国産スポーツカーは徹底的に煮詰められた良モデルぞろい!

荷室もまともにない。室内も狭い。車高は低く、運転していてマジで疲れる。それがスポーツカーである。けど、走りの爽快感はほかのクルマでは絶対に味わえない。そんな最強の国産スポーツカーがコイツらだ!

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■ロードスターRFはエンジンを大改良!

もはや風前の灯(ともしび)となっているのが、ニッポンのスポーツカーだ。何しろ人気エコカーのノートやアクア、プリウスは月に1万台近くさばけるが、スポーツカーは月500台以下の販売にとどまっている。それでもスポーツカーを売る理由とは?

自動車専門誌の編集長はこう解説する。

「スポーツカーは自動車メーカーのイメージ戦略のひとつ。が、残念ながら台数が出る売れ線のクルマではないので開発費の回収には相当時間がかかる。そのため、10年近く全面改良をしないのはざらで、改良に改良を重ねて鮮度を保つ売り方になっているワケです。裏を返せば最新の国産スポーツカーは徹底的に煮詰められた最良モデルぞろいということになる」

ということで今、狙い目の"完熟"スポーツカーを5台選んでみた!

マツダ ロードスターRF

筆頭はマツダのロードスターRFだ。来年、誕生30周年を迎える日本を代表するスポーツカーのロードスターが、今年6月に一部改良を受けた。特に注目なのがRFである。搭載されている2リットルエンジンが刷新され、最高出力は158馬力から184馬力へと大幅に向上! レブリミット(最高許容回転数)は、6800rpmから7500rpmまで引き上げられている。

【エンジン】部品の軽量化や燃焼の短縮などによりエンジン性能アップ。エンジン音も磨き上げている

6速MTのスポーティさは確実に男がギンギンになる。それだけじゃない。今回の改良で先進安全機能が全車標準装備になっている! ちなみにロードスターRFの最上級グレード「RS」は車両価格381万2400円。旧型の同グレードより6万円超の値上げでしかない。まさに大盤振る舞いである。ロードスター開発主査の中山雅氏は断言する。

「ロードスターは、マツダにとってブランドアイコンといえる存在なのです」

マツダが大切に育て続けているロードスター。世界累計生産100万台以上を誇るのも納得である!

【インパネ】ステアリングを手前側に30mmほど動かせるテレスコピック機能を採用

【ホイール】ホイールの塗装色はガンメタリックからブラックメタリックへ変更された

■スバル、トヨタ、日産の熟成もスゴい

もともとはスバルのインプレッサのスポーツグレードだったWRXが2014年に独立し、スポーツセダンとしてデビュー。そして今年9月、WRX S4に設定された待望の最上級グレードが、STI Sportである。

スバル WRX S4 STI Sport ダークグレーメタリック塗装の18インチアルミホイール、レカロ製フロントシート、本革巻きステアリングなどを採用。価格409万3200円

STIチューニングのビルシュタイン製ダンパー&コイルスプリングなどを採用し、エンジンは2リットル水平対向DOHC直噴ターボで300馬力。トランスミッションは2ペダルのCVT。高性能セダンならコレ!

また、12年に登場したトヨタ86(ハチロク)は、7月にGRのエントリーモデルとなる86GRスポーツを設定。GR専用のスポイラーやメーター、ブレンボ製17インチ対向フロント4ピストン、リア2ピストンベンチレーテッドディスクブレーキ、ブレンボ専用アルミホイール、専用小径本革巻き3本スポークステアリングホイールなどを装着したほか、リアサスペンションにはブレースを追加して剛性を徹底強化。

トヨタ 86GRスポーツ 台数限定販売のGRMN、GRMNのエッセンスを投入したGR、そしてその下に位置するのがGRスポーツだ。価格378万円~384万6960円

ボディカラーはピュアレッド、クリスタルホワイトパール、クリスタルブラックシリカの全3色。ノーマルの86より100万円ほど値は張るが、ショップやパーツを選ぶ手間とリスクを考えたら激安だ!

続いては08年に現行モデルがデビューした日産フェアレディZだ。間もなくデビューから10年が経過するひと昔前のクルマだが、細かすぎる改良を続けているので、まだまだ現役ビンビン。特に昨年7月に投入された高性能モデルのNISMOがスゴすぎる!

日産 フェアレディZ NISMO 直線番長のイメージがあるZだが、実はコーナーに入るとベタッと張りつきながら曲がる。先進安全システムの搭載はない。価格629万3160円

専用のスプリング、ショックアブソーバー、スタビライザーでサスペンションをチューニング。ボディはヤマハ製のパフォーマンスダンパーやストラットタワーバー、メンバーブレースなどでがっつり補強。NISMOがチューニングを施したエンジンはVQ37VHR型3.7リットル、V6DOHCで355馬力を誇る。

エンジンには専用チューニングコンピューター、等長デュアルエキゾーストシステム、専用のECU(エンジンコントロールユニット)を採用。600万円を軽く突破する価格はともかく、男なら高性能2シータークーペに一度は乗るべし!

最後は再びスバル。9月に86の兄弟車であるBRZの改良モデルを発表。走る楽しさに磨きをかけ続けるスバルだが、今回の改良では車体後方における空気の乱流を抑えるためのフィンを、リアのホイールアーチ部分に追加。

スバル BRZ BRZは2リットル水平対向エンジンにFRレイアウトで2012年に登場。フルモデルチェンジは2020年以降というウワサも!? 価格243万円~359万1000円

さらにサスペンションのダンパーチューニングを最適化し、接地性とコントロール性を高め、ドライバーの意のままに操れるハンドリングを実現!

このように超熟成された国産スポーツカーがズラリ勢ぞろいしているが、急いで買う理由はほかにもある。自動車ライターはこう話す。

「世界的に環境規制が厳しくなっています。今、自動車メーカーはその規制に対応できる次世代環境車のFCV(燃料電池車)やEV(電気自動車)の開発を急いでいる。トヨタは2025年頃をめどに全車種に電動グレードを設定し、ガソリン専用車種を廃止したいと考えています。マツダも2030年には生産する自動車すべてに電動化技術を導入すると発表。世界的な潮流は電動車。ガソリンをばらまいて走るスポーツカーは消滅する可能性もあります」

買うなら今しかない!