奥さんに話したら、「じゃあ、こがけん君と組んだら」って言われて。僕も「ほんまや」と思って、こがけんにすぐ電話しました。

――奥さんの助言から結成したコンビですし、M1で準優勝して、奥さんは喜びもひとしおだったんじゃないですか?

こがけん タクシーで移動中に小田さんが奥さんにM-1の決勝に行けたことを電話で報告していたんですけど、「うわー!」ってなってる奥さんの声が漏れ聞こえてきて、僕もめっちゃ感動しました。

小田 そのときは「うわー! ほんま!? うわー!」って、言葉にならん感じでしたね。

■シャウトツッコミはサービス精神!?

――小田さんのシャウトするツッコミも世間にだいぶ浸透してきましたね。

こがけん でも最近、ツッコミの歯止めが利かなくなってきてるんですよ。僕らに密着してくれてる番組のスタッフさんに対しても、「いつまで撮ってんねん!!!」ってツッコんでますから。いや、密着だから撮るでしょ(笑)。

小田 「そう言ってほしいんと違うんかな?」と思っちゃうんですよ。

――それは自意識過剰ですよ。

小田 なんや!!!

――いや怖いです(笑)。

小田 違うんですよ。僕は全然声を張り上げたくないんですよ。

――今、キレたのも本意ではないんですか?

小田 そうです。サービス精神でやってます。ほんまにそうなんですよ。

――本意ではないと言われるとこちらも気を使いますよ。無理やり言わせてるみたいになりますから。

小田 言わしとるやないか!!!

――言わせてないですよ(笑)。小田さんのシャウトを誌面で表現するのも難しいし(笑)。

小田 それは「!」の数でやってください。僕はネタ帳でそうしてますもん。

――「!」の数の多寡でせりふのトーンを表現していると。

こがけん でも小田さんは本番になると台本の「!」の数を守らないんです。本番はとんでもない怒り方をして、3つぐらい「!」を足しちゃうんで(笑)。

――(笑)。今、いろんな番組に呼ばれていますが、今後やってみたいことはありますか?

こがけん 僕は映画と音楽が好きなんで、BSとかでそういう番組をやらせてもらいたいです。

小田 僕はNBAのバスケットボールが好きなんで、バスケ番組ができればいいですね。

――小田さんは学生時代、バスケ部だったんですか?

小田 学校の部活じゃなくて、ストリートバスケ育ちなんですよ。14歳からやってました。

こがけん ストリート育ち!? そんな風貌で?(笑)

――うまかったんですか?

小田 周りからは「誰も見たことがないようなステップやな」とはよく言われました。

――それはホメ言葉なんですか?

小田 めちゃくちゃホメ言葉や!!! 左右の利き足がないということなんで、とんでもないことやったと思います。ちなみに当時は「ケニー」って呼ばれてました。

――今はケニーっぽさゼロですね。

小田 やかましわ!!!!!

★明日(20日)は、錦鯉のインタビューを配信します

●おいでやす小田(おだ)
1978年7月25日生まれ、京都府出身

●こがけん
1979年2月14日生まれ、福岡県出身