マイメロディに扮して、マイメロディまんを食す。世界一幸せな共食い
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。前回サンリオピューロランドの体験談に続き、サンリオキャラクターの魅力を語ってくれた。

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今週は、サンリオのキャラクターたちのことをお話ししたいと思います。

私が育ったアメリカでも、サンリオキャラは大人気でした。あのパリス・ヒルトンやレディー・ガガもキティちゃんの大ファンだということはよく知られていますね。キティちゃんに限ればマリオ並みの知名度があるので、トランプのようなおじさんでも知っていると思います。

ほかにも、マイメロディやキキララなど王道のキャラクターはアメリカでも人気がありました。ただ、日米では受けるものが少し違うらしく、アメリカではやっていた「スポッティドッティ」や「チョコキャット」は、日本ではあまり人気がなかったようです。

私は子供の頃から日本によく来ていたので、アメリカでは売っていないグッズを持ち帰り、クラスメイトからうらやましがられていました。

そんな私が幼少期からずっと好きなのが、「みんなのたあ坊」。口を大きく開けたぽわんとした男の子のキャラクターです。ちなみに、私の初めてのお出かけの記憶は、このたあ坊のノベルティグッズをもらうために、調布のダンキンドーナツに通ったことです。

最近では動くLINEスタンプも発売されていて、「がんばって~」と言った後に「がんばりすぎないで~」と気遣ってくれます。めっちゃ優しくないですか?

また、半魚人の「ハンギョドン」も大好きで、今回ピューロランドでもぬいぐるみをゲットしました。ほかにも、「ポチャッコ」や「タキシードサム」など、80年代を感じさせるキャラクターたちがピューロランドの世界では現役で大活躍していましたね。

ただし、「消えたな......」というキャラクターもちらほら。特に「ゾウ自転車」や「ベアロビクス」「カモメ」「ピエロ」といった"サンリオ黒歴史"といわれる時期のキャラクターたちは一切見かけませんでした。

今思えば、手抜きといわれても仕方のない面々ですね。そういえば、ただ笑っているだけの「笑う女」というキャラクターもいました。

同時期に作られた「トリックトラップ」というキャラクターが私は大好きだったんですが、これも今では見かけません。彼は"気弱な子イヌ"という設定ですが、イラストを見ると弱気どころか、完全にボコボコにされています。

当時から今に至るまで、サンリオのキャラクターはそうした"抜け感"があるところがいいですね。ディズニーキャラはやたらハイテンションなところがあって苦手なんですが、サンリオの子たちはみんなほわーんとしていて、自虐もためらわないようなユーモアがあります。

前回ご紹介した真っピンクのカレーも、客に「わわわ」と言われることを覚悟の上で作っていると思うんですよね(笑)。

ちなみに、ここ数年のキャラクターの開発傾向は"シュール期"に入っていると思います。「ぐでたま」をはじめ、鮭の切り身がキャラ化された「KIRIMIちゃん.」など、従来のキャラクターにはしないような、いわば"ツッコミ待ち"のようなキャラクターが増えています。

そんな最新のキャラクターから懐かしいキャラクターまで勢ぞろいしたピューロランド。次に行ける日がもう待ち遠しいです。

●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、J‐WAVE『TRUME TIME AND TIDE』(毎週土曜21:00~)、MBSラジオ『市川紗椰のKYOTO NOTE』(毎週日曜17:10~)などにレギュラー出演中。高校生の頃、「ピューロランドの周りに子供の霊が集まる」という噂を聞いて、ひとり憤慨していた

『市川紗椰のライクの森』は毎週金曜日更新!