気づけばもう年の瀬。年末年始でのんびりお休みモードに突入している人たちも多いのではないだろうか。ただ、せっかくの連休なのに何をしたらいいかわからない、そんな人たちのために! 年末年始のおすすめ映画作品を聞いてきました。

まずは、今をときめくアイドル3名に聞いた「年末年始に観るべき映画3選」から。今回の推薦人は、ヒップホップアイドルユニット・リリカルスクールのyuuさん。映画好きとしても知られる彼女が、自身も憧れるような「魅力的な女のコが登場する作品」をテーマに3作品を選んでくれました。

■『レディ・バード』(2017年製作/アメリカ)

「オールタイムベストの映画は何か?」を考える機会がよくあるんですが、結局は「人生を終えないと分かんないなぁ」って思っちゃうんです。でも、きっとこの映画は人生を終えたタイミングでも選ぶであろう1本だなって。

自身のことを「レディ・バード」と自称する田舎暮らしの主人公の女のコ・クリスティンが大学に進学するタイミングで、友情や恋、家族との関係などに葛藤して成長していく姿を描いた青春群像劇なんですが、日常の切り取りの方がすごくうまくて。クスって笑える要素もあったり、女のコが都会に憧れる気持ちをうまく描いていたりと、様々な要素が詰まった心が温かくなる作品です。

映像としてもおしゃれでセンスにあふれているんですよね。ファッションだったりお部屋の空間の作り方だったり。世界観がとても素敵で。海外の女のコの部屋ってなんでこんなにかわいいんですかね? 写真や雑誌の切り抜きのコラージュが貼ってあったり、かわいい電飾がついてたりとか。

特に好きなシーンは、レディ・バードが、恋に落ちた男性の名前を自分の部屋の普段はカーテンで見えない壁に書くところ。それで、恋が終わったら斜線を引いて消していくんです。本当に洒落た演出ですよね!

あと、この作品のいいところは長さ! 長尺の大作も数多くありますが、最近は映画に限らず映像全般の尺がどんどん短くなっている中で、この作品も94分という観やすい時間にまとまっているんです。それでいて、飽きさせない展開で、メッセージ性もちゃんとある。おしゃれなだけの映画は数多くあると思うのですが、この作品みたいに両立できているものは本当に少ないと思います。

小さい子が観るには、少し過激なシーンもあるけど、母と娘の絆ってところが一番大きなテーマとして描かれている映画だと思うので、一人で観て浸ってもいいし、家族と観て家族愛を感じるのもいいなって思いますね。


■『ルビー・スパークス』(2012年製作/アメリカ)

かつては、「天才」と謳われるも長いスランプに陥ってしまった小説家の主人公・カルヴィン。ある日、彼は夢の中に現れた女性をヒロインにした小説を書き始める。すると、その小説のヒロインであるルビー・スパークスが現実世界に。というあらすじの、少し変わったファンタジーラブストーリーです。

見どころは、カルヴィンが書いた通りに現実世界で変化していくルビー・スパークス。たとえば、フランス語をしゃべれる設定にすると、本当にペラペラになるんです。自分の理想の女のコが書けば作れるっていう設定って男性の方なら一度は憧れるような設定なのではないでしょうか?

でも、この作品の面白さは、理想通りの女のコが現れればそれは幸せなのか?ってとこ。あんまり理想通り過ぎると困ることも出てくるし結局無いものねだりなんだなぁって思わせてくれました。あと、ネタバレになるから言えないですがオチがめちゃくちゃすごいんです。そこに至るまでの主人公の葛藤なども合わせて見ていただきたいです。

魅力的な女のコという意味では、ルビー・スパークスを演じているゾーイ・カザンさんが本当に可愛いんです! THE海外の美少女という雰囲気で、役とも相性バッチリ。すごく憧れます。

この作品は、ぜひ男性に観て欲しいです。男性目線としての夢の体現。男の人が女性に「こうあって欲しい」とか願うこともあると思いますが、それが実際現実になると良いことばっかじゃないよって(笑)。

■『ホットギミック ガールミーツボーイ』(2019年製作/日本)

『溺れるナイフ』などで知られる山戸結希監督の作品。山戸監督の映画は、言葉がすごく刺さってくるので大好きです。特に山戸監督がすごいなって思うのは、心情まで全部セリフにしちゃうところ。映像で語るというよりは、セリフで臭いくらいに言わせちゃうんですよね。

たとえば、「今この気持ちを大切にしたい」みたいなセリフも平然と登場人物に言わせちゃいます。普通それをやるとこっぱずかしい感じになったりするじゃないですか? でも、山戸監督はそうさせない。うまくポエトリーというか、詩的な見せ方ができるセンスが私は大好きです。

本作は、漫画の実写化なので、ポスターなどを見ただけだと、キラキラしたラブコメ青春映画みたいな感じなのでは?と、思われるかもしれませんが、いざ観るとドロドロしているし、登場人物の感情の機微が見えてきて面白いんです。

物語の内容もちょっと複雑で、堀未央奈さん演じる主人公の高校生・成田初(はつみ)がある理由から幼馴染に弱みを握られ、無茶な命令に振り回されるようになってしまうんです。そこに、小学校の時に転校してしまったもうひとりの幼馴染現れ、物語は初の兄である凌も含めた4人の微妙な関係性を軸に進んでいきます。

その中で、主人公の思春期ならではの心の揺れ動きをすごくうまく描写していて。些細な出来事も思春期の時はこう思っていたよなぁって、再確認することができるんです。

大人になってからだと我慢したりすることも多いじゃないですか。だけど、そんな中で、自分と向き合うことって大事だなって思わされる作品です。

●yuu
12月20日生まれ 兵庫県出身 メンバーカラー:青
〇2017年4月にリリカルスクールに加入。大の映画好きで、過去には映画をプレゼンテーションするweb番組を放送したことも。最新アルバム『Wonderland』が絶賛発売中。
公式Twitter【@yuuuuuu_1220】
公式Instagram【@ls_1_yuu】
リリカルスクール公式ホームページ
http://lyricalschool.com/