ヤンキースの田中将大と並び、今シーズンのサイ・ヤング賞の候補として名前の挙がるレンジャースのダルビッシュ。28日のツインズ戦で8勝目を挙げ、防御率もリーグ3位の2.42と、首位の田中に迫る勢いだ(6月29日現在)。
そんなダルビッシュが今、一番恐れているのが“寝違え”だ。今季すでに、寝違えで2度の登板回避をしており、復帰後の記者会見でも「寝違えが怖くて、昨夜は眠れなかった」とのコメントを残しているほど。
朝、目が覚めたら首に激痛が走り、一日首が曲がったまま……そんな誰でも一度は経験のある寝違えは、なぜ起こるのか? 東京・田無北口鍼灸整骨院の白石健二郎先生に聞いた。
「そもそも、寝違えというのは、過度な負担が首にかかって炎症を起こした状態のことなんですね。私が見てきた寝違え患者さんの場合、ほとんどは肩甲骨まわりの筋肉が硬くなっていることが炎症の原因なんです。具体的には、肩から背中にあるインナーマッスルの“菱形筋形筋”(りょうけいきん)というところが多いですね」
それがどうして首の痛みになるのか?
「首を支えているのが、肩から背中の筋肉だからです。私はよくドアの蝶(ちょう)つがいで説明しますが、肩から背中にかけての筋肉がドアの開け閉めの支点である蝶つがいで、ドア自体が首だとしましょう。蝶つがいが錆びて固くなる、体でいう肩から首の筋肉が硬くなった状態になると、ドア自体動きにくくなり、ドアである首に負担のすべてがかかってしまうわけです」
お酒が好きな人は要注意!
白石先生いわく、寝違えしやすい人にはある共通点があるという。
「デスクワークが多い人やお酒が好きな人に多いですね。パソコンの前で座りっぱなしで長時間作業をしていると、気づかないうちに猫背になって首が前に出てしまい、肩甲骨まわりの筋肉に負担がかかってしまうんです」
ずっとパソコンを見ていると、首まわりの筋肉が硬くなるのは納得。お酒との関係は?
「深酒をすると、家に帰ってそのまま寝てしまうでしょ。そういうときは、寝る前に湯船に漬かってリラックスした状態をつくれないし、体が重いので寝返りも打てなくなってしまっているんです。寝返りというのは、自分が寝やすい体勢になるための無意識の行動で、体の血流を一定に留めず、分散させる働きがあります。これが行なわれず、同じ姿勢のままで寝ていると肩甲骨まわりの筋肉が硬直してしまう。深酒をすると、肩甲骨まわりだけでなく体全体の筋肉が硬くなるので要注意です」
もちろんダルビッシュの場合は、PCの見すぎや飲酒が原因ではなく、背骨が真っ直ぐな「ストレートネック」と呼ばれる珍しいタイプのため寝違えになりやすいと、白石先生は推測する。
われわれも、寝違えで翌日の仕事を“登板回避”しないよう、日々の生活習慣に気をつかおう。
※白石健二郎先生監修「寝違えSOSドットコム」 http://www.nechigae-sos.com/
(構成/ヒロタシンイチロヲ)
■週刊プレイボーイ28号「ダルビッシュ最大の敵“寝違え”とは何か?」より