今年は『仮面ライダー生誕50周年』。そこで9月13日に発売された『週刊プレイボーイ39&40合併号』では「仮面ライダーヒロイン集結」と題し、歴代の仮面ライダーヒロインたちが登場。最新水着グラビアをはじめ、インタビューなどで仮面ライダーシリーズへの愛を見せてくれている。

そんな特集から、歴代ヒロイン5名のインタビューを最新撮り下ろしとともに連続掲載。第三回は『仮面ライダーキバ』(2008~2009)に出演した柳沢ななさんが登場。彼女が演じた麻生恵は、ファンガイア(怪人)ハンターであった亡き母の意志を継ぎ、自らもファンガイアと戦う21歳。主人公・紅渡(くれない・わたる)のよき理解者でもあった。そんな柳沢さんが、当時を語る!

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――『仮面ライダーキバ』へは、どんな経緯で出演することに?

柳沢 プロデューサーさんからオファーをいただきました。もともと『キバ』には戦うヒロインを考えていたようで、以前『轟轟戦隊ボウケンジャー』にゲスト出演させていただいたことで名前があがったようです。小さい頃から『美少女戦士セーラームーン』に憧れていたので嬉しかったですね。

――柳沢さんが演じた麻生恵は、戦士だった亡き母の意思を継ぐファンガイアハンター。明るく活発な女性で作品を盛り立てました。役柄に対しては、どんなイメージで臨みました?

柳沢 第1話の台本を読んだ時から「これ、当て書きなのかな」と思うほど、恵は自分とそっくりの気がしました。明るいだけでなく気が強くて、負けず嫌い。男性に平気で突っかかっていったり、定食屋さんにひとりで行ったりするところも一緒(笑)。自分を思い返しながら、自然体で演じましたね。

柳沢ななさんが演じた麻生恵(©石森プロ・東映)

――ライダーの撮影現場は体育会系で厳しいことで知られています。苦労などありました?

柳沢 現場スタッフは皆、熱量が高く、言葉が強いなとは思ましたけど、特に苦労はなかったですね。映画のデビュー作が『バトルロワイヤルⅡ」で、深作欣二監督に怒鳴られた経験もありますし、多くの監督にご指導いただいてるのでキツく言われても平気でしたよ。

――撮影で印象に残っていることは?

柳沢 やはりアクションシーンです。第1話ではいきなり建物の高いところから命綱を頼りに降りましたし、吹っ飛ばされたり、橋の上で転がりまくったり。東京湾の桟橋から思い切りダイブしたこともありましたね。東京湾のときは、濡れた姿でタオルでぐるぐる巻きにされたまま大江戸温泉に直行して。営業中だったんですけど、そばにいらしたお客さん方が「何事か!?」って顔をされていました(笑)。

――すごく体を張っていたんですね。

柳沢 スタントさんのカットもありますが、ほぼ自分です。アクションではカッコいいだけでなく、女性ならではのセクシーさも加えたくて、チャーリーズ・エンジェルをイメージして演じていました。ただそんなふうに勇ましく戦うのはいいんですけど、すぐファンガイアにやられてしまうんです。それがいつもちょっと不満で(笑)。なので、共演の高橋ユウちゃん(旧・高橋優)と一緒にライダーに変身できた時はうれしかったです(第31話)。

――おふたりはTVシリーズのヒロインとしては、初の女性ライダーですよね。

柳沢 そうなんです。じつは最初のオファーの段階で、女性ライダーが登場する構想は聞いていたんです。だから待ち遠しくて。変身ポーズは自宅の鏡の前で何度も練習しました。ライダーになって敵を倒したときは、正真正銘のヒロインになった実感で感激しましたね。このときの変身には母への思いがこめられたり、仲間との絆を感じさせたり、恵としても意味があって。二重に嬉しかったです。

――『仮面ライダーキバ』は他作品と異なり、恋愛ドラマ的な要素が盛り込まれていました。紅渡が怪人のヒロインに恋したり、本編と並行して描かれる「過去編」では、渡の父・音也(おとや)が恵の母・麻生ゆり、怪人の女王・真夜と三角関係にあったり。

柳沢 確かに恋愛シーンが多かったですよね。でも私だけ何もなくて。一体いつ、素敵な相手が現れるんだろうってヤキモキしていました(笑)。あと、ゆりという恋人がいるにも関わらず、音也が真夜に惹かれていくシーンは本当に切なくて。恵はゆりの娘なので、オンエアを見ながら、「あんた! お母さんに何をしてるかわかってるの!」って、撮影現場に怒鳴り込もうかとも思いましたよ(笑)。

――そういう恋愛などの人間臭いシーンもキバの魅力のひとつでもありました。一方で恵もお酒に酔ったり、渡の恋愛相談にのったり。エピソードが進むにつれ、楽しいというか、人間味にあふれるお姉さんのイメージが強くなっていきましたね。

柳沢 戦士でありつつ普段はモデルの設定なので、カッコいいシーンもあるのにどんどん面白いキャラになっていって(笑)。『キバ』はクールなキャラクターやシリアスなシーンも多いのに大丈夫かな?と思いましたが、プロデューサーに「恵は唯一ホッとした空気を与える存在なんです」と言われてから、自分の役割を理解して演じられました。

――柳沢さんが特に印象に残っているエピソードは?

柳沢 恵が戦士として苦しみ、立ち直ろうとするエピソードです(第19~20話)。

――宿敵が目の前にいるにも関わらず、恵は恐怖で何の手出しもできず自信を失ってしまう。しかも心労で左脚まで動けなくなって。そんな中、再起を図ろうとします。

柳沢 特に印象深いのは、そのときのセリフ。私、『仮面ライダーキバ』では好きなセリフがいくつかあるんですけど、一番がそのエピソードで渡の口を通して言われた「自分の弱さを受け入れろ!」。その言葉は恵だけでなく、自分にも刺さりました。私、普段から「今の自分じゃダメだ」って追い込んじゃうタイプなんですよね。恵を演じながら私自身も女優として、ひとりの女性として一緒に成長していた気がします。

――今年は仮面ライダー生誕50周年。柳沢さんが考えるライダーシリーズの魅力とは?

柳沢 やはり「男のロマン」かなって。誰かのために頑張って戦うことの素晴らしさというか。男性ってみんな「戦士」だと思うんです。特に大人はそうですよね。家族を支えるために、いつも何かと戦っている。戦いを描いている仮面ライダーシリーズはそんな大人から子供までが共感し、一緒に楽しめる作品だから、50年にもわたって支持され続けてきたんだと思います。

――柳沢さん自身は今も『仮面ライダーキバ』を見返しますか?

柳沢 はい。今は女優のお仕事以外にライブ配信もしているんですけど、視聴者は『仮面ライダーキバ』のファンが多く、細かい質問が来るので(笑)。それにしても昔からのファンだけでなく、最近、新しくご覧になった方からも「恵を見て元気をもらいます」と言われると嬉しいです。オンエア終了して13年が経ちましたが、今なお愛され続ける作品に出演させていただけた喜びを常に感じています。

■柳沢なな(やなぎさわ・なな)
1987年1月3日生まれ 東京都出身
◯主演映画『さかさまのくに』(橋本一監督)が2022年公開予定。◯10月31日、デビュー20周年を記念して、サンキュー価格でオンラインによるツーショットお見合いイベント「わたしと1分お見合いしませんか?」を開催決定(詳細は本人SNSへ)。
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