<バーレーンのKFCでセルフィー!アラビア語で書かれた店名が新鮮!

クウェートに続いて、飛行機で向かった先はここもまたイスラム圏でラマダン真っ只中のバーレーン

私は連日着用で汗まみれの黒いワンピースと、頭には黒いストールを巻いた姿で到着した。

バーレーンは大小33の島からなる、東京の3分の1程度のサイズの小さな島国。アラブで初めて石油を採掘した国であり、また天然真珠の産地として栄えた国だ。

しかし、その真珠産業に大打撃を与えてしまったのは何を隠そう、日本人。"真珠王"と呼ばれた起業家・御木本幸吉で、養殖真珠のブランド化で富を成したミキモトの創業者である。

バーレーンの空港では、薬物や刃物類持ち込み禁止に並んで"養殖真珠の持ち込み禁止"と、とても独特な注意書きがあったが...、

「あれ!? 私、化粧ポーチにパール付きのリップブラシ入れてなかったっけ?(それこそミキモトの!)」。一瞬焦ったが、それは日本に置いてきていたし何事もなく入国した。

「さてと、せっかくバーレーン来たし、天然真珠買っちゃおうかな~? ふふふ~ん♪」なんて、お財布の余裕があるわけもなく、安宿のないこの国での1夜目を空港のベンチで寝て過ごした(夜中、誰もいなくて怖かったよ!)

朝になり、トイレ掃除のフィリピン人女性とお喋りしてから空港を出ると、ヤシの木と紅白のギザギザデザインの国旗がイイ感じ。そして厳格なイスラム圏の雰囲気とはギャップのある"アイラブバーレーン"のポップなオブジェに迎えられ、なんだか緊張が解けた。

バーレーン国旗。赤は祖国のために流された尊い血、白は平和を表している空港出るとすぐに

首都マナーマへ向かう赤いバスに乗り込むと、車体はきれいだし、なんとフリーWi-Fiがサクサク! 車窓から見えるアラビア湾の景色は爽快で、それを過ぎると今度は立派な高層ビルがお目見え。

インフラの第一印象にこの国への期待が高まったが、私が予約した最安値(1泊5千円程度)のホテル近くに到着すると、そこは砂埃の激しい工事現場の横で、寂れた雰囲気だった。

まだ午前中だが、すでに気温は高く、近くのマーケットでは海外労働者と思(おぼ)しき男たちがだるそうに働いている。彼らに笑顔は見られず、よそ者の私をジロリと睨(にら)む。

逃げるように宿へ駆け込むと、受付のバングラデシュ人男性とフィリピン人女性から「カード決済はできないから現金調達してこい」と、再び灼熱地獄に追い出された。

バスの窓から見えたとんがった高層ビル(ワールドトレードセンター)ホテルの周りは工事中

街の中心へ向かうと、"ゴールドシティー"という小さなモール内に早速、真珠やゴールドの店を発見。

貝殻に張り付いたままの真珠は、球が小さく形がいびつで、"産まれたての真珠の赤ちゃん"みたいなカワイらしさ。しかし、今の私には"豚に真珠"となってしまうだろうと、迷うことなくその場を後にする。

ゴールドシティー内の真珠屋 貝殻に張り付いた天然真珠次に日用品などの売られるスーク街に向かうと、少女漫画風に描かれたムスリムガールの生地が気になったくらいで、特別珍しいものはない。

乾燥した葉を仕込むおじさんには写真撮影を断られたが、なんとか手元だけ撮らせてもらった。イスラム圏では男性でも写真を嫌がる人が多いので、なかなか大変だ。

少女漫画風に描かれたムスリムガールの生地タバコではないようであるが何かわからない。結局、手元だけ撮影許可をもらう

特に目的もなく路地裏散策を続けると、とてもインスタ映えしそうなスポットに迷い込んだ。パステルカラーで模様が描かれた大きな壁やカラフルな店が並んでいる。

しかし、せっかくのカワイイ街中も、歩いているのは不機嫌そうな男性ばかりで、セルフィーして騒ぐ女子など見かけるわけもなかった。そして何やら看板に書かれている文字を読むと、その周辺はどうやら"リトルインディア(インド人街)"であった。

バーレーンは人口の約半分が海外労働者で、首都マナーマに住んでいるのはほとんどがインド人とバングラディシュ人。言われてみれば、香辛料のお店やインド料理屋があったり、道行く人もだいぶインド人っぽい。

「ここはどこ...?(笑)」

バーレーンにいることを忘れてしまいそうであったが、スーパーでは国旗柄の箱ティッシュが売られ、それが唯一「もしもし、ここはバーレーンですよ~」と主張しているようであった。

カラフルでかわいい路地裏のリトルインディア駐車場の壁がお気に入りスーパーのカタログ。中央が国旗柄のバーレーンティッシュ

結局、バーレーンでの収穫は"キュートなインド人街"に終わり、日没のラマダン明けにモスクへ集まる男性を後目に宿へと戻る。

スーパーで買ったクミン味の飲み物に口を付けると、それはスパイスの効いた塩気のあるヨーグルトドリンク。なんともインドっぽい味が身体に染みた。

日没になると、イフタール(断食明けの食事)を求めモスクに男性が集まり始めたラダマンが終わると同時に揚げ物屋台にも男性が群がった唯一のランドマークである

「はぁ。クウェートとバーレン弾丸の旅。飛行機代と宿泊費でかなり出費になっちゃったけど、未知の国、とりあえずやり遂げたか...」

翌朝、チェックアウトの前にホテルの部屋の引き出しを確認すると...、なんとそこにはお金が入っていた! ゴクリ...!

ここが日本であればすぐに届け出たいところであるが、一瞬、私の脳裏で悪魔が囁いた。「ネコババしちゃえば...?」

しかし、それはサウジアラビアのお金で、日本円にして1万円以上となかなかの金額。サウジアラビアはバーレーンと海上橋で繋がっている隣国であるが、イスラム教徒以外は入国ができず、私たち日本人にとって入国が非常に難しい国。

「日本人がサウジアラビアの金なんて持っていたら、どこで手に入れたんだと尋問されるかもしれない! それに、ラマダン中に欲をかいたら罰が当たりそうな気もするし...」

などとモヤモヤしていたが、お金と一緒に強面のサウジアラビア人の期限切れパスポートも発見。人様のお金に手を付けるわけにもいかず、そーっと引き出しを閉め、宿を出た。(きっとホテルの人がどうにかするだろう。数年、放置されてるようにも見えたけど...)

宿の引き出しにあったサウジアラビアのお金

空港に着くと、やっとドバイへ帰れるという安堵感。「この黒づくめのアバヤ風姿ともおさらばか...」

意外と気に入って癖になってきていたその姿で出国ゲートへ向かうと、空港員が呟いた。

「ニンジャ...」

え? 今なんて?

「キミ、ジャパン? その格好、ニンジャでしょ? 完璧、ニンジャだよね?(笑)」

ショック!!!! 私がイスラム女性風を目指していたこの姿、バーレーンでは忍者と思われていたなんて! 「もう、この黒いストールは外そう」――こうして、私はついに黒いベールを脱いだのだった。

...しかし、ドバイの空港に着くなり、そこにあった顔ハメパネルは、それこそ忍者ハットリ君のような形であった。

ドバイの空港にあった顔ハメパネル

【This week's BLUE】
忍者じゃないよ...。

★次回更新予定は、7月12日(木)です。

●旅人マリーシャ
平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】