ホイールベースが86より短く、全長は4400mmを切るという

新型スープラのプロトタイプ試乗会が今月開催された。

いったいどんなクルマに仕上がっているのか。試乗&トヨタ関係者を徹底取材した自動車ジャーナリストの河口まなぶ氏に話を聞いた。

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来年1月14日に米で開催される「デトロイトモーターショー」でついに正式発表される新型スープラ。そのプロトタイプの試乗会が千葉県にある「袖ヶ浦フォレストレースウェイ」で行なわれた。ちなみにこのサーキットは1周約2kmのショートコースである。

今回の先行試乗会では最高出力など細かいスペックは一切公表されない、実に不思議な試乗会だった。要するに「先入観ナシに新型スープラの走りを味わってくれ!」というトヨタの思いが背景にあると推測できるが。

で、試乗用に用意されたスープラは、すでに各媒体で取り上げられまくっている、例の赤と黒のモザイクでカモフラージュされたものだった。

ということで、新型スープラを最速試乗した自動車ジャーナリストの河口まなぶ氏にその全貌に迫ってもらった!

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――今回試乗したスープラの搭載エンジンは?

河口 3リットルの直6ターボですね。兄弟車である新型Z4のM40iに搭載されているものと同じBMW伝統のストレート6です。まったく同じエンジンなら340馬力はあるはずです。

――率直なエンジンの感想を教えてください。

河口 とにかくエンジンはサウンドと回転感が気持ちよく、やはりBMWのエンジンだな、という感じで文句のつけようがない。最大トルクは1600回転から発生するだけにフラットトルクだが、想像以上にドラマチックなエンジン。また実際に扱いやすいフレキシビリティも備えています。

――ハンドリングはどうです?

河口 直進時はショートホイールベースとは思えない落ち着いた感覚があり乗り心地も優れ、静粛性も高い。一見すると穏やかな感じにすら思える。しかしハンドルを切った瞬間に電光石火で鼻先が反応し、かなり鮮やかな切れ味でノーズがインを突いていく。つまり普通に乗っていると大人っぽく、ハンドルを切った瞬間にピュアスポーツに豹変する。限界域の挙動はかなりピーキーです。

特に車両制御安定装置を解除してドリフトを行なうと、流れをキープするのが難しい上、最後の収まりをコントロールするのが難しい。かなりのジャジャ馬です。ちなみに開発責任者の多田哲哉氏は、ワインディングロードが楽しいクルマだと強調していました。テストコースだけでなく世界中の公道でその走りを煮詰めてきたそうです。

トヨタとBMWのコラボで復活した伝説のスポーツカー「スープラ」。トランスミッションは8速AT。300馬力を軽く突破か?

――内装もカモフラージュされていましたが?

河口 確かにカモフラージュされてましたが、スイッチ類からはBMWのテイストが伝わってきました。BMWならではの優れた触感のスイッチ類です。

――発売次期や価格の予想もお願いします!

河口 発売は春頃で価格は600万円台を予想します。グレードによっては600万円を切る可能性も。

――おお!

河口 ただ、主力市場は米国となるため、日本に導入される台数は月に200台くらいというウワサもあり、予約が殺到することが予想されます。

――この新型はズバリ買い?

河口 スープラのようなピュアなエンジンを搭載したスポーツカーは、世界的に環境規制が厳しくなる。そう考えると今のうちに乗っておくべきクルマ。いずれにしても、ポルシェのケイマンと肩を並べるスポーツカーが日本に誕生したわけで、今後に注目したいですね。

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